資生堂が、新たに開発した紫外線防御粉末を微細化する技術「スムースプロテクトテクノロジー」を日焼け止めの製造プロセスに活用することで、自社の従来製法よりも少ない紫外線防御粉末で効果的に日焼け止め効果を引き出すことに成功した。今後、高い紫外線防御力を求める顧客に向けた新製品の開発を行っていく。
同社は、紫外線の肌に対する影響について広く知られていなかった頃からいち早く紫外線防御研究に着手。日常生活から過酷な紫外線条件下まで、あらゆる環境下で技術開発を行ってきた。2014年に水や汗に触れることで紫外線防御効果が強くなる技術を、2019年には太陽などの熱によっても紫外線防御膜が強化される技術を開発した。
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日焼け止めには、高い紫外線防御力、耐水性などの観点から酸化チタンや酸化亜鉛に代表される粉末「紫外線防御粉末」が一般的に用いられており、高い機能性を備える一方で、肌への負担感、塗布後の被膜感、白さといった使用感触の面で課題があった。今回は、高い紫外線防御効果を得る際に両立が困難であった「優れた使用感触の実現」という自社技術の課題に対し、解決策として紫外線防御粉末の新たな分散技術に着目した。
一般的な日焼け止めの製造工程においては、粉末を油分に分散すると凝集が起こりやすいため、日焼け止めに強い凝集力を持つ粉末を安定的に配合する技術が求められていた。今回の技術確立によって紫外線防御粉末に自社開発の分散成分を効果的に配合し、高圧での特殊な処理を行うことで安定的な分散状態を実現。自社の従来技術で分散したものと比較を行った結果、従来技術の約2.9倍の紫外線防御効果を引き出すことが確認できたほか、同じ塗布量では明らかに白さが軽減されることがわかった。また、電子顕微鏡写真を比較するとより微細に分散されており、使用感触の違いでは肌への負担感や被膜感が減少し、より素肌に近い使用感触が得られるという。
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