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国内主要百貨店6社(三越伊勢丹、髙島屋、大丸松坂屋百貨店、阪急阪神百貨店、松屋、近鉄百貨店)の2025年8月度の既存店売上高をレポート。前年のインバウンド活況による免税売上高の大幅伸長の反動で長らく苦戦が続いていた各社の売上が復調し、6社中5社が前年実績をクリア。国内客には月末まで続いた猛暑により盛夏商材が好調だったほか、免税売上高にも回復傾向が見られた。
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※売上増減率は各社いずれも確報値を参照。
※売上は収益認識基準ではなく従来の総額売上高で開示。

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三越伊勢丹:1.4%減
三越伊勢丹の8月度売上高は、前年同月比1.4%減で着地。伊勢丹新宿本店での上位顧客向けイベント「丹青会」の会期ズレ*による影響で微減となったものの、その影響を除いた(前年開催日前までの比較)三越伊勢丹計の売上高は、同6.5%増だった。
店舗別では、伊勢丹新宿本店のみ同8.0%減(丹青会の会期ズレを除くと同6.0%増)となったものの、三越銀座店は同8.2%増、三越日本橋本店は同8.5%増と好調だった。
国内客は、エムアイカード会員、アプリ会員、デジタルID会員を合計した「識別顧客」を中心に引き続き売上が堅調に推移。シェアは高くないものの、免税売上高にも回復傾向が見られた。また、「Disney THE MARKET 2025 in 日本橋三越本店」や「SHINJUKU ART WEEK ブルーロック×伊勢丹」など、関心度の高いコミュニティに対する高感度で上質な提案が、新たな顧客の来店に寄与した。
*丹青会は、2025年は9月5日~7日、2024年は8月30日~9月1日に開催。
髙島屋:5.2%増
髙島屋の8月度の国内百貨店既存店売上高は、前年同月比5.2%増で着地(客数同5.7%増)し、2025年1月度以来7ヶ月ぶりのプラスとなった。免税売上高は同9.8%減と引き続き苦戦したものの、免税を除いた店頭売上高は7.8%増と好調に推移した。
新規催事開催に伴う入店客数増加や、食料品、夏物衣料?雑貨などの堅調な稼働により、国内客の売上高は前年実績を達成。インバウンド客に絞ると、化粧品、婦人服、スポーツ用品等は前年対比でプラスとなったものの、ラグジュアリーブランドをはじめとする高額品売上のマイナスの影響が大きく、前年売上高を下回った。
店舗別では、堺店(同3.9%減)と新宿店(同3.2%減)を除く全店が前年実績をクリア。特に大阪店(同8.6%増)、日本橋店(同8.0%増)、大宮店(同13.7%増)が好調だった。商品別では、衣料品(同5.1%増)、食料品(同7.8%増)、雑貨(同8.1%増)をはじめ、ほぼ全てのカテゴリーがプラスで着地した。
大丸松坂屋百貨店:8.7%増
大丸松坂屋百貨店の8月度は、前年同月比8.7%増で着地(客数同10.2%増)。月後半も高い気温が続いたことにより、衣料品を中心に盛夏商品が好調だったことに加え、免税売上高が同6.5%増(客数同25.0%増、客単価同14.7%減)と前年実績を上回ったことから、2025年2月度以来6ヶ月ぶりにプラスで推移した。
店舗別では、大丸梅田店が同27.6%増と大きく伸長したほか、免税売上が好調な大丸心斎橋店(同11.0%増)や大丸神戸店(同8.4%増)、改装を行った松坂屋名古屋店(同6.6%増)をはじめ、13店舗中8店舗が前年実績をクリアした。
免税売上高は、ラグジュアリーブランドを含む一般品が前年実績を下回り客単価が低下したものの、化粧品を中心とした消耗品が大きく売上を伸ばし、前年を上回った。
