三越伊勢丹ホールディングスが2025年3月期の中間連結決算(2024年4月?9月)を発表した。「百貨店再生」フェーズの最終年度となる今期は様々な施策が奏功し、インバウンドに加えて国内顧客も順調に推移。総額売上高は前年同期比10.3%増の6191億800万円で着地した。販売管理費は増収に伴う経費増がある一方で経費構造改革がグループ全体で進捗し、総額で前年を下回った。これに伴い、営業利益は前年同期比72.8%増の348億8400万円、当期純利益は同70.8%増の253億9400万円と、いずれも三越と伊勢丹が経営統合した2008年以降で最高益を更新した。
首都圏に5店舗を展開する三越伊勢丹の総額売上高は前年比14%増の3651億円で、中でも伊勢丹新宿、三越日本橋両本店、三越銀座店の基幹3店が売上をけん引。銀座店に関しては前年比2割以上の大幅増収を記録した。同3店舗はこれまで通り“高感度上質”戦略に基づくMDが顧客層を問わず支持され、売り上げを下支えしているという。なお、札幌丸井三越、名古屋三越、岩田屋三越といった大規模地方店にも増収傾向が見られた。
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好調を受け、伊勢丹新宿本店、三越日本橋本店、三越銀座店は通期の総額売上高予想を上方修正。伊勢丹新宿本店は4240億円(期初予想は4110億円)、三越日本橋本店は1660億円(同1580億円)、三越銀座店は1300億円(同1140億円)に引き上げた。伊勢丹新宿本店は前期に過去最高売上となる3758億9500万円を計上し、今期は4000億円の大台突破を見込んでいるが、さらなる高みを目指す。なお、三越伊勢丹ホールディングスとしての通期業績予想は「計画通りに推移」しているとし、8月発表の内容から据え置いている。
「百貨店再生」フェーズでは、「高感度上質戦略」に加えて「個客とつながるCRM戦略」と称したエムアイカード会員とデジタル会員を含む「一般識別顧客」の拡大に取り組んでおり、今年度は760万人の到達を見込む。年度内には海外顧客向けアプリの導入を予定しており、インバウンド顧客に関しても識別化を目指す。
前期に初の1000億円の大台を突破した国内百貨店のインバウンド売上高は今期、1783億円(前期比64%増)を予想しており、下期のみで920億円(前年同期比39%増)を計上する必要がある。円高基調で減速傾向にあるとされるインバウンドだが、従来の傾向通りにいけばこれから書き入れ時を迎えるため、牧野欣功取締役執行役常務CFOは外部環境に一喜一憂せずに前述の対策を講じながら「繁忙期に向けて上向きを期待する」とコメントした。
なお、2026年3月期を初年度とした次期中期経営計画では、現在の中期経営計画の好調な進捗により、連結営業利益を2028年3月期に850億円、2031年3月期に1000億?1100億円規模に拡大することを目指すとしている。
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