ヨーロッパを代表する国際的なファッション合同展示会「TRANO?(トラノイ)」をご存知だろうか。
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パリ?ファッションウィークが公式に認める唯一の合同展示会であり、世界を目指すデザイナーやバイヤーをサポートする重要な役割を担っている。
今年9月にアジア地域初となる「TRANO? TOKYO」が日本で開催されたことで、日本のファッション業界でも注目を集めた。
なぜTRANO?は開催地として東京を選んだのか。TRANO?はどのような背景で誕生し、他の展示会と比較してどのような違いがあるのか。
TRANO?について知ることで、ファッション業界の今後の動向を掴むヒントになるだろう。
そこで今回は、TRANO?の津島さんに話を伺った。
PROFILE|プロフィール
津島 忠章(つしま ただあき)
TRANO?
Regional Manager Japan
デザイナーの育成と国際的な影響力を両立させる独自の展示会
TRANO?は1998年にパリでローンチされた。25年以上続く歴史ある展示会だが、どのような経緯で創設されたのだろうか。津島さんは次のように語った。
「創設当時、ファッション業界には革新的で独自性のあるデザイナーが注目を浴びる場が少なかったため、TRANO?はそのギャップを埋めるために設立されました。TRANO?の名はイタリア語で『私の間に』という意味を持ち、デザイナーとバイヤーの間に直接的なつながりを作るという理念を表現しています」
ただ単に先進的なブランドを集めた展示会を実施するだけでなく、デザイナーやバイヤーへの機会提供が目的として見て取れるが、他の展示会とどのような点が違っていて、何を意識して運営をしているのだろうか。
「違いは、TRANO?は国際的な影響力を持ちながらも、個々のバイヤーやデザイナーに対してパーソナルな体験を大切にし、時代の変化に柔軟に対応してきたところにあります。特に注力している点としては、新進デザイナーの発掘と育成、クリエイティビティの推進、そして人と人とのつながりの強化です。
TRANO?は単なるビジネス取引にとどまらず、デザイナーとバイヤーが長期的な関係を築ける場を提供しています」
このような想いでTRANO?は運営されており、実際にAcne Jeans、Maison Kitsunéといった数々の有名ブランドやデザイナーが誕生している。
女性向けブランドに特化した「Trano? Woman」
TRANO?には、「Trano? Woman」という女性向けブランドに特化したイベントがあり、新進デザイナーや現代的なブランドが紹介されている。今年もフランス?パリで「Trano? Woman」が開催され、新しく導入された要素や特徴はあるのだろうか。
「TRANO?とCANEX [The Creative Africa Nexus] (アフリカのクリエイティブ産業を支援?促進するためのプロジェクト) が提携し、20人の革新的なアフリカ人デザイナーを紹介しました。さらに、China Selectとのパートナーシップを通じて10人の中国人デザイナーを受け入れることで、中国とフランスの外交関係の60周年を祝いました」
前述の通り、ここでもデザイナーの発掘や育成に力を入れている点が見受けられる。TRANO? EVENT WOMEN2024の注目のブランドやデザイナーについても聞いてみた。
「選ぶのが難しいですが、ヴォーグ誌によってコペンハーゲンで最も先見性のある若手デザイナーに選出されたデンマークの『HELMSTEDT』や、2019年にLVMH賞を受賞した南アフリカの『THEBE MAGUGU』などは特に注目です」
世界中から注目のブランドが集約されている本展示会だが、日本からもRED CARD TOKYO (レッドカードトーキョー)、Maison de Soil(メゾン ド ソイル)、evam eva(エヴァムエヴァ)、ITTI(イッチ)など数多くのブランドが出展している。ほとんどのブランドは、毎回新規の取引先が決まっており、現地での評判も好評とのことだ。
東京をアジアのファッションハブへ
2024年9月には、アジア地域初となる『TRANO? TOKYO』が開催された。どのような経緯で開催に至ったのだろうか。
「TRANO?は、アジア市場の重要性が高まる中、日本は洗練された市場と豊かなクリエイティブシーンでアジア全体に影響を与える存在です。東京での開催を通じて、ヨーロッパとアジアのファッション業界の交流を深め、ビジネスの新たな機会を提供しようとする狙いがありました。
また、TRANO? PARISでは、フランス、イタリアに次いで、日本からの来場者数が3番目に多いという実績があります。TRANO?の歴史のなかでも、たくさんの日本のブランドにご出展いただいており、世界的に活躍しているブランドも少なくありません。そのような理由から、TRANO?は日本に対して特別なつながりを感じています」と津島さんは語る。
TRANO?は日本で展示会を開催することでアジア市場の開拓を図っており、日本のブランドにも好意的なようだ。今回、東京での開催にあたって、パリでの開催とは異なる、特別な取り組みはあったのだろうか。
「『東京をアジアのファッションハブへ』というチーム全体の目標を達成するためには、たくさんの課題を乗り越えないといけません。まず一番大事なのは、バイヤーの満足度。そして、出展者の満足度です。
バイヤーが求めるブランド構成などは、今後もチームの課題として取り組まないといけません。それに加えて、「オーダーしたいのにエージェントがいないからオーダーができない?輸入ができない」という問題と、「アジアのバイヤーとつながったのに輸出のやり方がわからない?下代の付け方がわからない」という出展者側の問題の解決ができるように、オフィシャルの輸送業者とパートナーシップを結びました」
バイヤーと出展者の満足度を高めるための取り組みもあって、実際に第1回となるTRANO? TOKYOを実施した結果、反響は良く、多くの来場者からポジティブなコメントが寄せられているとのことだ。また、今回出展したブランドの多くが「また来年も出展したい」と前向きな反応を示している。
これらの反応から、TRANO? TOKYOの初回開催は成功を収めたと言えるだろう。今後も定期的にTRANO? TOKYOは開催予定で、すでに2025年3月18日?19日と同年9月3日?4日の実施が決まっている。
デザイナーとバイヤーを結ぶ架け橋に
TRANO?の今後の展望についても話を伺った。
「大きく3つあります。1つ目は、アジア市場でのさらなる拡大。TRANO? TOKYOの開催を契機に、アジア市場でのプレゼンスを強化することや、アジアのクリエイターやバイヤーとのネットワークを広げることで、国際的なファッションプラットフォームとしての地位確立を目指します。
2つ目は、新しい才能の発掘と育成。TRANO?は、グローバルな市場にアクセスする機会を提供し、新しい才能を発掘するプラットフォームとしての役割を担い、地域や国境を越えたクリエイティブなコラボレーションを促進することで、ファッション業界に新たな風を吹き込みます。
3つ目は、グローバルなネットワークの拡大。ファッション業界のグローバルネットワークをさらに強化し、多様な市場におけるファッションビジネスの機会を創出することで、デザイナーやバイヤーの国際的なコラボレーションを促進する場としての役割を担います」
TRANO?のこれらの展望は、ファッション業界に新たな可能性をもたらすと同時に、グローバルな文化交流の促進にも貢献するだろう。TRANO?はデザイナーとバイヤーを結ぶ架け橋としての役割をさらに強化し、ファッション業界全体の発展に寄与していくことが期待される。
Text by ogurin
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