Image by: TSTS
デザイナー佐々木拓也とパタンナーの井指友里恵が手がける「ティーエスティーエス(TSTS)」が、堅調に売り上げを伸ばしている。昨年発表した2024年春夏シーズン(2シーズン目)と比較して、翌シーズンの2024年秋冬コレクション(3シーズン目)の卸先は4倍に増加。グレイト(GR8)、「インターナショナルギャラリー ビームス(International Gallery BEAMS)」、「THE ELEPHANT」、「フェアンヴェー_ドゥフト(fernweh_duft)」など人気のセレクトショップで取り扱っており、今シーズンはさらにその数が増える見込みだという。
TSTSは「TAKUYA SASAKI TEST SAMPLES」の略語で、TEST SAMPLESは、兵士への正式支給前に試験的に開発?テスト使用されていた「Experimental test Sample」に由来。ブランドコンセプトである「二面性」を表現したカラフルなギンガムチェックやボーダー、ストライプのグラフィカルなツートーンの柄使いが特徴で、ユーモアと社会批評性を併せ持つコレクションを展開している。
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「二面性」は佐々木のアントワープ王立芸術アカデミーの卒業コレクションのテーマでもあり、デビューシーズンはその卒業コレクションを刷新する形で表現。セカンドシーズンでは、佐々木本人の当時のパーソナルな心境をアイテムに反映した。
3シーズン目では、再びアントワープ王立芸術アカデミーの卒業コレクションで発表した作品の考え方に立ち返り、ブランドのクリエイションの軸を再度捉え直した。アイコニックな柄使いやユーモアのある発想をリアルクローズに落とし込んだ商品はバイヤーから好評で、今年6月から店頭に並び、すでに7割をプロパーで消化している店舗や一部商品が完売している店舗もあるという。
佐々木は販路拡大の理由を「デビュー直後は“突飛なクリエイションをするブランド”というイメージが強かったと思うが、コレクションを重ねるにつれて、しっかりと店頭でも手に取っていただけるブランドだと感じていただけたのでは」と分析。ブランドの担当PRは、「3シーズン目からブランドのアイデンティティが明確になったことも奏功したのでは」と振り返る。
最新の2025年春夏コレクションは、京都市京セラ美術館で開催されていた村上隆の個展「村上隆 もののけ 京都」に登場した作品「言い訳ペインティング(未完成の作品を村上のキャラクターがカンガのセリフのように解説や言い訳をしている絵画作品)」に着想。コレクション製作に行き詰まる中でその作品に出会い、「心が軽くなった」ことを受けて「無理をしない」ことをテーマに設定した。
リラックスした感覚を取り入れた今シーズンでは、「言い訳ペインティング」をイメージした吹き出しのモチーフを採用。ルックブックでは、モデルが“ブツブツと言い訳を喋っている”というユーモアのあるヴィジュアルを制作した。
アイテムには、吹き出しやオリジナルでデザインした絵文字のグラフィックが大胆にプリントされたジャケットやフーディー、吹き出しのもくもくとしたラインのカッティングが施されたジャケットやTシャツなどをラインナップ。デビューコレクションから使用してきたカラフルなギンガムチェック柄を押し出す柄展開で、さらにブランドの特徴を強く印象付けた。
Image by: FASHIONSNAP
メンズブランドとして展開しているTSTSだが、客層の約3割は女性で、今シーズンからサイズ展開を拡大。一部アイテムを除き、XSからXLまで5サイズを揃える。今後は、ウィメンズラインの立ち上げも検討しているという。
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