今年のお買い物を振り返る「2021年ベストバイ」。ラストとなる19人目は、サカナクションの山口一郎さん。依然としてコロナ禍の今年も、既存のシステムを覆すプロジェクト「アダプト/アプライ」を立ち上げるなど挑戦を続けています。約2年ぶりの全国アリーナツアーをスタートし、新たな一歩を踏み出している山口さんの「新しい定番」とは? 2021年に買って良かったモノ8点。
目次
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stein セットアップ
FASHIONSNAP(以下、F):山口さんのベストバイといえば、3年連続で「コム デ ギャルソン(COMME des GAR?ONS)」が1品目だったのですが、今年は違いますね。
山口一郎(以下、山口):ギャルソンも着続けているのですが、今年特に気に入ってよく着たのが「シュタイン(stein)」なんです。
F:セレクトショップ「キャロル(carol)」のオーナー浅川喜一朗さんが手掛けているブランドですね。どのようにして行き着いたのでしょう。
山口:このコロナ禍の状況が続く中で、今年は更に特別で、考え方が問われるような一年だったと感じています。音楽も、ファッションも、建築やデザインも。その中で、デザイナーの川久保さん(コム デ ギャルソン 川久保玲)の挑戦が、一ファンとしてすごく響いたんですよね。ある意味で定番という概念を無くすような、ただ着やすいものではなくてしっかりとデザインされたコンセプチュアルなものを打ち出していたり。
F:昨年から今年にかけて、川久保さんの発する言葉や挑戦的なデザインが改めて注目されていますね。
山口:着る側として当たり前に定番を求め続けていたけれど、ある種それを変えるというか、考え方を我々に問うようなことだったのかなと。僕が勝手に思っているだけかもしれないですが、驚きました。刺激を受けたし、自分の音楽にも良い影響がありました。
F:それで定番を変える、という考え方に至ったと。
山口:はい。僕の定番はずっとコム デ ギャルソンで、今も必ず何か一つはギャルソンを身につけていますが、自分の中で定番を変えてみたくなりました。それでセットアップに挑戦しようと考えて。
F:ギャルソンにはセットアップとして提案しているものは無いかもしれませんね。
山口:ある種存在するようで無いじゃないですか。それで、自分が一番しっくりくるセットアップを探していた時に、三田さん(スタイリスト三田真一)に教えてもらったのが、この「シュタイン」。
F:挑戦してみて、いかがでしたか?
山口:新鮮ですね。僕は今年を「コロナ2周目」という言い方をしていて、その最中で自分の新しい定番の入り口が発見できたかなとか、色々と気づかせてくれました。
F:セットアップといってもカッチリとしたスーツとは一味違って、シルエットは少しオーバーサイズでしょうか。
山口:そうですね。ギャルソンのシャツとパンツを着る時は戦闘服というかユニフォームとしてでしたが、これはクラシックを残しつつゆるさがあって、良いバランスなんです。タートルネックにも合うし、僕のような40代に合っているんじゃないかな。
F:ボトムも2タックで太めです。やはりセットアップで着ることが多いですか?
山口:基本的に上下セットでしか着ないです。レコーディングに行く時とか毎日のように着ていて、あまりに着過ぎて少しヨレッとしちゃってますけどね。
Paul Harnden Shoemakers レザージャケット
F:続いては、「ポール?ハーンデン?シューメーカーズ(Paul Harnden Shoemakers)」のレザージャケットです。もともとはシューズから始まったイギリスのブランドですね。
山口:僕ら世代の憧れブランドなんですよ。大人になったら着たい服というか。僕はバッグは持っていたのですが、服はほぼ一点物のような感じであまり出会えず、それに高価なのでなかなか手を出せなくて。
F:レザーに洗いがかかったような、独特な風合いの加工が渋いです。
山口:これも、新しい定番を探そうということでチャレンジした一着です。コロナ禍で培ったというか自分の中で芽生えた感覚で「ずっと着られるもの」というのがあって。たとえば5年後10年後、おじいちゃんになっても、一年に一回しか着なくても、いつか必ず着たいもの。そういうものを自分の中の定番として定義していて、ポール?ハーンデンは適しているなと思いました。残せるというか、僕が好きなミッドセンチュリーの家具みたいにバトンを繋げていけるような。
F:確かに、ポール?ハーンデンは長く着るほど馴染んでいきそうです。山口さんはレザーは普段から着ますか?
