今年のお買い物を振り返る「2024年ベストバイ」。5人目は世界中のサーフィン動画が楽しめる「ノーバディサーフ(NobodySurf)」の代表を務める岡田英之さん。仕事だけではなくプライベートでも熱中しているサーフィンに関連するアイテムだけでなく、ガジェットやファッションまで、2024年に買って良かったモノ5点を聞きました。
目次
ADVERTISING
Nothing ワイヤレスイヤホン
FASHIONSNAP(以下、F):1点目は「ナッシング(Nothing)」のワイヤレスイヤホンです。
岡田英之(以下、岡田):実は若い時からずっと「アップル(Apple)」信者なのでイヤホンもアップル一筋だったんです。ただ何代目かのAirPodsを無くしてしまった時に、ふとナッシングのイヤホンはどうだろう?と。もちろんナッシングのことはずっと前から知っていたのですが、これが初めての買い物です。
F:使ってみてどうですか?
岡田:僕が購入したのはブランドの中でも比較的安価なエントリーモデルのものだったのですが、価格に対するデザインと機能のパフォーマンスがずば抜けていると感じました。AirPods Proが4万円くらいするのに対して、これは1万5000円ほど。すごくリーズナブルなのに、全然手を抜いている感覚がないというか。イヤホンと連動するアプリもリリースされていて、音楽に合わせて音の響かせ方を調整できたり、ファームウェアのアップデートができたりと自由度も高く、アプリ自体のデザインも洗練されていて使いやすい。子どもの誕生日にも自分とお揃いのイヤホンを贈ったくらい気に入っています(笑)。
F:AirPodsはシームレスにつながることが一番の売りじゃないですか。これはどうですか?
岡田:僕もずっとAirPodsを使っていたので、そこに対する懸念はあったのですが、今のところ快適に使えていますね。
F:非の打ち所がないですね。
岡田:人によってイヤホンを使う時間って違うと思うのですが、僕の場合は移動中だけではなく、会社での作業時やリモート会議の時にも使うので使用頻度が高くて、生活の中で結構付け外ししているんですよね。このイヤホンを使って初めて気がついたのですが、音質だけではなくて着用感やつながるときの心地よさがイヤホンを選ぶ上で重要だと感じたんですよ。僕自身、ものに対してこだわりがあったりとか精通しているタイプの人間ではないので、基本的には毎日の生活が少しだけ快適になったり心地良くなったりするものがいい。これはそういう意味では今年1番大ヒットだと思います。
F:つながるときの音も特徴的ですね。電子音のような、ブランドのロゴに紐づいた音というか。
岡田:ブランドのコンセプトが一貫していますよね。ブランドのサイトから製品、アプリまでスタイリッシュで、ブランディングがしっかりしているというか、全てにおいて一貫されているところに惹かれますね。
F:AirPods Proともし同じ金額だったとしたら、どちらを買うと思いますか?
岡田:それは難しい質問ですね。でも僕は手に取りやすい価格でこのレベルの商品を販売しているというところに価値があると思っていて。その点で言うと、もし同じ1万5000円で売られているとしたら、ナッシングの方を選ぶかもしれません。イヤホンはある種消耗品だと思っているので、定期的に買い換えることを考えると価格は重要なポイントですよね。素敵でありながらリーズナブルという点に一番惹かれているのかもしれません。
F:ちなみに岡田さんは普段どのような音楽を聴きますか?
岡田:オールジャンルなんでも聴きますが、結局は、ノーバディサーフのアプリ内でも使われているようなリラックスした音楽が多いですね。フリーサーファーと呼ばれる自由にサーフィンしている人って、サーファーでありながらミュージシャンでもある人が多くて。サーフミュージックとか、サーフィンに合うような音楽は普段からよく聴きますね。
Wasabi ×?NobodySurf? サーフボードカバー
F:2点目はサーフボードカバーですね。
岡田:ノーバディサーフと「ワサビ(Wasabi)」というブランドとのコラボアイテムです。一般的なサーフボードケースは分厚いナイロンのような素材に緩衝材を詰めたハードタイプのものが主流なのに対して、これは見ての通りコットン素材なのが特徴です。一般的なものだと全面を完璧に覆う上に、ケース自体が硬いので飛行機など移動する時は壊される心配がなく重宝するのですが、使わない時にかさ張るのが気になっていて。その点、このケースは半面だけを覆う形で手軽につけ外しができるし、軽くてコンパクトに折りたたむことができるので便利なんですよね。
F:ワサビとはどんなブランドなのでしょうか?
