
リブランディング後のメインヴィジュアル
Image by: バロックジャパンリミテッド

リブランディング後のメインヴィジュアル
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ブランド設立25周年を迎える「マウジー(MOUSSY)」が、2025年9月から大規模なリブランディングを実施する。コロナ禍以降続く売上停滞からの脱却を目指し、ブランドの強みである「デニム」に改めてフォーカスし原点回帰。「アジアNo.1ジーニングコレクティブ」をスローガンとして掲げ、従来と比べてデニムアイテムの型数を拡充するとともに、20代前半のコアターゲットに加え30代の大人層や、グローバル展開も視野に入れた戦略を強化する。同ブランドの売上回復に向けた道筋とは。
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ギャルカルチャー牽引から一転、コロナ禍以来続く不調
マウジーは、2000年4月に渋谷109に1号店をオープンし、ブランドをスタート。デニムを主軸に"芯のある女性像”をコンセプトにしたカジュアルウェアを展開し、渋谷のギャルカルチャーを代表するブランドの一つとして、若年層の女性から大きな支持を集めてきた。
海外では、2006年に香港に海外1号店を出店したのを皮切りに、中華圏を中心に積極的な出店を推進。中国では2010年に上海に1号店をオープンした後、2013年にはベル?インターナショナル?ホールディングス社との合弁で、中国での卸売事業を行うバロック?チャイナと、小売事業を行うバロック?チャイナ?アパレルを設立した。2021年時点では、同社の「スライ(SLY)」や自社セレクトショップ「シェルター(SHEL’TTER)」と併せて、中国本土に300店舗以上を構えていた。
しかし、コロナ禍を機に売上が落ち込み停滞。マウジーを展開するバロックジャパンリミテッド(以下、バロック)が4月14日に発表した2025年2月期(2024年3月~2025年2月)の連結決算では、連結売上高が前年同期比3.5%減の581億円、連結営業利益が同58.4%減の8.1億円となり、営業利益率は2022年2月期以来3期連続で下落した。中国経済減速などの影響も受け、今年4月には、中国の合弁子会社2社の全株式をエイブル?コンコードに譲渡し中国事業の経営から撤退するなど、会社全体としても厳しい状況が続いてきた。2025年7月末時点で、マウジーは国内に37店舗、中国にはライセンス契約による取り扱い店舗150店舗以上を有する。
マウジー事業部を率いる野村千尋事業部長は、リブランディング実施の背景について「コロナ禍をきっかけに売上が停滞し、市況と比較しても客数や売上の回復が弱かった。25周年を機にリブランディングを行うことで、売上を増加させることが狙い」と語る。

マウジー事業部 野村千尋事業部長
Image by: バロックジャパンリミテッド
近年は商品の方向性が定まらず、ブランドが意図しない子どもっぽいテイストのアイテムも散見されるなど、テイストが分散し商品力が低下。結果として既存客が離れ、新規客も十分に取り込めないという課題があったという。
リブランディングの柱は、月間1億円売れる名品“美脚デニム”
今回のリブランディングでは、創業以来ブランドの強みであり続けてきた「デニム」に改めてフォーカス。2025年秋冬シーズンから順次、デニムアイテムを核とした製品構成へと一新するとともに、ロゴやブランドカラー、店舗内装、マニフェストなど、ブランド全体を刷新する。
主軸となるデニムアイテムは、型数を従来の35型から40型に拡充。「ベストセラー」「シーズナル」「コンフォート」「デザイン」の4つのカテゴリーで展開する。ベストセラーの代表格は、“美脚デニム”として知られる「エムブイエス フレア(MVS FLARE)」。2018年の登場以来、日本人の体型に合った設計で美脚効果を追求し支持を集めてきた同アイテムは、今年3月に「まるでK-POPアイドルのような美脚になれる」とSNSで大きな話題になり、3?5月の3ヶ月間で、同シリーズ単体毎月1億円以上の売上を達成したという。




