今年のお買い物を振り返る「2025年ベストバイ」。18人目はFASHIONSNAPを運営する株式会社レコオーランドの代表取締役を務める光山玲央奈。趣味である登山関連のブランドから、ラグジュアリーブランドまで、幅広いラインナップから選んだベストバイ8点について語ります。
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RIMOWA Vitra 2025 アルミニウム スツール

FASHIONSNAP(以下、F):それでは今年もよろしくお願いします。1つ目はスイスの家具メーカー「ヴィトラ(Vitra)」とのコラボで話題になった「リモワ(RIMOWA)」の「RIMOWA Vitra 2025」アルミニウム スツールですね。3色展開で合計1000台が限定生産され、日本への割当て数は全色合わせても数十個と言われています。よく手に入りましたね。
光山玲央奈(以下、光山):伊勢丹を徘徊していたら、たまたま本館1階のザ?ステージでやっていたポップアップで普通に売っていましたよ(笑)。確かに店頭でも入荷数が本当に少ないというようなことを言われました。カラーバリエーションはシルバー&アイスブルー、シルバー&パピルス、シルバー&エメラルドがあったんですけど、エメラルドがすでに完売していて、アイスブルーとパピルスが1個ずつ残っていたのかな。それで、パピルスを買いました。

F:誰が見てもリモワ!というルックスですが、どの点が気に入ったんですか?
光山:スーツケースで旅行や出張をしている人は経験があると思うんですが、待ち時間にスーツケースの上に座ったりするじゃないですか。誰しもが思っていた「スーツケースは椅子として使えるのでは」という思いを具現化してくれたところです(笑)。しかも、リモワ単体ではなくてヴィトラと組んだというところも、遊びの中に真剣さを感じて素晴らしいですね。

F:リモワのスーツケースも使っているんですよね?
光山:アルミニウム製のリモワ オリジナルスーツケースを使っています。すごくいいですよ。このスツールにもキャスターにリモワのマルチホイールシステムが使われているんですが、本当に滑らかなんですよね。作業椅子などに付いているキャスターは、全部リモワが手掛けて欲しいくらいです(笑)。ルックスやプレミアム感だけでなく高い実用性を備えていることが、リモワをラグジュアリーブランドに押し上げたんだなって思います。

F:このスツールも、内部までしっかり作り込んでありますしね。ヴィトラの製品は他にも持っているんですか?
光山:個人的に買ったことはないんですが、会社でメダ2チェアを使っていました。オフィス移転の時に違う椅子に切り替えたんですけど、気に入って使っていましたね。

F:このスツールはお家のリビングに置いているんですか?
光山:今のところそうですが、本当にキャスターが良くて、固めのカーペットの上でも滑らかに動くので、作業場に移そうかと思っています。
F:中の収納も大容量で色々入りそうですね。
光山:そうですね。簡易的なサイドテーブルにしてもいいかもしれません。上蓋のロックがなく、すぐにものが取り出せるので、頻繁に使うものとかをしまっておいても良さそうです。

F:お値段が42万3500円。椅子としては過去最高額ですか?
光山:うーん、わからないです(笑)。ただ、今年買ったアイテムのなかでは1番か2番目に高かったと思いますね。
F:リモワのスーツケースよりも高額ですが、そこは気にならなかったですか?
光山:全然気にならないですね。裏打ちされた真剣な遊びこそがラグジュアリーの極みな気もしますし。これがリモワじゃなかったら、ここまでの完成度にはならなかったでしょう。こういうコラボものは、いつになっても欲しくなってしまいますね。
Patagonia?ダスパーカ ポップオレンジ 2001

F:「パタゴニア(Patagonia)」のダスパーカですね。これは2001年限定カラーモデルのポップオレンジ。もう24年前のアイテムです。
光山:もうそんなに経ってしまったんですね……。ダスパーカのダス(DAS)は「DEAD AIR SPACE」の略で断熱空気層を意味しており、ビバークなどを想定して作られたビレイパーカです。よく勘違いされるんですけど、中わたはダウンじゃなくて化繊なので、濡れても保温性を保ってくれます。これは2001年に登場した限定カラーで、僕の中ではダスパーカと言えばこのポップオレンジか、2000年限定のアシッドグリーンですね。