商品別では、婦人服?洋品は、8月後半まで続いた猛暑によりブラウスなどの盛夏商材が好調に動いたほか、松坂屋名古屋店の婦人服フロアの改装効果が持続したことなどが寄与し、対前年プラスで着地。紳士服?洋品は、セール商品が好調だった。身回品では、アクセサリーやハンドバッグが大きく売上を伸ばしたほか、婦人洋品、婦人靴なども堅調に推移。食料品では、夏休みでの旅行客増加などにより惣菜が売上を牽引し、全体でも前年を上回った。
阪急阪神百貨店:5.1%増
阪急本店の大型改装に伴う売場閉鎖のマイナス影響が継続する中、国内売上高は前年実績を上回り好調。また、免税売上高が前年に近い水準まで復調し、各店とも前年実績を上回った。全店では、2025年2月度以来、6ヶ月ぶりに前年実績を上回った。
月中旬以降やや改善傾向が見られたものの、高い前年実績の反動により、免税売上高が前年対比で約4割減と3月以降苦戦が継続。7月も阪神梅田本店を除く都心店の売上高が前年を下回り、阪急阪神百貨店全体の売上高は、前年同月比8.8%減となった。一方、全店的に食品の売上は引き続き安定的に推移し、郊外店の売上高合計は前年実績を上回った。
好調が続く阪神梅田本店は、同18.3%増で着地。5月の改装で導入したファッションブランドや大型専門店が引き続き順調に推移し、ファッションとライフスタイルカテゴリーの売上高が前年の約3割増、店舗全体としても売上高が同約2割増と好調だった。
同3.1%増となった阪急本店では、国内売上高の好調に加え、免税売上高も海外VIP顧客の売上高が約2割増とけん引し前年に近い水準まで復調。全体として前年実績を上回り、同月としては過去最高の売上高を更新した。婦人衣料では、夏の長期化への対応として国内ブランドで強化した定価商材の盛夏アイテムの足し込みが奏功。鮮度あるイベントの好調も寄与し、前年売上高を大きく上回った。服飾雑貨では、月初からセールが始まったパラソルやサングラス、帽子が連日の猛暑もあり好調に推移。宝飾品含む100万円以上の高額品の売上高も約1割増と伸長した。
また、毎年好評の全館連動イベント「スヌーピーフェスティバル」を8月13日から2週間開催。ECの強化により広域からの売上獲得に繋がったほか、全館で約80ブランドが参加した阪急オリジナルデザインのアイテム展開もフックとなって連日賑わい、過去最高だった前年の売上高を上回ったという。
松屋:8.0%増
8月の松屋の売上高は、前年同月比8.0%増で着地し、2025年1月度以来7ヶ月ぶりにプラスで推移した。
銀座店は、同8.5%増で着地。免税売上高は、同9.4%減と引き続き前年実績には届かなかったものの、直近数ヶ月間と比較して回復傾向が見られた(同店の免税売上高のシェアは45.2%)。国内客売上高は、さまざまな販売?来店促進策が奏功し、同25.3%増と大幅に伸長。特に、化粧品(同6.2%増)、ラグジュアリーブランド(同12.3%増)、婦人衣料品(同2.0%増)が堅調に売れた。
近鉄百貨店:12.4%増
他百貨店が厳しい中でも堅調な売上を維持していた近鉄百貨店の8月度は、百貨店事業全体の売上高が前年同月比12.4%増と、さらに好調な結果に。前年のインバウンド活況の反動を受けていたあべのハルカス近鉄本店も、同3.3%増とプラスで着地した。
店舗別では、10店舗中8店舗が前年実績をクリア。商品別では、紳士服?用品(同3.2%増)、子ども服(同6.4%増)、家庭用品(同11.6%増)、食料品(同11.0%増)、雑貨(同34.5%増)などが好調に推移し、食堂喫茶(同15.2%減)と婦人服?用品(同3.8%減)を除く全カテゴリーで前年実績を上回った。
最終更新日:
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