コケティッシュな新ゴルフアパレルブランド「ココエアリー」　未経験ならではの発想で日常着に近いデザインを提案

LIFESTYLE

佐藤茉莉花氏

IMAGE by: FASHIONSNAP

　ブームに乗ってこの1、2年で100以上のブランドが誕生したと言われているゴルフアパレル業界。その中でも、これまでのゴルフアパレルにはなかったフェミニンでエレガント、かつコケティッシュなスタイルを提案する「ココエアリー（coco airy）」が異彩を放っている。仕掛け人はもともと専業主婦だったという佐藤茉莉花氏。今年4月にデビューしたばかりだが、6月25日には伊勢丹新宿店のゴルフのセレクトショップ「ダブルイーグルパワードバイイセタンゴルフ（以下、ダブルイーグル）」で百貨店初となるポップアップがオープンした。

　佐藤氏のアパレルの経験は販売員のみで、デザインやディレクションはココエアリーが初めてだという。ブランド立ち上げは約1年前、コロナ禍のゴルフブームにのってゴルフを始めようとウェアを探していた時に好みのデザインが見つからないことがきっかけだった。「日本のブランドはサイズ感が大きく、デザインもヴィヴィッドカラーや柄物が多い。日常着に近いウェアが欲しかった」。

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　インスタグラムでのリサーチの中で行き着いたのは、韓国のゴルフウェアブランドだった。富裕層やファッション感度の高い若者が親しむスポーツとして発展してきた韓国のゴルフアパレル市場は、ボディラインが出るタイトなシルエットにパステルカラーの配色といったウェアが主流。日本で増えている若者の女性ゴルファーの間でも、手に取りやすい韓国ブランドのテイストが注目されているという。「同じようなテイストで、かつ価格帯としても手に届きやすいものがあったら売れるのではないか」。佐藤氏は自身で運営会社Jasmineを立ち上げ、ココエアリーを発足させた。

　コンセプトは「ゴルフウェア×フェミニン＝新定番に」。キーワードには「コケティッシュ」「フェミニン」「エレガント」の3つを掲げる。佐藤氏はゴルフ未経験だったが、ゴルフ経験者の友人の意見を頼りに自由な発想でゴルフウェアを開発。胸元の開いた襟元やリボン、パフスリーブ、シアーな素材、ピンクをメインとしたパステルカラーなどの要素を落とし込み、日常着としても着られるデザインを展開している。スカートはインナーのパンツと一体型ではなくセパレートすることで着脱しやすくしたり、ウエストポーチを通せるようにベルト通しを必ず取り入れるなど、女性目線で機能性も追求した。

ココエアリーの最新ルック

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　購買層は20代?30代の若い女性ゴルファー。デザインのテイストに加えて、トップス?ボトムスが7000円前後、ワンピースは1万円強で買える手頃な価格設定を強みとしている。認知ゼロからのスタートとなったが、インスタグラムを活用したユーザーとのコミュニケーションのほか、アンバサダー制度を採用し、フォロワーの多い若い女性ゴルファーを起用したプロモーション活動を行うことでファン層を徐々に拡大。雑誌「美人百花」のゴルフブランドのページでも取り上げられるようになった。ECのみで展開してきたが、デビュー1ヶ月後には新宿マルイ本館でのポップアップストアが実現。5月4日から10日の1週間で300万円を売り上げた。デビューから3ヶ月間の合計売上は1000万円を計上し、黒字転換しているという。

　従来のゴルフウェアは露出の控えめなデザインがマナーとされてきたが、ゴルフ業界で消費を支えてきた団塊世代の引退が始まる「2025年問題」への危惧から、一般的なゴルフ場は若年層の利用者を増やすためにドレスコードを緩和する動きがある。「次のゴルフ業界を支えるのはゴルフ女子だ」という声もあり、ココエアリーで提案するコケティッシュなデザインも受け入れられているという。

　伊勢丹新宿店のダブルイーグルでのポップアップは、ダブルイーグルを共同展開するゼビオグループのバイヤーからの紹介から実現。ダブルイーグルでは「百貨店初」や、ゴルフショップの激戦区となっている新宿の中でも「新宿エリア初」といった通常のゴルフショップでは取り扱いのないブランドを戦略的に展開しており、ココエアリーのポップアップもその一環としている。「伊勢丹新宿店本館にはファッション感度の高い女性のお客様が多く来られるので、ゴルフの売り場にも女性のお客様に来ていただきたいと思っていた。コロナ禍でゴルフを始めた方が多いですが、着るものがないという声もある。普段着としても使えるようなデザインのブランドをもともと探していたこともあり、今回は若いお客様の女性をターゲットに、ココエアリーのポップアップを決めた」（ダブルイーグルパワードバイイセタンゴルフの担当バイヤー石井博之氏）。

　店頭では人気アイテムの伊勢丹新宿店限定カラーのほか、ノベルティを用意。6月25日にスタートしてから滑り出しは好調で、伊勢丹新宿店としてはこれまでとは違う顧客層の来店に手応えを感じているという。ブランドのファンだけではなくダブルイーグルの来店客がココエアリーの売り場に興味を示すといった動きもあるそうだ。ポップアップは7月10日まで開催している。佐藤代表は今後のブランドの展望として「実店舗を持って路面への出店を実現させたい」と話した。

ポップアップの様子 Image by: FASHIONSNAP