ビジネスタワーの飲食ゾーン「虎ノ門横丁」が館全体の集客に寄与
森ビルが東京?虎ノ門で運営する3棟の大型複合施設、虎ノ門ヒルズ(港区)の商業ゾーンの来館者数と売り上げが大幅に回復している。中でも、20年6月に商業ゾーンが開業したビジネスタワーは柱である飲食ゾーン「虎ノ門横丁」の伸びが大きく寄与し、6月の売上高が月間売上高として過去最高となった。7月も順調だ。まん延防止等重点措置の全面解除以降、近隣のオフィスワーカーを中心に来街者数が回復している効果に加え、テナントと一体となって需要を喚起するためのイベントを実施し、成果を上げた。
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(有井学)
虎ノ門ヒルズは14年5月に森タワー、20年1月にビジネスタワー、今年1月に住宅主体のレジデンシャルタワーが完工した。現在の商業店舗は森タワーが24店、ビジネスタワーが59店、レジデンシャルタワーが1店で、レジデンシャルタワーは今後2店がオープン予定。飲食店が多いが、ビジネスタワーは「カシヤマ」「メーカーズシャツ鎌倉」や、アーバンリサーチとファミリーマートとの協業業態「アーバン?ファミマ」など物販も充実している。
森タワーを含む商業ゾーン全体の22年3月期の売上高は前期実績を上回った。20年4~5月に緊急事態宣言下で森タワーの店舗の大半が休業していた反動と、ビジネスタワーが通期稼働したことに加え、コロナ禍の影響がいったん落ち着いた昨年10月下旬から年末に飲食を中心に需要が拡大した。今期は「4月から右肩上がりの状況」(榎本拓朗営業本部商業施設事業部商業運営部商業運営2部赤坂?虎ノ門エリア店舗運営室プロモーション担当)だ。
中でも、老舗和食店の分店など東京の人気店25店を集めた3階の飲食ゾーンの虎ノ門横丁が好調だ。6月は11日の開業記念日に向けたイベント「虎横祭」を9~11日に実施、各店で「縁日メニュー」を出し、フォトブースを設けるなどの企画を行った結果、10日と11日の売上高はそれぞれ1日当たりの売上高として過去最高額となった。ビジネスタワーでは1階のスイーツなどの食物販がギフト需要もつかんだほか、2階の物販ゾーンもスーツやシャツを中心としたビジネスウェアを含め、「認知が進んでリピート客が増え、順調」だ。
エリア全体として、20年6月に最寄り駅の東京メトロ日比谷線「虎ノ門ヒルズ」駅が開業して以降、コロナ禍の影響は受けながらも、「駅利用客は着実に増え、土曜?日曜日はファミリーや女性客も目立つ」という。「近隣の銀座や日比谷からの回遊も多い」とする。3月下旬以降はそれまでテレワークが多かった近隣のオフィスワーカーの出社も増え、商業ゾーン全体の活気につながった。「レジデンシャルタワーの居住者の需要もつかめている」という。7月15日~8月31日には赤坂のアークヒルズを含む近隣の自社運営8施設の飲食店計36店で「激辛メニュー」のイベントを行うなどしてエリア全体を盛り上げる。 虎ノ門ヒルズは23年7月の予定で、虎ノ門ヒルズ駅直結のステーションタワーができ、全体が完成する。同タワーにはホテルなどが入るほか、商業ゾーンも充実する。虎ノ門ヒルズ全体の商業ゾーンの面積は約2万6000平方メートルとなる。
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