F:アシッドグリーンは、ドラマ「漂流教室」で窪塚洋介さんが着用したことから、「窪塚グリーン」と呼ばれていますね。ちなみにダスパーカを手に入れたのは初めてですか?
光山:いえ、ポップオレンジのXSサイズを持っていたんですが、今年Sサイズを買い直しました。これを街で着る気はあまりなく、登山で着るために買ったんですよ。なので、シェルジャケットの上に着るためにジャストよりもワンサイズ上を買いました。
F:え、登山でこれを着るんですか?
光山:はい(笑)。元々、登山のために開発されたものですし。

F:ヴィンテージファンが卒倒しそうです(笑)。山で実際に使っても大丈夫なんですか?
光山:2年前から探しに探して、非常に状態が良いものを見つけたので、機能的には間違いないかと。中わたもフカフカで全然へたれていません。確かにこの色はヴィンテージアイテムとしては貴重で人気ですけど、やっぱり本来の用途に沿った使い方をしてみたいんですよね。なんていうんだろ、「リーバイス(Levi’s?)」501XXを穿いて、鉱山で働くみたいな(笑)?
F:それもまた物議を醸し出しそうですね(笑)。
光山:僕なりのロマンです(笑)。
F:状態が良いので、街着としても着られそうですけど、それでも山で使いたい理由は?
光山:やっぱり、開発時に想定されていた環境で使ってみると、普段だと気づけない部分に気づいたり、「なるほどなぁ」って感心したりすることが多いんですよ。例えばこれだと、脇のポケットはジップを下から上に開けるのに、胸ポケットは上から下に開ける仕様になっていることや、裏のメッシュポケットは何を入れることを想定しているのか、など。こういうのって現場で使ってみないと理由がわからないことが多いんです。せっかく当時のパタゴニアが技術の粋を集めて作ったんですから、試せるなら試したいです。

F:なるほど。そういえば昔「ロレックス(ROLEX)」の6263のストップウォッチ機能を使ったら止まらなくなっていましたよね?
光山:時計コレクターから「6263のストップウォッチ機能を使ったやつは初めて見た」って呆れられました(笑)。コレクターからすると、あの機能はあくまでも飾りなんですよね。でも、当時はあれで測っていたわけで。どんなふうに動くのか見てみたくて使ってみました。最後は針が外れてしまい、オーバーホールに出しましたけど(笑)。痛い出費でした。ヴィンテージのオーバーホールって高いんですよね。
F:高い勉強代でしたね(笑)。
LOUIS VUITTON?LV スーパーヴィジョン?ラウンド

F:次は「ルイ?ウ?ィトン(LOUIS VUITTON)」サングラス「LV スーパーヴィジョン ラウンド」です。2024年春夏メンズのショーで登場して話題になりました。
光山:サングラスはほとんどかけないんですけど、ONE MEDIAの明石ガクトさんとルモンドでステーキを食べようって待ち合わせしたときに、明石さんがかけていたんですよね。「わ、これは面白い」って思って買いに行きました。
F:人のを見て欲しいって思うの珍しいですね。
光山:いや、結構ありますよ。やっぱり自分だけで情報収集するのは限界があるじゃないですか。誰かのフィルターを通して選ばれたものって気になるんですよね。特に、使っている人が似合ってると魅力的です。

F:明石さんは似合ってたんですか?
光山:僕よりずっと似合ってましたね(笑)。自分が似合ってるかは正直謎ですけど。

F:大丈夫だと思いますよ(笑)。作りもかなり凝っていますね。よく見るとレンズ部分のゴールドの縁がダミエ柄っぽくなっています。
光山:このサングラスはカメラのレンズがインスピレーション源になっていて、レンズキャップのようなものも付属しているんです。保管時にしか使わないですけど、そこまでこだわって作っているのは流石だなって思います。

