円と線のみで表現するアーティスト高橋理子が、「アディダス(adidas)」とのグローバルなコラボレーションに起用された。「無限の可能性」をテーマに円で構成したグラフィックを大胆に落とし込んだコレクション「HIROKO TAKAHASHI COLLECTION」は、スポーツとストリートのカテゴリーを横断する全89型で構成。3年掛かりで完成に至ったという製作の裏側を聞いた。
高橋理子は着物を表現媒体としたアートワークのほか、オリジナルブランド「ヒロコレッジ(HIROCOLEDGE)」では日本各地のメーカーや職人とともに様々なもの作りを行ってきた。自身が手掛けた着物を身につけて仁王立ちするポートレートなど、伝統と革新を体現した作品でも知られている。
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アディダスがオファーしたのは2018年。グローバル戦略においてキーシティのひとつとして位置付けられている東京の文化に根ざした取り組みの一貫として、高橋を起用した。
「HIROKO TAKAHASHI COLLECTION」は、アディダスが持つ素材と技術に、高橋のデザインを融合して製作された。円が波紋のように無限に広がっていくグラフィックは全て同じではなく、デザインに合わせて変えているという。「円は、性別や国籍、世代を問わない、ミニマムで普遍的なモチーフ。人の縁や繋がりにも置き換えられます。アディダスはグローバルブランドなので、多くの人に受け入れられるように、皆の気持ちが一つになるように、という気持ちで作りました」。
コレクションはTシャツやキャップといったカジュアルウェアをはじめ、ランニング、スイム、ゴルフなどカテゴリーを横断し、メンズ、ウィメンズ、キッズと幅広く展開。法被ジャケット、浴衣ジャケット、キッズ用甚平、そして四角形のTシャツは、着物をはじめとする日本の合理的で無駄のない直線のカッティングを用いてオリジナルのパターンで製作された。法被ジャケットにはスポーツウェアの素材を使用。また、リサイクル素材の浴衣ジャケットは腰に巻いたりコートのように羽織ることもでき、ルールにとらわれず「自由に着て欲しい」という考えだ。カラーはモノトーンをはじめ、ピンクがやブルーがアクセント。
フットウェアは全26型で、アイコニックなスニーカーからサンダルまで幅広く展開。レザーに型押しでグラフィックを施したスタンスミスや、シェルトゥとアウトソールをグラフィックで飾ったスーパースターなど、いずれもソリッドで存在感のある一足となっている。
コレクションの制作はコロナ禍と重なったが、高橋は「自分に向き合う時間ができて、クリエイションに集中できる時間でもあった」と振り返る。「どんなに周りの環境が変わっても、自分を変えずにいるべきだと感じました。やりたいことや想いを変えず、とにかく自分に集中して進むこと。辛い時期もありますが、ここまでこれてよかったと思える時がくると思います」。
製造のプロセスから協業して作られた「HIROKO TAKAHASHI COLLECTION」は、6月11日から「adidas?Brand Center Shibuya」内のポップアップストアをはじめ、グローバルで展開されている。
■アディダス オンラインショップ:HIROKO TAKAHASHI COLLECTION
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