岡田:インドネシアにあるバリのチャングーを拠点にしているブランドです。現地の職人とともに地元の手工芸文化を活かしたもの作りをしていて、カバンやサーフボードカバーなどサーフ関連のアイテムを展開しているブランドです。
F:作る上でこだわったポイントはありますか?
岡田:コンパクトに収納できるという点以外では、カバーの中心に入れたブランドのロゴでしょうか。2009年にはユネスコの無形文化遺産にも登録された、インドネシアの伝統的な染色技法であるバティック染めと呼ばれる手法を用いて、すべて一つずつ職人が手作業で入れています。
F:どうしてコラボすることになったのですか?
岡田:バリのチャングーという場所はサーフィンの聖地として知られていて、サーファーだったら絶対に行きたいと思っている場所なんです。そういった場所に根ざしていて、地域のクリエイティビティを活かしているというところに惹かれ、意気投合してコラボすることになりました。
F:これはサイズ展開もあるんですね。ショート、ロングなどサーフボードにも種類があると思いますが、普段岡田さんはどのようなものを使っているんですか?
岡田:僕が使っているのはツインフィンのフィッシュと呼ばれるもので、短いタイプに分類されるものです。板のお尻の部分が2つに裂けていて魚のような形をしているためフィッシュと言われているのですが、スピード感がありながらスタイリッシュに乗れるようなタイプのサーフボードですね。カリフォルニアをベースにしているトロイ?エルモアというシェイパーの板を使っています。
F:シェイパーとはなんでしょうか?
岡田:シェイパーとは、サーフボードの形を作る人のことです。サーフボードの元になる素材を削りコーティングすることで完成するのですが、この削りの作業を担当している人のことをシェイパーと呼びます。機械が削ったものが一般的なのですが、僕が使っているのは初めから職人が全て削ったものですね。
F:機械で作られるものとシェイパーが作るものはやはり違うのでしょうか。
岡田:どちらもいい部分はあるんですけどね。やはりハンドメードだと価格は高くなってしまいますが、サーフィンにハマる人は自分に合わせた板をオーダーメードで作ってもらうことも多いと思います。自分の身長や体重に合わせたいというだけでなく、どういう波にどのように乗りたいかといった目指すサーフィンについてまで、シェイパーにコンサルティングしてもらいながら作ってもらうので、必然的にサーフィンの完成度は高くなるかもしれません。
F:オーダースーツみたいですね。岡田さんは全部で何枚持っているんですか?
岡田:僕は2枚ですが、サーフィンを本気で楽しんている人たちは基本的に3枚以上は持ってると思います。あくまでも波が主役なので、その時の波に合ったベストな板をチョイスして乗りこなすのが一番格好いいサーファーだと思っています。
AXXE CLASSIC ×?NobodySurf ウェットスーツ
F:続いてもサーフィン関連のアイテムです。
岡田:これもノーバディサーフと「アックスクラシック(AXXE CLASSIC)」というウェットスーツブランドとのコラボアイテム。タッパーと呼ばれるベスト型のウェットスーツです。
F:ウェットスーツは長袖、もしくは半袖のイメージがありましたが、このような形のものもあるんですね。
岡田:真夏は水着だけでサーフィンをする人も多いのですが、僕はどんなに暑い時でもウェットスーツを着たいタイプで。このウェットスーツは夏に着ることを想定した、日差しや接触から身体を守ることが主な目的です。サーフィンは日の出と共に始めることが多く、夏でも結構肌寒い…。そういう時にもこのウェットスーツが役に立ちます。
F:日差しだけではなく接触から身を守るとは?
岡田:波のコンディションが良いところは、海底が岩やサンゴ礁だったりすることも多いんです。そういうところで波に巻き込まれると叩きつけられて、すぐに身体が切れてしまう…。自分のボードにぶつかったり、フィンで切ってしまったりと実は危ないこともあり、ウェットスーツの着用で身を守ってくれます。
F:体温調節のためだけではないんですね。ちなみにアックスクラシックとはどのようなブランドなのでしょうか?
