ボトムスの固定や腰回りの装飾など、私たちが日常的に使用しているベルトは、どのように誕生し、ファッションアイテムとして定着したのでしょうか。ベルトの歴史と現在までに生み出されてきたバリエーション、流行の傾向などを紹介しながら、その魅力を考察します。
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ベルトの歴史
ベルトの起源は太古にまで遡り、青銅器時代には体を纏う布の固定や採取したものを吊るすために使用していたと考えられています。ドイツ北部の都市?シュレスヴィヒでは、沼から青銅器時代のものと思われる鋲付きの革ベルトが槍や革箱とともに発見されています。古代ギリシャでは肩から剣を吊るすためのアイテム「バルテウス」が腰回りに巻き付ける形態へと変化し、現在のベルトへと発展していきました。
やがてベルトは軍人などの階級を象徴するアイテムとして定着し、豪華な装飾が装着者の地位を表すようになります。古代の日本でも役人が正装の際に袴帯?石帯といったベルトを使用しており、装飾に使われた白銅の金具などが見つかっています。歴史博物館などの施設で復元された石帯が展示されていることもあり、現代のベルトと酷似した形状が1000年以上前にあったことに驚かされます。明治維新後には上流階級の人物が洋装で使用するアイテムとして西洋式のベルトが輸入されています。
欧米では階級制度の衰退に合わせてサスペンダーが台頭し、ベルトは影を潜めるようになります。20世紀に入るとアメリカの農場で働くカウボーイたちによって作業の際に履くジーンズを固定するためのベルトがほしいというニーズが高まり、1922年にはリーバイストラウス社がベルトループ付きのジーンズ?501XXを販売。ここから徐々にカジュアルなファッションアイテムとしてベルトが復活の兆しを見せるようになります。
ベルトの種類
プレーンベルト
現代のベルトの原型ともいえるプレーンベルトは、特に定義はありませんが装飾のない無地のレザーにシングルピンのバックルが付いたものを主に指しています。ビジネスシーンでスーツに合わせることが一般的とされていますが、形や色のバリエーションが豊富なのでカジュアルなコーディネートにも対応します。黒のプレーンベルトは結婚式など冠婚葬祭にも使用できるため、ドレスベルトとも呼ばれます。近年ではフェイクレザー素材の種類も増えており、安価ながらレザーの風合いに近いことで人気が高まっています。
リングベルト
リングベルトはバックル部分に2つの金属製リングが付いたベルトです。素材はキャンバス生地から革、デニムなどさまざまで、着物をアップサイクルして作ったものなどもあります。装着は2つのリング穴にベルトを通し、折り返して片方のリング穴に通すことで固定できる仕組みで、バックル部分がコンパクトなので腰回りがもたつかないのが特徴です。ピン式バックルのベルトよりも自分の体型に合わせて使用できるのでジャストフィットな装着感を求める場合に最適です。折り返したベルトは裏側が見えるようになるため、表裏で同じデザイン、もしくは裏側だけ独特のデザインが施されていることがあります。
メッシュベルト
メッシュベルトは細長く裁断した生地を互い違いに編み込んで作ったベルトです。素材は革や綿などさまざまで、異なる色や素材を組み合わせるなど斬新なデザインも見られます。ベルトの構造上、バックルのピンはメッシュの編み目に刺すため、サイズ調整の幅が広いことが大きなメリットです。ファッション性の高さからカジュアルでの使用が多いイメージですが、本革など落ち着いた見た目のものであればスーツにも合わせることができます。あえて長めのものを選んで余った部分を垂らすといった見せ方もあり、剣先のデザインを凝らしたものでこだわりを見せるのも効果的です。
ガチャベルト
ガチャベルトはアメリカ陸軍由来のミリタリー仕様のベルトで、正式名称はGIベルトです。バックル部分に通された金属棒をスライドさせてベルトを固定する仕組みで、細かくサイズ調整できるのが特徴です。1990年代にストリート系のカジュアルとともに流行し、近年、リバイバルによって人気が復活しつつあります。ベルト部分は綿やアクリルのキャンバス生地が一般的とされていますが、近年では革製で高級感を醸し出したものをコーディネートに取り入れ、大人っぽさを演出する風潮も見られます。
サッシュベルト
サッシュベルトは布や合皮、レースなど柔らかい生地で作られた装飾用のベルトです。穴や金具がないので、装着の際はリボン状に結んでドレスのアクセントにするなど、実用性よりも見た目を華やかにすることを目的としています。その歴史は長く、16世紀頃からヨーロッパで部屋着に取り入れられ、18世紀には女性の正装に用いられるようになりました。ゆったりしたワンピースやフレアスカートなどを着用した際、腰回りを引き締まったように見せる効果があります。
チェーンベルト
チェーンベルトは金属製のチェーンをつなぎ合わせて作られたベルトです。アクセサリーとしての側面が強く、メタリックな光沢にはコーディネートを格上げする効果があります。細めのチェーンにビジューを組み合わせてキュートに見せるものや、大きめのサイズでハードな印象を演出するものなどデザインのバリエーションが幅広く、ドレスからカジュアルまで、どのようなスタイルにも合わせられることがメリットです。2024年秋冬のパリコレクションでも注目を集め、今後さらに流行の高まりが予想されます。
ベルトと流行の関係
ベルトのデザインは時代ごとの流行ファッションと大きくリンクしています。1947年に誕生したクリスチャン?ディオールのニュールックでは、幅広のベルトで細いウエストを強調。1960年代にはモデルのツイギーがミニスカートを流行させ、腰の少し上にベルトを付けるスタイルが流行しました。1970年代にはエナメル製の細いベルトの人気に。腰の位置を高く見せる効果があるため、ロングスカートや学ランのズボンに合わせるスタイルがよく見られました。日本では、この時代までファッションアイテムとして認識されていても、日常生活ではベルトは目立つアイテムではありませんでした。1980年代以降は認知度が高まり、ベルト業界は百貨店で大規模な販売が展開されるほどの盛況を迎えます。ただ、この波も一時的なもので、常にトレンド入りするアイテムとはいえないかもしれません。最近では、80年代ルックやY2Kファッションが再熱していることもあり、ベルトを使ったコーディネートが注目されているようです。
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