F:これはどういう時にかけるんですか?
光山:オシャレしたいときです。シャレ感が効いてるという意味ですよ(笑)。こういうのをつけていると、「何それ?」ってコミュニケーションが生まれるじゃないですか。まぁ、夜にかけてると全然見えないのでお店とかに入るときにかけて、お店から出たら外すみたいな。
F:サングラスですもんね(笑)。光山さんは普段はメガネをかけていますが、サングラスをかけるときはどうするんですか?
光山:コンタクトにします。これまでずっとメガネだったんですけど、去年あたりからコンタクトレンズを使い始めたことで、アイウェアの選択肢がグッと広がりましたね。でも、街で使うためのサングラスを買ったのはこれが初めてかもしれません。そういう意味では記念すべきアイテムですね。



F:今、他に気になっているアイウェアはあるんですか?
光山:特にありませんが、今のラグジュアリーのエントリーアイテムってアイウェアとフレグランスになっている気がするんですよね。各ブランドはこの2つにかなり力を入れていて、アイテムのバリエーションも増えているのでお店に行くたびにチェックしていますね。
F:以前はブランドのエントリーアイテムは財布やカードケースなどの革小物でしたよね。これも時代なのでしょうか。
光山:プライス的に、革小物系はもうエントリーアイテムじゃないですね。とはいえ、キャッシュレスが進むなど、色々なものがデジタル化しており、今後のライフスタイルに合わせるために、商品群の整理は必然と思えます。そういう意味では、現在では想像すらできないものが、今後エントリーアイテムとして登場するかもしれませんね。
mont-bell アルパインクルーザー 800 BOA Men’s

F:「モンベル(mont-bell)」 アルパインクルーザー800 BOAです。ベストバイにモンベルが登場するのは2023年以来です。
光山:モンベルは登山靴を大きく「アルパイン」、「ライトアルパイン」、「トレッキング」、「ライトトレッキング」、「ハイキング」の5つに分けていて、これは2~3泊くらいのテント泊縦走まで対応する「トレッキング」にカテゴライズされるブーツです。
F:他のものと何が違うんですか?
光山:「アルパイン」は冬季の雪山で使うやつですね。だいたい保温素材が入っていて、トゥとヒールにワンタッチアイゼンが使えるコバがあります。「ライトアルパイン」は、春とか秋の残雪期に使えるように、後ろだけにコバがあるやつ。それ以外はアイゼンとかを使わない季節、というような感じですね。なのでこれは、冬山以外という感じでしょうか。
F:5カテゴリーというより3カテゴリーみたいですね。
光山:今はトレランシューズで山に行く人もいますし。雪があるかないかで決める感じですかね。
F:これはBOAシステムが採用されていますね。使いやすいですか?
光山:最高ですね。これを買った最大の理由がBOAを採用していたところです。テント場では普段「ジーパックス(Zpacks)」のUltralight Camp Shoesを使っているんですけど、歩きづらいんですよね。特にトイレが遠いときとかは一苦労するので、靴に履き替えて行くんですけど、そのときにヒモを結ぶのが本当にめんどうで。でもBOAだと一瞬なんですよね。今年一番QOLが上がった気がします。


F:脱ぎ履きは重要ですよね。
光山:重要です。会食に行くときも、セッティングされたところが座敷なのかテーブルなのかで、履く靴を決めますし。脱ぎ履きのし易さは、履き心地や見た目と同じくらい重要な気がします。
F:これは登山以外でも履いたりするんですか?
光山:たまにチャレンジするんですが、まだしっくりは来ていないですね。「ザ?登山靴」というような、しっかりとした剛性と踏み心地というわけではないので、普段でも十分使えるはずなんですが。

F:ソールはモンベル独自開発のトレールグリッパーですね。
光山:多くの登山靴は「ヴィブラム(Vibram)」のソールを使っていますが、モンベルは独自開発しているんですよね。このソールが本当に良くて。こういうところまで開発しているのはすごいなって思います。

