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スタイリスト?島津由行が振り返る表参道 20歳のときに訪れた“ひだまりの街”

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【私の表参道】スタイリスト?島津由行20歳の肖像 大好きな“ひだまりの街”で

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(2025/03/17)

島津由行/Yoshiyuki Shimazu
1959年生まれ。スタイリスト/クリエイティブ?ディレクター/DJ/新しい老人。1981年に渡仏、パリコレクションの手伝いをきっかけに、スタイリストを始める。メンズファッションだけでは、なくレディースの分野でも活躍。現在は雑誌?広告&CM?ドラマ?映画等人気俳優やミュージシャン、ブランドのスタイリングに加え、衣装デザイン?制作も手掛けている。ギターメーカーFender社アパレルブランド「F is For Fender」のクリエイティブ?ディレクターにも就任し幅広いフィールドで辣腕を振るっている。2025年内には、ロックTの写真集を出版予定。

ひだまりの街 表参道は朝の9時

1980年。熊本から上京して3年くらい。その頃、僕はキャットストリートの「千春荘」*というところに管理人として住みながら働いていた。ちょうど20歳だった。

今も原宿にある、「DO!FAMILY」というアパレルの会社に当時勤めていて、その会社の倉庫が住んでいたアパート下、半地下のスペースにあった。社長からの紹介で、アパートの管理人を住み込みですることになった。パリに行く1年前、資金を貯めたかったので二つ返事で引き受けたが、家賃がかからないことは僕にとってとても大きかった。

そんな20歳の夏、出勤前の表参道で熊本から遊びに来た友人が写真を撮ってくれた。朝の9時ごろだけど、きっと同じ時間帯でもこんな光景はもう撮れないと思う。

20歳と言えば成人式があるけれど、僕は式典が面倒くさくて地元にも戻っていないので成人式の写真は残っていない。

じゃあ何をしていたかと言えば、『グッバイガール』(The Goodbye Girl?1977)の再上映を観に行った。当時渋谷区の新成人は無料で映画を観ることができたのだ。主演俳優のリチャード?ドレイファスも好きだったので、ちょうど良かった。その帰りに友達とPARCOでご飯を食べたことは覚えている。

それから半年くらい経ったある日、熊本から同級生が遊びに来た。次の日の朝、僕が仕事に行く途中で「成人式の写真が無いんだったら、表参道で撮ろうよ」と、言ってくれた。前の晩に地元の話で盛り上がり、成人式の話題になったのかもしれない。

今となっては想像しづらいかもしれないが、80年代初頭までの表参道はまるで今とは趣が違う。欅並木の先に同潤会青山アパートがあって、その間を木漏れ日が降り注ぐ。僕にとっての表参道は、“ひだまりの街”。朝は静まり返っていて陽が気持ち良く、欅も今より背が低くて日差しをたくさん感じることができた。そんな雰囲気が僕はとても好きだった。

木漏れ日よりも今は人が多くなってしまったけれど、友人が表参道で撮ってくれた20歳の肖像は、どこか当時の、ひだまりのようなあたたかさを感じて、今でも大切に持ち続けている。

*現在の「千春ビル」。倉庫だった場所は現在Tシャツショップ「JANNU-2」が入っている。

Text & Photo:Yoshiyuki Shimazu

最終更新日:

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