日経新聞によれば、総合商社大手の伊藤忠商事が、中国製品の越境ECを手掛けるスニフ社(杭州)と合弁会社を設立し(出資比率 スニフ51%伊藤忠49%)、日本未発売商品を中心に中国製品を日本の小売チェーンのバイヤーが買付けすることを支援をするようです(越境ECという形で BtoB輸出入を支援)。
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小売業のバイヤーは少量から仕入れることが可能で、発注から店舗への到着まで最短2日程度で納品出来るそうで、出資先は、早期に年50億円規模の事業規模に育てる目標。まずは、伊藤忠が提携関係にあるドンキホーテ向けに取引を始めるようです。
スニフと言えば、中国のECサイト、アリババで国内取引される多数の商品の中から、品質が良く、価格が安いメーカーを選りすぐり、「THE 直行便」の名でアマゾンや楽天などで販売する事業者に向けに越境BtoBビジネスを支援して急成長している会社。
杭州のアリババ本社の敷地内に本社があるほど、アリババと親しい関係があることで知られていたベンチャー企業です(社長さんは中国人ですが、日本に留学し、日本の商社でも働いていた日本通の起業家のようです)。
毎年、経産省が調査報告している「電子商取引に関する市場調査報告書」の2022年度版、越境ECに関する情報によれば、あくまでも、BtoC(消費者向け)ですが、
日本から中国に対して 2兆2569億円もの越境ECが行われているのに対して
中国から日本向けのそれは 392億円しかない ことが記されています。
要は、中国人は日本製あるいは日本企業クオリティを信頼して積極的に越境EC購入をしているのに対し、日本人は中国から個人で直接EC購入することには品質や商慣習的に抵抗があるということでしょう。
これまで、中国からの製品輸入と言えば
?商談ベースのBtoB(企業間)OEM生産から始まり
?製品市場(いちば)やタオバオのような卸向けのマーケットプレイスから事業者(卸売りまたはEC販売をする企業?個人事業主)既製品を買付ける(BtoB)ビジネスが広がり
今や、
?SHEIN(シーイン)やTEMU(ティームー)がCtoC(一般消費者向け)の市場を開拓中です。
上記に対して、伊藤忠とスニフの取り組みは
?日本でまだ知名度のない中国メーカーの製品の中から安心できるメーカーや製品を選び小売チェーンのバイヤーが手軽に買うことができるECのBtoBプラットフォームづくりを始めると整理すればよいでしょうか。
中国市場は不景気の真っただ中、これまで巨大市場である国内を向いてビジネスをしていたメーカーも海外に目を向けざるを得ない時中国国内の内地向け在庫も景気が悪く、積み上がっていることでしょう。
仕入れるバイヤー側も、BtoBと言ってもコスト重視のバルク(大量)発注ではなく、必要な時に必要な分だけ仕入れる、そのために出張はしなくても済む、ECを経由してBtoB向けにも小ロット輸入(とは言えチェーンストア向け)が増えるであろうことに目をつけた伊藤忠とスニフの取り組みはこれからの中国からの輸入ビジネスの新しい幕開けと言えるかも知れません。
これから、在庫を抱えた中国メーカーのはけ口として、このようなプラットフォーム経由でBtoB型で海外市場に出回ることは昨今のSHEINやTEMUの急拡大を見れば、想像に難くありません。
最後までお読み頂き、ありがとうございます。執筆:?ディマンドワークス代表 齊藤孝浩
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~流通業界の常識を変革する10のビジネスモデル」(日経BP社)
第2章では従来のグローバルSPAとSHEIN(シーイン)のビジネスモデルを比較して分析しています。
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