山口:服は持っていなかったんですよ。レザーってなんとなく"頑張ってる"という先入観があって。でも先日「シュガシュガ※」の収録で操上さん(フォトグラファー操上和美)と対談した時、レザーのライダースが似合っていてものすごく格好良かったんですよね。ただ、自分だったらライダースじゃなくて、こういうジャケットがいいなと。
※NHK Eテレ「サカナクションの音楽実験番組 シュガー&シュガー」の略称。2ndシーズンが最終回を迎え、番外編が放送予定。12月29日(水) 22:00??https://www.nhk.jp/p/sugar-sugar/
F:着ると大人の雰囲気が出ますね。着心地はいかがでしょう。
山口:とても良いですよ。今日みたいにニットとか、フーディーの上に羽織っても合うと思う。
F:取り扱っているお店も限られていると思いますが、どこで出会ったのでしょうか。
山口:「ドーバーストリートマーケット ギンザ」です。加藤浩次さんと一緒に行った時に。
F:仲良しですね(笑)。
山口:2人でやらせて頂いているラジオ※の企画で急遽、一緒にドーバーに行くことになりまして。加藤さんもこのブランドが好きで、見つけた瞬間に目の色が変わったんですよね。
※STVラジオ「加藤さんと山口くん」=極楽とんぼの加藤浩次とサカナクションの山口一郎、小樽出身の2人が、北海道愛?小樽愛を熱く語る番組。ドーバーストリートマーケットでのお買い物の回は11月14日に放送:https://www.stv.jp/radio/ky/onair/u3f86t00000ckm9s.html
F:確か番組では、加藤さんが最初にジャケット着てみたらサイズが合わなくて、次にセットアップを試着していました。
山口:僕も密かにセットアップを狙っていたんですけど、加藤さんが買っちゃったので、僕はこっちのジャケットの方を。これは絶対に長く使えるはず。おじいちゃんになっても着ますよ。
JUNYA WATANABE ジャケット
F:続いては「ジュンヤ ワタナベ(JUNYA WATANABE)※」。メンズウェアに見えましたが、ウィメンズなんですね。
※今年から名称が変更となり、ブランド名に含まれていた「コム デ ギャルソン」が外れて「ジュンヤ ワタナベ 」および「ジュンヤ ワタナベ マン」で展開中。
山口:最近はウィメンズを選ぶことが増えました。これはたまたまギャルソンの店内で、ぐるっと巡っていたら見つけたものです。
F:テーラードジャケットを解体してレイヤード風にドッキング......かなり作りが凝っています。
山口:よく見ると面白くて、切り替えがズレていたり、脇の下が空いてたり、ボタンホールがあるのにボタンが無い(笑)。もともとジュンヤのバランス感覚って好きなんですよね。オムやプリュスとはまた違って、ツボを刺激されるというか。これも今年かなり着ています。
F:男性と女性、どちらも着られそうなサイズ感です。
山口:シルエットも良いですよね。着ると襟が少し浮くようになって面白いし。
F:確かツイッターで、どこのブランドか知りたいフォロワーにちゃんと返信して答えていたのがこのジャケットでしたね。
山口:やっぱり気にしてくれた人には伝えたくて、逆に自分が本当に好きなものじゃないと紹介できないというか。そういう責任もある気がしていて。みんなに教えたいものがたくさんあるんです。
F:今年はそういったお気に入りが多く見つかりましたか?
山口:今年の前半は歌詞を書くために潜っていたので、買い物は主に後半戦でしたね。定番になりすぎて今日ここに持ってこれなかった服も色々とありまして。「マルニ(MARNI)」のパーカとか、「MM6」のパンツとか、「サカイ(sacai)」と「ポーター(PORTER)」のコラボバッグとか......
F:マルニのパーカについては最近、ツイッターで洗濯方法についてフォロワーの皆さんが色々と教えてくれていましたね(笑)。
山口:パーカは2色持っていてお気に入りなのですが、ポケットに紙ナプキンを入れたまま洗濯しちゃって大変なことなって(笑)。ツイッターで教えてもらった通りに柔軟剤を使って洗ったら、無事に落ちました。みんな本当に優しいです。
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