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オーガニックとサイエンスを融合した国産コスメブランド「シン ピュルテ(SINN PURET?)」が、事業譲渡から2年で知名度、業績ともに伸長する。日本の素材を使用した上質なスキンケアやベースメイクを受け継ぎ、よりクリエイティブにこだわった表現が奏功。その"癒やし"と"見た目"、さらには心落ち着く"香り"も人気の秘密だ。この心地よさを引き継ぎつつ、香りをまとうことで自由な自己表現を楽しむための新ライン「シグネチャーライン(SIGNATURE LINE)」が11月1日に登場。フレグランスやボディケアなどのほか、12月にはヘアケア製品も加わる。「心と体をトリートメントするトータルビューティブランド」へ、基盤を固める。
シン ピュルテの前身となる「シン」は、「ジョンマスターオーガニック(john masters organic)」を手がけるスタイラ(当時)が2012年にスタート。自然由来の成分とメイドインジャパンにこだわったブランドとして、機能性を兼ね備えたナチュラルコスメとして幅広い層から支持を集めていた。2020年に、アナイスカンパニーが事業を譲受し、運営を引き継いでいる。アナイスカンパニーは企業のブランディングやマーケティングを支援する事業を展開し、ジョンマスターオーガニックやシンでも、香りを含めたクリエイティブ面でサポートしてきた。そのほか自社製品として日本酒やサプリメントを手掛け、レンタルアロマディフューザー事業など香りにこだわった事業も行っている。
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シン ピュルテは、2021年にアナイスカンパニー主導のもと、商品およびクリエイティブを全面的に刷新し再始動。コロナやデジタル社会、多忙な生活などの現代の社会情勢の変化を受けて、自分に向き合いトリートメントするプロダクトの潜在的なニーズを捉え、「マインドフルビューティ」をコンセプトに据えた。さらに同社の強みである香りづくりにフォーカスし、香りによって脳や心を整え、肌にもアプローチするという「スイッチング美容」を提案。慶應義塾大学の満倉靖恵教授とともに、香りと脳波の関係を研究し、エビデンスに基づいた香りを取り入れたスキンケアをローンチした。
近年では、ボディとヘアの両方に使える「マインドフルフレグランス」や、昨年ヘアサロンで先行販売し、今年2月に一般発売した「トゥーグッド マルチベネフィットオイル」がヒット商品となった。特に後者は現在約5700のサロンで取り扱い、累計販売本数は1年足らずで23万本を超える売れ行きで、香りにこだわったブランドイメージの醸成に貢献した。これらの好調の背景の一つに、同社の上妻善弘代表取締役社長は外的要因を挙げる。コロナ禍でフレグランスの人気が急拡大したことに加え、「ご自愛美容」の考えが広まったことが大きいという。「コロナで自分に向き合う時間が増えたことで、『マインドフルネス』や『セルフトリートメント』に注目が集まり、私たちが提案している“マインドフルビューティ”や“スイッチング美容”の考えを受け入れてもらえたのだと思います」と分析する。
一方で、多くのブランドがコロナ禍で内面を見つめ直す中、好調を維持できたのは、多数のブランドのクリエイティブディレクションを手掛けてきたノウハウが生かされ、“差別化”したクリエイティブ作れたことが大きい。上妻社長が運営する別会社が、化粧品やフレグランスの容器製造を行なっていて、そこでシン ピュルテ製品の容器を開発することで、デザインの自由度が高く、世界観を作り込むことができるのも人気を支えるポイントのひとつだ。こうしたことから、リニューアル後の売上は毎年前年比を超え、今年は9月末時点で前年比の2倍を上回る勢いだという。
さらなる成長のために立ち上げた今回の新ラインは、ブランドが生み出す香りが持つ力を、パーソナルな世界から、自己表現のフェーズへと広げる。「われわれの調査では、『自信が持てるお守りアイテム』について聞いたところ、1位のコスメに次いでフレグランスが2位に挙がりました。アクセサリーやファッションよりも、フレグランスが『自分のコアをぶらさないお守り』として必要とされ、ポテンシャルがある」と開発背景を説明した。これまでと同様に、ラインナップする香りはすべて脳波の解析に基づいた機能性を兼ね備えている。
新ラインでは、要となるフレグランス「マインドフル フレグランス シグネチャーパフューム」(3種 各40mL、各税込1万2500円)をはじめ、素肌をメイクアップする新提案のフレグランス「スキンパフューム」(2種 各10mL、各同3480円)や香りを取り入れたライフスタイルの提案として「マインドフル ハンドウォッシュ」(480mL、同3800円)とエイジングケア美容液発想で美容成分とウォーターヴェール処方を採用した「マインドフル ハンドセラム」(2種 各45g、各同2900円)が登場。今後の予定として、頭皮ケアとダメージケアを叶える“パルファンヘアケア”アイテムの発売を控え、来年にはルームフレグランスを計画している。
今後はシグネチャーラインと、そのほかのスキンケアやメイクアイテムの2軸での成長を計画。マインドフル フレグランス シグネチャーパフュームでは、国内最大級の伊勢丹が開催するフレグランスの祭典「サロン ド パルファン」にブランドとして初めて出展し、フレグランス愛好家へもアピールし、ブランドイメージをより強固なものにする。シグネチャーラインでは、香りの拡充のほか、ボディケアやバスオイルなどのインバスアイテムなどの製品も検討。
見据える先として、「すでに韓国や中国から問い合わせがある」とし、来年以降でアジアを中心とした海外進出を視野に入れているという。「リニューアルからまだ2年。やりたいことは尽きず、2025年には直営店も出店したい」と先を見据える。「現状に満足せず、ひとつずつ、こだわりのモノづくりを続けたい」とも述べ、真摯な姿勢で大きな成長を目指す。
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