志風音 西村健太代表取締役
Image by: FASHIONSNAP
1952年の創業以来、日本を代表するスキーウェアブランドとして市場を牽引してきた「フェニックス(phenix)」。今年12月末をもってフェニックス社の事業終了が決定したことによりブランドの存続が危ぶまれていたが、シフォン(志風音)がフェニックスの親会社中国動向集団とのマスターライセンス契約を通じてブランドを継承することが決まった。志風音は何故フェニックスの継承を決めたのか、同社の西村健太代表取締役に理由を聞いた。
志風音は西村氏が2004年に創業。「ヴィクター&ロルフ(VIKTOR&ROLF)」や「ヒュンメル(hummel)」「ディーゼル(DIESEL)」「マリークヮント(MARY?QUANT)」など複数の海外ブランドの日本総輸入代理店として商品企画と販売を手掛けている。フェニックス社とは2018年に「カッパ(Kappa)」のファッション分野のライセンス契約を締結した。
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矢野経済研究所の調査結果によると、スキー?スノーボードウェアの市場規模は近年ほぼ横ばいで、2020年は約100億円と予測している(メーカー国内出荷金額ベース)。2019年度は同市場の約6割をスキーウェアが占め、フェニックスのシェアはゴールドウインに次いで2位となっている。西村氏はスキーウェアにおけるフェニックスの市場占有率の高さや、フェニックス社が持つ新潟県新発田市の工場「テクニカルセンター」の商品開発力を評価しており、「スキーウェアブランドはやり方次第で成長の余地がある」としてブランド継承を決めたという。
ライセンス契約の期間は2021年1月1日から2024年3月31日までで、志風音は2021年秋冬シーズンから本格的にフェニックスのアイテムを手掛ける。これに先駆けてフェニックス社でブランドを担当していたおよそ10人のスタッフを志風音に転籍させ、テクニカルセンターも継承。また、国内の卸先に加えて、アメリカ、カナダ、イタリア、スイス、スペイン、ノルウェー、ロシア、韓国など12ヶ国のディストリビューターとの契約を引き継ぐ。
新体制では「フェニックスを元々知るユーザーにとって"安定のフェニックス商品"として引き続き愛用していただいたい」という理由からパフォーマンスアイテムを継続展開するほか、スキーとスノーボードのどちらにも使える機能性とデザイン性を兼ね備えたアイテムを開発することで客層を広げる。アクティビティ向けだった既存の「アウトドアライン」は「アーバンライン」に名称を刷新。スポーツウェアをファッションアイテムに昇華させてきたシフォンが持つノウハウを活かし、普段使いもできる高機能ウェアを中心に構成する。アーバンラインの販路は従来のスポーツ?アウトドアショップに加え、志風音の取引先のGMSやセレクトショップといったファッション領域に広げる考え。ブランド直営ECの開設も視野に入れている。「スポーツ企業とアパレル企業は近年歩み寄りが見られるものの、各業界での旧態依然とした慣習があるのも事実。我々はいずれの業界にも参入しており、商品開発?販売の実績がある。製造、販売、人材の3つの観点から業界をクロスオーバーすることで成長に繋げる」(西村氏)。
フェニックス事業単体の初年度(2021年秋冬?2022年春夏シーズン)の売上目標はスキーウェアで10億円、アーバンラインで5億円とし、営業利益は1億5000万円を掲げる。5年後までにブランド全体で売上30億円を目指す。なお、ライセンス契約は2年間の延長可能期間を含め最大で5年間としているが、西村氏はそれ以降の契約継続に意欲的な姿勢を示している。
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