岡田:湘南の平塚を拠点にしているウェットスーツのブランドです。職人の方々が一つずつ手作業で作っているこだわりが強いブランドで、正直言うと最初はコラボできるとは思っていなかったくらいでした(笑)。ノーバディサーフの映像の中でもアックスクラシックのウェットスーツを着ている人が多くて、いつか一緒に取り組みができればと思っていたところ、たまたまご縁がありコラボさせていただくことになりました。
F:一つずつ手書きでシリアルナンバーも入っているんですね。先ほどの商品に引き続きクラフトマンシップを感じさせるアイテムです。
岡田:質が高いというのは大前提で、そういう気概を持った人達と一緒にもの作りをしていきたいという想いがあります。僕だけではなくノーバディサーフのチームでも、魂を込めてもの作りをしている人たちに対するリスペクトのマインドは根付いていると思います。アプリ内で紹介しているサーフィンの映像は基本的にクリエイターが作っていますが、職人技やクラフトマンシップを讃えられる場所にしたい。僕らがものを作るなら、同じようにクラフトマンシップに基づいたもの作りをしている人たちとしか組めないと思っています。
F:価格は3万円ほどと少し高い印象なのですが、使用期間はどれぐらいでしょうか?
岡田:素材の特性上、どうしてもラバーが劣化してしまうのですが、きちんと手入れして大切に使えば5年以上持ちますね。僕も実際に工場を見せてもらったのですが感動するくらい丁寧に作られていて、購入した後のケアやサポートも手厚いので、一般的なものよりもずっと長く付き合えると思います。
リーバイス デニムジャケット
F:続いては、「リーバイス(Levi’s?)」のデニムジャケットです。
岡田:正直全然詳しくないのですが、ヴィンテージのデザインを踏襲した復刻版の1着です。デニムジャケットにはずっと憧れがありながら、自分には似合わないと思い、挑戦できていなかったんです。ある時、リーバイスのサイトを何気なく見ていた時にふと目にして、試しに購入してみようと思ったんですよね。リーバイスのデニムジャケットって年代によってデザインが変わるんですよね?
F:そうですね。これは1936年に製造されたファーストと呼ばれるデザインを復刻したものみたいです。
岡田:モチーフを再現しながら、ところどころ現代風にアレンジされているのが特徴のようですね。普通のデニムジャケットは硬くて着にくいイメージがあって、それで敬遠していたところもあったんです。でもこれは柔らかくてストレッチ素材を使っていたり、ゆとりのあるシルエットにアレンジされていたり、“痒いところ”に手が届くような細かい配慮がされている点も魅力的ですね。
F:確かに本物のヴィンテージだとシルエットも着心地も期待できませんからね。ちなみに憧れるようになったきっかけは?
岡田:小学4年生の頃にフランスに住んでいたのですが、子どもたちだけでロンドンに行く機会があって。その時に一緒だった年上の男の子が着ていたデニムジャケットが、僕にはすごくかっこよくて大人っぽく見えた。それが原体験になって、ずっとデニムジャケットは憧れのアイテムです。
F:今日のスタイル(ファッション)だけを見るとサーファーというよりスケーターみたいですね。
岡田:サーファーは、サーフブランドのアイテムを着てると思われがちなのですが、僕みたいにベーシックなブランドの洋服を着ている人が最近は増えているんですよ。「ヘインズ(Hanes)」のTシャツにリーバイスや「ディッキーズ(Dickies)」のボトムス、シューズは「ヴァンズ(VANS)」や「アディダス(adidas)」といった、シンプルでオーセンティックなものを着ている印象ですね。
F:今のスタイルになったのは何歳ぐらいからですか?
岡田:20歳ぐらいから変わってないかもしれないですね。それこそ元々高校生ぐらいまではスケートボードをやっていたので、その時はオーバーサイズスタイルだったんですが、大学の入学を機に海の近くに引っ越したのをきっかけに、今みたいなシンプルなスタイルになりました。
F:アクセサリーはつけますか?