F:ボディの素材にはゴアテックスを採用していますが、モンベルはゴアテックスからモンベル独自の防水透湿性素材「スーパー ドライテック」に切り替え始めています。
光山:シェル系は今年から切り替わってきていますね。「ついに来たか」という感じです。

F:ゴアテックスは、環境負荷の観点からePTFEを、PFASフリーのePEに切り替えました。まさにゴアテックスの根本を変えるような出来事で話題になりましたが、逆に各社が独自開発した防水透湿素材に切り替えを進めた年とも言えます。
ePTFEは防水透湿性を付与する高性能フッ素樹脂。近年有害性が指摘されており、欧米のブランドを中心に、PFAS(有機フッ素化合物)を使用しないePE(延伸ポリエチレン)などへの切り替えが進んでいる
光山:ePEは、ゴア社とパタゴニア社が組んで研究開発したそうですが、モンベルにとっては自社開発したスーパー ドライテックのほうが実利があるんでしょうね。実際、今年ゴアテックスからスーパードライテックに切り替えた看板商品のストームクルーザーを着てみましたが、良かったです。しかもこの時代にゴアモデルから6000円ほど値下げして刷新したんですよ。
F:新商品で値下げって珍しいですね。
光山:自社開発の強みなのか、まず触って欲しかったのか。ただ、ゴアテックスの知名度と安心感もありますからね。しばらくは混在する状況が続きそうです。
F:今後はそれぞれ自社開発素材に切り替わって行くのでしょうか。
光山:そうでしょうね。「ミレー(MILLET)」の「ティフォン」なんかもすごい性能ですしね。今後は、そういう取り組みができない企業やブランドは生き残りが難しくなっていくのかな。この手のアイテムはファッションと違ってスペックありきで選ばれることが多いですからね。そう考えるとファッションって自由だなって思います。
Helinox?×?Tom Sachs?J.チェア

F:「ヘリノックス(Helinox)」がトム?サックス(Tom Sachs)とコラボしたJ.チェアですね。
光山:6月13日から16日の午後3時までの72時間だけ受注を受け付けたアイテムです。以前から家で使っているヘリノックスのチェアゼロとチェアワンをかなり気に入っていることもあり、このコラボは買わないと、と思いました。

F:日本国内での販売はなかったようですね。どうやって買ったんですか?
光山:helinox.comで買いましたが、大変でした。helinox.comはジオブロックがかかっていて、日本からアクセスするとhelinox.tokyoに戻されてしまうんです。これじゃ買えない、ということでなんとか掻い潜って購入しました。なので、商品が届くまで本当に発注できたのか心配でした(笑)。

F:おそらくチェアワンをベースにしていると思いますが、他に何か違いがあるんですか?
光山:素材がX-PACになっていて伸び感が少なく、しっかりした座り心地になっているのが一番大きいですね。それと、砂地で沈みづらくなるようにつけるビブラムボールが初期状態でついてます。これにより少しだけ座面が高くなっているので、靴を履いた状態だとちょうど良い感じになってます。逆を言うとそれくらいですかね(笑)。

F:アバウトですね(笑)。何脚買ったんですか?
光山:自分用に1脚と、会社用に4脚の計5脚ですね。実はひとつひとつにシグネチャーとシリアルナンバーが刻印されているんです。
F:本当だ!REONAが光山さんでFASHIONSNAPが会社ですね。


光山:そうです。なので、一生使う前提で買いました。想像していた以上にプロダクトクオリティが良かったので、もっと買っておけば、とちょっと後悔してます。そもそもなんで72時間限定販売だったのかも謎ですが、こういうのは迷わないでスパッと買うに限りますね。
F:これも登山で使うんですか?
光山:持って行くにはちょっと重いかなぁ。なんだかんだでチェアゼロとムーンライトエリートチェアが鉄板ですし。家のベランダに置いてダラダラする感じで使おうかなって思っています。

THERMOS?山専用ボトル 900ml

F:「サーモス(THERMOS)」の山専用ボトル、通称「山専ボトル」の900mlです。登山シーンでの大定番ですね。
光山:登山に行く人なら2人に1人は持っているんじゃないかというボトルです。
F:山専ボトルじゃない人は何を持っているんですか?
光山:だいたいモンベルのアルパインサーモボトルですね。山専ボトルとモンベルボトルが2強みたいな感じです。僕も500mlはモンベルを使っています。

