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デザインとアートのはなし ― 東京好奇心 2020 渋谷

デザインとアートのはなし ― 東京好奇心 2020 渋谷

ジャーナリスト/コンサルタント
林信行

100人の写真家の眼差しを通してみる"東京=好奇心(キュリオシティ)"をテーマにした写真展がパリ、ベルリンを巡回し、少し遅れたが東京の渋谷にて「東京好奇心?2020?渋谷」としてスタート!

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コロナ禍でまったく別の意味を持った「Tokyo?2020」で見ておくべき展覧会のひとつだと思う。

Tokyo?Curiosity?2020:?starts?tomorrow?at?Bunkamura,?the?Museum:?a?photo?exhibition?that?shows?the?perspectives?on?Tokyo?through?pictures?by?100?photographers?from?around?the?world.

 展覧会場で最初に目に入るのは、踏みつけようとするアメリカ兵の靴底の写真。東松照明さんの「チューインガムとチョコレート」だ。その後に今日、世界を埋め尽くしている「プラスチックス」というタイトルの作品が続く。その隣には、口元に手を添えて笑う仕草など戦後の日本人女性を切り取った「Femmes?Japonaises」という写真集を出したフランス人写真家、マーク?リブーさんの作品が展示されている。

 この展覧会、最初の章のテーマはTimelessness。

 本展は「Identity」と「Diversity」、「Here?and?Now」と「Timelessness」というそれぞれ対をなす4つのキーワードで写真を集め、それを13の章にまとめて展示を行っている。

 中でも最も重要なのは「Timessless」だと太田菜穂子さんは言う。「私たちは今という時代を生きているが、過去も現在も未来も色々な形でつながっている。それは、どうつながっているのか…」と問いを投げかける。

 もう1つ重要なのが「私たちは一体何者でどこから来たのか」というアイデンティティーと、これからますます重要になる「多様性」。

 第1章の向かいの壁に展示された第2章のテーマは「Identity?&?Diversity」。多様な日本人のアイデンティティーを感じさせる写真が並ぶ。最初の2枚はアメリカ人写真家、エヴェレット?ケネディー?ブラウンさんによる公家と武家の写真。日本の歴史には常に2層の支配構造があり、それが共存してきた、と太田さんは言う。一番、アイデンティティーを確立しているのは、アーティストだとも付け加える。

 第3章は止まった時間がテーマ。写真とはそもそも動いている時間を止めてしまう装置だが、ここで展示をしているのは戦争によって強制的に止められてしまった時間を移した作品たち。

 本展覧会で、もっとも見応えがあるのは、次の第4章「花鳥風月」という章で、菅原一剛さんの椿の湿板写真(裏地にはベルベットを使用)で始まり、隣は大和田良さんが、500年以上生きてきた盆栽を1年以上の時間をかけて撮り合成した写真、香港のセリン?ウーさんの樹木の影を人間国宝がつくった越前和紙にインクジェットで印刷した作品が続く。

 中央には瀧本幹也さんが長野県小諸市にある「ルイ?ヴィトンの森」の夏と冬を撮った作品。日本の豊かな自然を絵画的かつ繊細な形で捉えた作品だ。友人で本展のアートディレクターを務める柿木原政広さんに言われて気がついたが、作品の上下の余白の幅までこだわって調整されている。

 宇壽山貴久子さんによる代々木公園のカラスと桜の作品も興味深かった。代々木公園は、公園に生息するさまざまな生物の図鑑を用意しているが、カラスは差別され、その図鑑に載っていないことに着目して作品を撮り始めたというが、大変、忌み嫌われているカラスが桜との共演で美しい写真作品にまとまっている。

 一番奥には、こくまい太さんとゴトー?アキさんによる、日本の山紫水明の美しさを感じさせる写真。

 そしてその向かいには太田さんが今、一番美しいヌード作品と評する上田義彦さんの大きな写真が2点。

 そのうち1点は色素が欠落したアルビノの女性のヌードを撮った写真で、どこか現実離れした実写ではないような雰囲気を漂わせる。これも柿木原さんに教えてもらったのだが、この写真がちゃんと現実だとわかるように、写真の左下にはあえて映り込んだ三脚の足を残してあった。

 ここから世界中のアーティストに愛された日本の写真家、鋤田(すきた)正義さんによる有名なデヴィッド?ボウイの写真(東京好奇心のベルリン展でメインヴィジュアルになった)など有名作品含め膨大な数の作品がギャラリーを埋めており、かなりの見応えがある。

 2018年、渋谷のヒカリエで始まり、2019年にパリとベルリンで開催、そして今年、オリンピックの前に凱旋して開催されるはずだった本展は、予定より5ヶ月ほど遅れての開催となったが、参加作家もボードメンバーやスポンサーも気合は十分で、そのことはこだわりのカタログからも伝わってくる(文字数制限で書ききれないので、詳細はFacebook投稿を参照)。

展覧会の撮影は禁止で本投稿は特別な許可を得て撮影している。

東京好奇心?2020?渋谷
Bunkamura?ザ?ミュージアム
2020年10月20日(火)?11月12日(木)
会期中無休

>>前回のはなし:生まれ変わった銀座駅と吉岡徳仁の光の彫刻「Crystal?of?Light」

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