岡田:随分昔に妻から誕生日プレゼントでもらった「ティファニー(Tiffany & Co.)」のブレスレットをつけています。実はこれも小学生ぐらいから憧れがあったものなんです。フランスにいた当時、アメリカンスクールに通っていたのですが、同級生がこういうアクセサリーをつけていたんですよ。おそらくその子の親が軍人だったからだと思うのですが、ドッグタグなどのミリタリーモチーフのアクセサリーをつけているのを見て、格好いいなと思って。それからずっとこの形のものを探していたんですけど、なかなか見つからなかった。おそらく7年くらい前だと思うのですがティファニーで偶然見つけて妻に買ってもらいました。デニムジャケットもそうですけど、小学生から好みが変わってないのかもしれませんね(笑)。
アライア メンタワイ スーベニアTシャツ
岡田:今年の7月にインドネシアのメンタワイ諸島に仕事を兼ねたサーフトリップに行き、その時の宿で購入したTシャツです。実は今年のベストバイというテーマを聞いた時に、一番最初に思いついたのがこのアイテムでした。ただの可愛いデザインのTシャツなのですが、人生の中でもトップと言っても過言ではないほど最高な体験と紐づいているという点で、ベストバイに選びました。
F:人生でトップとはすごいですね。メンタワイ諸島って初めて聞きました。
岡田:メンタワイ諸島はサーフィンをやる人だったら誰もが憧れる場所の一つなんですよ。インドネシアのジャカルタからパダンという港町を経由して、そこからさらにボートで3時間かかるという本当に秘境です(笑)。その島の周辺が屈指のサーフィンスポット。サーファーにとっての本当の楽園だと思います。
宿の様子
F:これは宿のスーベニアアイテムなんですね。
岡田:このTシャツに書いてある「アライア メンタワイ(ALAIA MENTAWAI)」が宿の名前です。島の一部が宿泊者だけのプライベート空間で、あるのは4つのコテージだけ。10人くらいで貸し切って、クローズドで思いのままに過ごせる贅沢な宿です。2週間ほど滞在したのですが、毎日2回ボートを出して、サーファーなら誰もが知っているような有名なスポットに行くというシンプルな過ごし方をしました。その日の一番いい波のスポットに行き、極上の波に乗って、戻ってきてご飯を食べて、またサーフィンに行くという、これ以上ないほど贅沢な日々を満喫しました。
波に乗る岡田さん
F:宿泊費はどれぐらいですか?
岡田:宿代に食費やボートの移動費なども含まれていて、確か40~50万円くらいだったかと思います。先ほど説明した通り秘境みたいな場所にあるので、交通費も含めるとトータルで50~60万ぐらい掛かったかもですね。
F:でもそれだけの価値があると。
岡田:そうですね。世界各国から憧れを追いかけてくるような場所であり、ワンスインアライフタイムではないですけど、一生に一度のかけがえのない体験ができるような場所だと思います。だから話は戻りますが、人生でトップの経験が“染み込んだ”Tシャツです。
今年を振り返って
F:今年を振り返ってみてどうでしたか?
岡田:やはりアライア メンタワイのサーフトリップが強烈な出来事だったと思います。サーフィンに関わる仕事を始めて今年でちょうど10年目で。個人的な夢だったサーフトリップが仕事として叶い、この節目のタイミングで迎えることができたのが本当に感慨深いです。会社を設立してから大変なことがたくさんあったけれど、この次の10年への希望みたいなものが生まれたような感覚があって。1つの夢が叶って、次の夢がまた新たに生まれたということが1番良かったことかなと思います。
F:新たな夢とは?
岡田:より素晴らしいサーフィンの映像作品をもっと世界に発信していきたいと思っています。よりすごいメンバーで、よりすごい場所で、よりすごい作品を世界中に届けていきたいです。その流れから、新たなプロダクトを作ったり、リアルでのイベントを開催したりと、プロジェクトとしての幅を広げていきたいと考えています。
■岡田 英之
1979年、フランス生まれ。NobodySurf代表。2014年に株式会社リブルーを創業。2015年、サーフィンの自由さを伝えるサーフィン動画メディア「NobodySurf」をスタート。SNSやウェブサイト等を通じて良質なサーフムービーを日々世界に向けて紹介し続けている。趣味はサーフィン?海外ドラマ?カメラ。
公式サイト / インスタグラム
ADVERTISING
PAST ARTICLES
【買ったモノ】の過去記事
足球即时比分,比分直播
アクセスランキング
【2025年上半期占い】12星座別「日曜日22時占い」特別編
百貨店初売りに日程後ろ倒しの流れ、客入りに影響は? 日本橋高島屋と大丸東京店に聞く
sacai Men's 2025 SS & Women's 2025 Spring Collection