F:山専用ボトルの重量が280g(500ml)、モンベルが237g(500ml)で、山専ボトルのほうが重いんですね。山専ボトルは、滑り止めのボディリングと底カバーを取れば260gになります。
光山:ボディリングと底カバーには、滑り止めとキズ防止みたいな役目があるんですけど、引っ掛かりやすいゴム素材なので、バッグ側面にあるポケットに入れづらいんですよね。なので、省いても大丈夫です。省いたら差が23gなので、まぁUL(ウルトラライト)の人でも許容範囲内かと(笑)。これは900mlなので、もろもろ省いて360gですね。

F:これを買ったきっかけは?
光山:元々モンベルボトルの500mlを使っていたんですが、容量が多いのが欲しくなってモンベルボトルの900mlを買おうと思ったんです。山専も選択肢にあったんですけど、色とデザインがなんか微妙だったんですよね。ですが、今年リニューアルされてとてもモダンなカラーリングになったので、買ってみました。

F:500mlタイプで見ると、両者ともにスペック自体はかなり近しいですね。
光山:微妙に違うぐらいで、どちらを買ってもそこまで性能に差はないんですよね。両方ともチタンモデルもあって、軽さを求める人にはそちらが人気ですね。
F:モンベルのチタンモデルは200gと超軽量ですが、こちらは買わなかったんですが?
光山:チタンモデルはサーモスもモンベルもどちらも試しました(笑)。ただ、保温保冷効果がステンレスより低いんですよ。5?8℃くらいの差なんですが、入れたお湯を時間が経ってから飲んだら、明らかにぬるいなぁって思ったので、軽さよりも保温保冷効果を優先しました。

F:山以外でも使うんですか?
光山:普段はモンベル500mlを持ち歩いています。山専には夜のうちにお湯とびわ茶のパックを入れておいて、次の日の朝に飲んだりしています。温かいお茶がすぐ飲めるので、冬は重宝していますね。
F:どちらにもモンベルのステッカーが貼ってありますね。
光山:ステッカー買って貼ったのは10年ぶりくらいな気がします。モンベルは塗装が剥げちゃったから、山専ボトルは滑り止めとして貼りました。沢山の人が使っているメジャーなアイテムなので、誰かのと間違わないようにカスタムするのは大切ですね。

F:山にも持って行っているんですよね?
光山:めちゃめちゃ使っています。沸かしたお湯を入れて、テント場で夜通し芋焼酎のお湯割をガブ飲みしています(笑)。家でお湯割りを飲むときなんかも便利ですし、夏は冷水を入れて水割り用のポットとしても使っていますね。
MYSTERY RANCH?レイディックス 47

F:「ミステリーランチ(MYSTERY RANCH)」のレイディックス 47です。ミステリーランチが去年発売した軽量バックパックですが、大人気でずっと完売状態でした。レイディックスは57も持っていましたよね?
光山:持っていました(笑)。去年発売された時に57を買ったんですが、再入荷した今年に47を買い直しました。
F:どうして買い直したんですか?
光山:ややこしいんですが47は45リットルサイズで、57は60リットルサイズなんです。ずっと使っているのが「HMG(ハイパーライトマウンテンギア)」のジャンクションというモデルで、サイズが55リットルなんです。57はそれと用途が被るので、あまり使わなかったんですよね。それで持っていないサイズの45リットルを買い直しました。

F:買い直すということは、やはり背負い心地が良かったんですか?
光山:背負い心地と使い心地は、今まで使ってきたバックパックのなかで1番と言ってもいいかもしれませんね。まず、背面長が無段階調整可能なフューチュラヨークシステムを採用しているので、自分にぴったりフィットさせられるところ。また、ショルダーパットも厚くて荷物が重くても肩が全然痛くならないですし、ジップを下げるだけで底にあるものまで一気にアクセスできるなど、死角無しです。





