
資生堂が、2025年12月期の見通しを下方修正し、連結最終損益(国際会計基準)が520億円の赤字になると発表した。赤字は2期連続で、今季の赤字は会計基準や決算期の変更を考慮せず比較すると過去最大の数字となる。
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今回の下方修正は、主に米州事業における、のれんの減損損失468億円を計上したことに起因。傘下の米国発のスキンケアブランド「ドランク エレファント(DRUNK ELEPHANT)」の不振が響き、米国事業の収益性が低下した。同社は2019年、ドランク エレファントを8億4500万ドル(約920億円)で買収。2024年に発表した中期経営戦略「アクションプラン 2025-2026」で、「アネッサ(ANESSA)」、「ナルシソ ロドリゲス(narciso rodriguez)」、「イッセイ ミヤケ パルファム(ISSEY MIYAKE PARFUMS)」、「エリクシール(ELIXIR)」とともに、1000億円ブランドへの成長を狙う「ネクスト5」に据えたが新興ブランドとの競争激化などで業績が振るわず、今年6月30日には日本での販売を終了した。
同社の藤原健太郎社長兼CEOは、米州事業の不振の主因となったドランクエレファントについて、「ブランドのポジショニングが曖昧になり、ターゲット顧客に価値を十分に伝えることができていなかった」と分析。結果、若い世代向けのブランドと誤認され、模倣品が登場するなどして苦戦したという。また、市場の過剰在庫も課題で、現在は在庫の適正化を最優先で進めているとしている。
8月には2026年の米州事業コア営業利益の黒字化に向け、米州事業全体の約15%にあたる人員約300人を削減したことを明らかにしていたが、今回の下方修正にあわせて本社で約200人の追加削減を発表した。
同社が10日に公開した2025年12月期第3四半期(1?9月)の連結決算は、売上高が前年同期比4%減の6938億円、コア営業利益が同9.7%増の300億円、最終損益が439億円の赤字(前年同期は7億5400万円の黒字)だった。2025年12月期通期見通しは、売上高が同2.6%減の9650億円(前回予想は9950億円)、コア営業利益が同0.4%増の365億円(同据え置き)、最終損益が520億円(同60億円の黒字)を計画している。
◆2030年に向けた中期経営戦略を発表
長期にわたる業績低迷を踏まえた構造改革を経て、同社は2030年に向けた中期経営戦略を策定した。同戦略では、2005年に掲げたスローガン「一瞬も一生も美しく」を復刻。「ひととの繋がりの中で新しい美を探求?創造?共有し、一人ひとりの人生を豊かにする」を2030年のヴィジョンに掲げ、「ブランド力の向上を通じた成長加速」「グローバルオペレーションの進化」「サステナブルな価値創造」の3項目を柱に据える。
成長戦略の核となるのは、同社の強みであるR&D(研究開発)領域への注力だ。市場規模と成長性、競争優位性の観点から、特に「スキンケア」と「サンケア」を中心カテゴリーと位置づける。これに「メイクアップ」「フレグランス」「メディカル&ダーマ」「ライフスタイル」を加えた領域に経営資源を集中投下する。
ブランドポートフォリオでは、「SHISEIDO」「クレ?ド?ポー ボーテ(Clé de Peau Beauté)」「ナーズ(NARS)」といった売上1000億円を超える「コアブランド」が利益の担保を担い、「アネッサ(ANESSA)」などの「ネクストブランド」が成長を加速させる役割を担う。ブランドの役割を明確化し、戦略性に沿った投資配分を徹底することなどによって、2023年までにコア営業利益率 10%以上、ROIC(投下資本利益率)10%以上、フリーキャッシュフロー1000億円以上を目指す。
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