ジュエリーブランド「クリティカルラボ(critical : lab)」を手掛けてきた森りこが、新たなファッションブランド「コブルドゥ(cobble du)」を2024-25年秋冬シーズンからスタートする。
約4年間運営してきた「クリティカルラボ」はアイコンとなるイヤカフがヒットし、20代を中心にファッション感度の高い女性たちに支持されてきたが、2023年を持ってクローズ。レディトゥウェアを軸にした発表に切り替えるため、1年の準備期間を経て「コブルドゥ」のファーストコレクションを製作。キャスティングディレクターとしても活動する坂本悠生が、「クリティカルラボ」から継続してディレクターとして参加している。
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ブランド名はスウェーデン語で“石”を意味する“コブル(cobble)”と、フランス語で、不可算名詞の前に置かれる“ドゥ(du)”を合わせた造語。石畳のように長く歴史に残っていくものを作っていくという思いと、前身ブランドの“クリティカル(批判的)”の名にも通ずる「強い“意思(石)”を持ってほしい」というメッセージを込めている。
デビューコレクションの”強い意思”
渾身のデビューコレクションとなる2024-25年秋冬は、原点であるジュエリーデザインをルーツにするクリーンでミニマルな世界観と、造形的でユニークなシルエットを取り入れたウェアとジュエリー、バッグの24型が揃う。テーマは「nothing’s gonna hurt me with my eyes shut(目を閉じておけば傷つくことはない)」。デザイナーの森の心に響いて書き溜めていた言葉から選んだ一文で、「その場から逃げずに、自分と向き合う時間を大切にしてほしい」と着用者を鼓舞するものだ。
ルックはモード誌で活躍するスタイリストの遠藤彩香、フォトグラファーの宮崎裕介、メイクアップアーティストのNobuko Maekawa、ヘアスタイリストのTenju Okazakiらが担当した。
フィリップ?スタルクのユニークな発想
今季はフランスの建築家でデザイナーのフィリップ?スタルク(Philippe Starck)の作品が大きなインスピレーションとなった。スタルクが照明ブランド「フロス(FLOS)」のために手掛けたテーブルランプ “ARA”は、森が初めて目にしたときからそのユニークなデザインに感化され、数年後に手に入れてからはデスクに置いているという思い入れのあるもの。そのツノのように尖ったシルエットをオマージュしたリングをはじめ、スタルクによるランプシェードを壁に押し込んだ“Walla Walla Wall Light”の発想をヒントにして、襟やポケットに中綿を入れて一体化させたジャケットなどがある。
ジュエリー由来のデザイン
ジュエリーデザインを取り入れた要素は、ブランドアイデンティティの一つ。裾にボーンを入れることでジュエリーの硬さを表現したスカートや、リングゲージを象ったネックレス、“袖を通せるジュエリー”としてチョーカーと肩のカフスをチェーンで繋げたハーネスなど、随所にジュエリー由来のエッセンスが詰まっている。
反骨精神のあるディテール
デザインの節々に反骨精神が感じられるのも特徴だ。“Fuck Top”と名付けたタートルネックのトップスは、パパラッチに追われたセレブリティが自己防衛のために中指を立て撮られた写真の仕草や態度に着想し、右手の中指、左手の人差し指と小指に穴を入れることで、そのポーズを真似することができる。「反骨心をたやさずに、自分自身や自分の好きなことを守れますように」というメッセージを込めた。シャツ袖を10本縫い付けたボックスプリーツスカートは、スーツとシャツの正統派な素材と、その大胆な構造とのコントラストが効いている。
日常で見つけたパーソナルなアイデア
森が日常生活で見つけたアイデアも満載。トイレにあった電球の形をヒントにしたイヤカフ、愛犬の毛質や色にインスパイアされた素材を使ったショート丈のダッフルコートなどパーソナルな視点も面白い。
価格帯はアウターが9万円、ジャケットが7万2000円、ボトムスが4万5000?7万円トップスが2万7000円?、ニットが5万6600円、バッグが20万円、ジュエリーが2万2000?22万円。
森は「(不特定多数ではなく)“好きなものを自分で選ぶこと”を大切にする人たちに刺さる服をしっかり作っていきたい。コレクションブランドとして、ファッションショーの発表や海外での展示会開催も視野に入れ、グローバルに広がるブランドにしていきたい」と意欲的だ。
森は大阪出身。バンタンデザイン研究所高等学校を卒業後に、ファッションブランドのインターンなどを経験する。アクセサリー作りは独学。2019年、アクセサリーブランド「クリティカルラボ(critical:lab)」を立ち上げた。
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