F:ミステリーランチが満を持して発売しただけありますね。でも57のままでも良かったんじゃないですか?
光山:57の唯一の難点が、トップリッド(雨蓋)を固定するバックルが2つあることなんです。47は1つ。些細なことですが、2つ留めるのがストレスだったんですよね。その点を除けば、ある意味ファイナルアンサーとも言える完成度の高さでした。
F:普段はHMGということですが、レイディックスはどういう時に使うんですか?
光山:荷物が重い時です。HMGは耐荷重が18kgまで設定されていますが、レイディックスは明記されていないんですよ。でも、ミステリーランチだから大丈夫だろう、ということで20kg超えるかもというときに使っています。HMGで18kgを背負うと、ショルダーストラップの肩への食い込みがやばくて心配になるんですよ。そういうときはやっぱり、ミステリーランチが威力を発揮しますね。ショルダーストラップとヒップベルトの作り込みがしっかりしており、荷物が重くても全然平気です。

F:ちなみにミステリーランチは、2024年にイエティ(YETI)社に買収されました。イエティはクーラーボックス界の最高峰ブランドですが、これに対してはどう思われますか?
光山:衝撃でしたね。アウトドア領域のプレミアムブランド同士で相性が良いと思います。ただ気になるのは……。
F:気になるのは?
光山:今年、イエティブランドでイエティ ランチェロという3ZIPデザインのバックパックが発売されたんです。3ZIPはミステリーランチの創業者デイナ?グリーソン(Dana Gleason)が考案したミステリーランチを代表するデザイン。これをイエティブランドで使うということは、ミステリーランチブランドが今後どうなるのか、気になりますね。
F:確かに。デイナ?グリーソンは、あの伝説的ブランド「デイナデザイン(DANA DESIGN)」も創業した人ですよね。
光山:デイナデザインは本当に革新的でした。そのデイナが、ここまで育てたものを売却したことには、何か背景があるんでしょうね。3大バックパックブランドと言われる「グレゴリー(GREGORY)」、「オスプレー(OSPREY)」、ミステリーランチの一角に動きがあったということは、今はバックパック業界の転換期であることを意味しているのかもしれませんね。
THE ROW カシミアシルクカーディガンシャツ

F:「ザ?ロウ(The Row)」のカシミアシルクのカーディガンシャツです。詳細は?
光山:不明です。品名なども一切分からず。わかっているのは、とても着心地が良いってことだけです(笑)。

F:カシミア65%、シルク35%。黄金比率ですね。
光山:わかります?(笑)。カシミア6~7割、シルク3~4割が一番好きな比率なんです。しっとりしつつもカシミア感を失わないというか。これも本当に素材が良くて、それだけでも買う価値がありました。

F:ルーズシルエットのトレンドは落ち着いてきた感覚がありますが、それにしてもシルエットは結構細めですね。
光山:そうですね。シャツカーディガンはこれくらいのシルエットの方が、シャツとして着てもカーディガンとして着てもサマになりますね。このフォレストグリーンのカラーもかなり気に入っています。

F:ザ?ロウっぽい色ですね。ザ?ロウは今年も引き続き大人気でしたが、光山さんのベストバイに登場するのは初めてですよね?
光山:買ったのも初めてです。このアイテムがザ?ロウのファーストアイテムになりました。ずっと気になるブランドではあったものの、ウィメンズ中心だったので見るだけでした。最近はメンズのデリバリーが増えて、見応えがでてきましたね。
F:シャツとカーディガンだったら、どちらで着ることが多いですか?
光山:カーディガンですね。ここ最近はシャツをカーディガンみたいに着ることが増えましたね。特にウール系のシャツはカーディガンとして優秀な気がするんですよ。寒かったらシャツとして、暑かったらカーディガンとして着る、みたいな。なので今年はカーディガンはひとつも買いませんでしたね。