「ベストセラー」シリーズのデニム
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そのほか、コンフォートシリーズでは、気候変動の影響により増加した暑熱期間や、新型コロナ以降一般化したリモートワーク、また出張時における移動といった現代のライフスタイルに対応したアイテムを展開。開発に1年近くかけたオリジナル生地による「テンセルデニム」をはじめ、軽さや肌触りの良さといった快適な着心地を追求したデニムアイテムをラインナップすることで、新たなニーズにも応える。
リブランディング後のキーワードとして掲げる「ジーニングコレクティブ」は、ヴィンテージライクな本格派からシーズン感の強いデザイン性の高いアイテム、多様なシルエットと素材、加工感まで、あらゆるデニムが揃う「デニムの集合体」を意味する。国産の高品質なデニム商品を2万円前後で提供する価格競争力も強みだ。


「コンフォート」シリーズのデニム
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しかし、今回のリブランディングの最大の目的は、デニムをフックにしたブランド全体の売上向上だ。「近年はデニムアイテムだけが売れるブランドになってしまっていた」との反省から、デニムパンツに合うトップスやアウター、シューズ、アクセサリーを大幅に強化。従来はカテゴリーごとにトレンドを追って製作していたアイテムを、全て「マウジーのデニムパンツに合うか」という視点での開発に切り替えたことで、ブランド内でスタイリングが完結する状態を目指すという。
「これまでは、比較的小柄な方がデニムパンツとベストバランスで履けるシューズを提案できておらず、マウジーのデニムパンツに他の競合ブランドの靴を合わせる顧客も多かった」と野村氏。2025年秋冬シーズンでは、主力の「エムブイエス フレア」と合わせた際に美脚効果を高めるチャンキーブーツや厚底ローファー、デニムアイテムのスタイリングを引き立てるベルトなども充実させ、店頭のVMDでの可視化も行う。

「エムブイエス フレア」を着用したスタイリング
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2025年秋冬のチャンキーブーツ
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多様な女性の「綺麗でいたい」に寄り添う提案を
新たに掲げる5つのブランドマニフェストでは、従来と同様に「誰にも媚びない強く自立した女性像」を打ち出しつつも、「CELEBRATE EVERY SHAPE(すべての形を称え、幅広いサイズやシェイプでより多くの女性のニーズに応える)」など、多様性をより重視する価値観を強調。野村氏は、「20年前と比べて、痩せている女性が綺麗だという概念はなくなってきている。自分らしい体型やスタイルは人それぞれだという多様化した価値観がある中で、私たち自身もさまざまな女性の『綺麗でいたい』という思いに寄り添っていけたらと考えている」と説明する。
従来は細身のサイズ感の商品が多く、「マウジーは細い人向け」というイメージの定着により購買層を狭めてしまっていたことへの反省を踏まえ、サイズ展開の拡張やシルエットの見直しを実施。「どんな体型の方が着ても綺麗に見える、マッチするアイテムがあることが伝わるように提案することで、『私が入るサイズはなさそう』と最初から選択肢に入らないような状況を払拭できたら」(野村氏)。


マウジーの新ブランドスローガン
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上質化、3世代モデル起用のキャンペーンで30代層にもリーチ
デニムの商品力に自信を持っているからこそ、従来のメインターゲットである20代前半に加え、リブランディング後には30代の取り込みも強化。野村氏は「マウジーには、20代だけでなく30代のお客様も穿けるデニムアイテムが揃っている。どんなお客様が来ても選べるデニム商品があることをアピールできたら」と話す。デニムパンツのみならず、トップスやアウターなど他カテゴリーの商品に関しても、30代にもリーチできる商品群やスタイリングを拡充。若年層に向けた、従来の買いやすい価格重視のものづくりを見直し、素材選びやデザインの質を向上して価格設定を前年対比で5?10%ほど引き上げることで、他の価格帯の安い競合ブランドとの差別化を図る。
一方で、30代にとってルミネエスト新宿や渋谷109は「年齢的に入店に少し勇気がいる」という課題もある。そのハードルを払拭する新たな施策として、モデルのEva、元E-girlsの佐藤晴美、モデルの大屋夏南の10?30代の3人の世代別モデルを起用したキャンペーンを展開。各世代向けの10パターンのデニムスタイリング?計30ルックを提案することで、どの世代が着用しても「自分にマッチするものがある」と視覚的に分かるようにする狙いだ。



