「私こんなのが好きです」「こう着るといいよね」。新作を試着する販売員たちが笑顔で話す。12人が働くベイクルーズグループの「ドゥーズィエムクラス」ルミネ新宿店では、販売員同士がコミュニケーションを積極的に取り、会話を通してそれぞれの個性や得意分野を引き出そうとしている。
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「コロナ禍で人とつながれるありがたさを実感した。お客様はもちろん同僚販売員に対しても、魅力的になれるよう手伝いたい思いがより強まった」と吉田萌香店長はかみしめるように語る。
コロナ禍で店舗休業となった時、販売の仕事は大きく制限された。顧客に手紙を書いたり、電話での接客や店舗から通販したり。やることはあったが、店で客を迎えられる今、客や自分たちが集う場所がある幸せを痛いほど感じている。
一方、オンラインでの買い物は急速に浸透した。ターミナル駅ビルにある立地の良さで、通勤や仕事の昼休みのついでに、毎週、毎日のように来店していた客が、オンラインで入念に下調べし、目的商品を見定めてから来店、顧客の来店頻度は減少した。
ECの人気ランキングやレビュー、骨格?パーソナルカラー診断が商品選びで重要なツールになった。以前も一定数いただろうが、「ECで買うための下見です」と明かす客が増えた。
販売員にとっては、すでに取り組まれていたDX(デジタルトランスフォーメーション)が加速し、業務負担が軽減した側面もある。店に無い商品を倉庫から自宅に配送する「おうち受け取り」など、店のiPadの操作で完結する業務のクラウド化などが進んだ。
吉田店長は、他店との電話や引き継ぎなどの付帯業務が1日に延べ3時間ほど圧縮し、接客や店舗スタッフとのコミュニケーションの割合を増やせたという。ECの拡大についても「買い物の選択肢が広がったのはとても良いこと」と話す。
ただ、全てをECで解決できるわけではない。苦手意識のあるアイテムの取り入れ方、手持ちの洋服と組み合わせた少し新鮮な着こなしなど、濃度の高い接客が求められている。
個性ある販売員が、自分なりの接客で客に楽しんでもらうことができれば、来店価値が高まる。吉田店長は「販売員が『自分の接客じゃなくちゃだめだ』という気持ちを起こすことが一番大切」と力を込め、「お店に来てよかったと思ってもらってこそ、販売職のやりがいと存在する意味がある」と意欲を燃やす。
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