F:今年は多くのブランドのトップが入れ替わる大シャッフル年とも言われました。
光山:そういう点では、創業者のアシュレー?フラー?オルセン(Ashley Fuller Olsen)とメアリー=ケイト?オルセン(Mary-Kate Olsen)が一貫して手掛けているザ?ロウは貴重な存在ですよね。人が交代して新しいクリエイションが出てくる楽しみもありますけど、人はそのままでも当人の考えや感性が少しずつ変化して生まれるクリエイションも楽しみですよね。
F:やっているほうは大変そうですけどね(笑)。
光山:まぁ、その苦悩もクリエイションに反映されますから。「ロマーノ?レヴィ(Romano Levi)」という好きなグラッパ(蒸留酒)があるんですが、それを作っていたロマーノ?レヴィさん本人が手掛けていた時代のものは、ラベルが1枚1枚手書きだったんです。かなりアーティスティックな方で、絵だったり文字だったりと、ラベルのデザインに色々バリエーションがあるんですが、彼が病んでいたときは黒塗りに赤文字みたいなデザインで、当人の精神状態が現れてるんです。でも、そういう時代も含めてのロマーノ?レヴィなんですよね。まぁ、色々あると思うけど頑張って欲しいですってことで(笑)。
F:そうですね(笑)。
今年を振り返って
F:いよいよ締めですが、今年のお買い物を振り返ってどうでした?
光山:服はほとんど買いませんでしたし、高いものもほとんど買わない1年でした。
F:ずいぶん落ち着きましたね。
光山:そうですかね。物欲はあるんですけど、それ以上にしっかりと考えたうえで買い物をするようになりましたね。例えば今回ピックアップした山専ボトルは、家のポットとしても使えるのではないか、とか。なので、意外と慎重に物選びをした年だった気がします。
F:そういうのって他にもあるんですか?
光山:家でゴロゴロするときの座布団代わりには「サーマレスト(THERMAREST)」のプロライト、椅子はヘリノックスのチェアワンなど、登山やキャンプにも持って行けるものを使っています。ザ?ロウのアイテムも、ウール素材を選ぶことでカーディガンとしてもシャツとしても着られるなど、使い方を考えて、まとめられるものはまとめてみたって感じです。

F:なるほど。使い方からの逆算で選んだ、ということですね。そういえば最近は、モンベルのすごさに震えてると聞いていますが(笑)。
光山:モンベルはすごいですね。次のユニクロはどこですか?と聞かれたりするんですが、個人的にはモンベルが一番近い気がします。ひとつひとつのアイテムがリアルなフィールドで使える本物でありながら、あのプライスですからね。それに、フリーズドライ食品からテントまで作って販売するという手広さ(笑)。本物のライフスタイルブランドと言っても過言じゃないポテンシャルだと思います。

F:確かに。独自素材や製品開発にも熱心ですし、ただ安いというわけでもないですからね。
光山:多少ダサくても、ちゃんと実地で使えてお財布に優しい。買う理由があるのが大きいですね。そういうブランドは、苦しい時を乗り越えたらさらに大きくなることが多いと思います。効用が高いことが今の時代に重要なんだと思います。
F:効用ですか。ファッションにもあるんですか?
光山:ロゴものとかはまさにそうじゃないですか。レアやウェルスを画面越しでも理解させられるものとしては、最短最速だった気がします。ただ、既にその効用が薄れてしまったのも事実ですが。自ブランドの効用は何なのか。その正解を持つところは強いと思います。まぁ、「そんなの関係ねぇ」みたいな部分もファッションの良さでもありますけどね(笑)。
F:来年のベストバイでも、モンベルが登場しそうな気がするんですが(笑)。
光山:どうでしょう(笑)。 モンベルに、カラーチョイスに強いクリエイティブディレクターを置いたらどうなるかとか想像は膨らみますが、来年になってみないと来年の買い物はわからないですからね。来年の自分に期待しましょう!
F:そうですね!ありがとうございました!

テント場で愛用中のモンベルのプラズマ1000 アルパインダウン パーカ?
??光山玲央奈
FASHIONSNAP創業者。2009年に株式会社レコオーランドを設立し、代表取締役に就任。今年一番飲んだ酒は「三岳お湯割り」。
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