2025年秋冬コレクション展示会の様子
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そのほか、デジタルマーケティングでは世代別セグメントを行い、それぞれの世代のモデルを起用した広告ヴィジュアルをインスタグラムなどで配信。大人の女性向けファッション雑誌「オトナミューズ」とのタイアップなども予定しており、多角的なアプローチで新たな顧客層への認知拡大を図る。
リブランディング告知では、「ニューマウジー爆誕」というインパクトあるキャッチコピーを掲げ、交通広告等も活用して大々的に展開。渋谷の「道玄坂?文化村通街路灯フラッグ」にも広告を掲出し、渋谷109発ブランドとしてのルーツを辿りながら、アジア?グローバル展開への意気込みを示す。

リブランディングを告知するヴィジュアル
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リブランディングに合わせ、9月のルミネエスト新宿店を皮切りに店舗デザインも順次刷新。ダイケイミルズが設計を担当し、デニム商品のバリエーションの豊富さや存在感が際立つような什器や内装に生まれ変わる。また、デニムパンツのフラッシャーや革ラベルも一新し、多様なバリエーションがある中でも、シルエットや種類が一目でわかるよう工夫しているという。店頭ディスプレイするマネキンも、デニムパンツが綺麗に見えつつも客にとってリアル感のあるバランスを追求した新シルエットにアップデートする。


新店舗内装のイメージパース
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今回、ブランドロゴも2014年以来11年ぶりに刷新。同リブランディングの戦略立案?アートディレクションを手掛けるムラカミカイエ率いるSIMONEがデザインを担当し、「進化を続けながら変わらぬ本質を追求していくマウジーの姿勢」を反映した。ショップバッグや各種ツールには、「年齢やカルチャー、価値観やスタイルの境界を越える象徴的な色」として、新たなブランドカラーであるグレーシルバーを採用したデザインにアップデートする。



マウジーの新ロゴ
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次に目指すは韓国市場開拓と“逆輸入”
海外事業では、現在ライセンス契約で展開を続ける中国市場での売上拡大に加え、今後は新たに韓国市場を開拓。2026年3月には韓国ブランドとのコラボレーションや現地でのポップアップストア開催を計画しているという。近年、日本でもファッションやカルチャーの影響力が増している韓国で支持を得ることで、日本国内でのブランド価値向上にも繋がる「逆輸入」効果を狙う。
野村氏は「韓国カルチャーやトレンドに関心を持っている層は、私たちのメインターゲットの客層とも近しいことを考えると、今後積極的にアプローチしていきたい分野。これまでは同国での展開のノウハウがなく腰が重かったが、まずはポップアップやコラボを通して、展開の仕方を探っていけたら」と期待を寄せる。
また国内でも、メイドインジャパンのデニムを展開していることなどから、インバウンド需要の高まりも実感。現在は地域ごとに偏りはあるものの、都内店舗では売上の20%弱をインバウンドが占める。大阪のららぽーとEXPOCITY店では、3階からメインフロアの2階に移設して以降売上が大きく伸長していることから、今後は都内のSCモール等への新規出店を計画しているという。

2025年秋冬コレクション展示会の様子
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リブランディング後の売上目標として、2026年2月期は前年同期比7%増を設定。2028年2月期には同20%増を目標に、3ヶ年計画でコロナ禍以前の2018年度の売上水準への回復を目指す。
強みであるデニムを軸に新たなスタートを切るにあたり、野村氏は「会社として意図しているわけではないが、今後は3ヶ年の中で、デニム専門のセレクトショップ等への卸なども視野に入れたり、従来の若年層ブランドではない新たな可能性や展望を探っていけたら」と期待を寄せる。「まずはリブランディングをきっかけに、『デニムアイテムを買うならマウジーに行こう』『マウジーに行けば、良いデニム商品とそれに合うトレンドのアイテムが揃う』というイメージを定着させられたら」と意気込みを語った。

マウジー事業部 野村千尋事業部長
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最終更新日:
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