コーセーが、タイ発のホリスティックウェルネスブランド「パンピューリ(PANPURI)」を展開するPURI CO.,LTD.(以下、ピューリ社)について、株式譲渡契約を締結した。所有割合は79.89%で、買収額は約120?130億円程度の見込み。中長期ビジョン「Vision for Lifelong Beauty Partner-Milestone2030」で掲げた重要項目のひとつであるグローバルサウスでの成長の布石として、現地で基盤を持ちながら、同エリアの他国への進出が見込めるブランドをポートフォリオに加える。
コーセーが策定した中長期ビジョンにおいて、ASEANおよびインドで構成するグローバルサウス地域と中華圏地域は2ヶ年を構造改革フェーズと位置付け、ビジネスモデルの再構築や事業基盤の強化に取り組むとしている。各地域攻略において、日本発ブランドを広げていくという「自前主義」ではなく、現地に基盤を持つブランドを獲得し、現地起点でのマーケティングを推進するという「脱?自前」を新たに掲げた。今回のピューリ社の買収はグローバルサウス地域戦略の第1弾として進める。
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パンピューリは2003年に創業者のVorravit Siripark氏がタイ?バンコクで設立。タイのウェルネスの伝統に敬意を払い、ハーブやエッセンシャルオイルなど植物を使用したリチュアルを訴求する。体?心?魂の3本の柱を調和させることを目指し、スキンケアやバス?ボディケア、ホームフレグランス、フレグランスなどを揃え、ホリスティックウェルネスを提案している。また、独自の基準で人体や環境に有害なものを使用しないという“ゼロリスト”を掲げたクリーンビューティブランドとしても知られる。タイ国内で26店舗、香港に1店舗を展開する。日本へは2008年に本格参入したが、コロナ禍で2020年にジャパン社を精算。その後、輸入代理店ルクステカを通じて2021年に再上陸した。
2023年12月期の売上高は5億8000万タイバーツ(約26億1000万円)で、2024年は11億タイバーツ(約49億円)を見込み、急激に成長している。売り上げ構成比はタイ国内が74%を占め、スパ事業が17%、中国や欧州、日本を含む海外事業は6%、そのほか3%となっている。
小林一俊 代表取締役社長は「かねてより、海外のラグジュアリーホテルやスパなどに展開しているブランドに目星をつけていた。タイには他者への思いやりやおもてなしの心、ホスピタリティなど日本の文化と近しい部分があり、自然の恵に敬意を払っている点も日本と親和性が高い。パンピューリの製品開発のこだわりは、当社の独自性とものづくりに対する熱意とも重なる」と買収の理由を説明。また、近年北米での売り上げに大きく貢献している「タルト(tarte)」を引き合いに出し、「タルトを買収したのが約10年前、パンピューリの現在の規模は当時のタルトに近く、今回の取得金額についても同等程度。タルトのように現地タイをはじめ、グローバルサウスでの成長性を期待している」と意気込んだ。
Siripark氏は「コーセーファミリーに加わることができて光栄に思う。私たちのマイルストーンの中でも、大きなステップだと考えている。ラグジュアリーなこだわりで東洋の美しさを詰め込んだプロダクトをより多くの方々にお届けできることを楽しみにしている」と述べた。
まずはタイ国内での売り上げをさらに盤石なものとし、アジアおよびグローバルサウスでの展開を、コーセーのアセットも活用しながら強化していく。日本国内は“パンピューリらしい販路”を尊重するとし、コーセーの既存チャネルへの早期の導入はあえて行わないとした。今後は、商品の共同開発も視野に入れているという。
パンピューリの製品
Image by: コーセー
パンピューリの製品
Image by: コーセー
コーセー 代表取締役社長 小林一俊氏
ピューリ社 CEO Vorravit Siripark氏
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