「アマゾン(Amazon)」がビューティ事業を強化している。多くの化粧品企業が自社ECに力を入れ、異業種からも参入が相次ぎ、さらには他プラットフォームでもビューティへの関心が高まる中で、アマゾンがとる戦略とはーー。1年前にビューティ事業部 事業部長に就いた翠田有希氏の話から、アマゾン ビューティの3つの差別化を紹介する。
アマゾンのミッション「地球上で最もお客さまを大切にする企業であること」に沿って、これまでは「豊富な品揃え」「配送の便利さ」「価格」において、お客さまの購買体験をより良いものにするかに焦点を当てていました。ただ実際コスメが欲しいお客さまは、何が欲しいか分かっていない状況で買い物を始められて、どれが良いのか紹介して欲しいし、教えて欲しいというニーズが強いと思います。また自身が信頼しているところで購入したいという思いも強い。そういったビューティに特化したニーズを満たすため、数年前からグローバル全体で取り組みを始めました。
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?機能強化
メイクアップアイテム:Eコマースで「試せない」というハードルを解消するため、ロレアルグループ傘下のモディフェイスのAI(人工知能)とAR(拡張現実)を活用したバーチャルメイク機能を2019年に導入。携帯のカメラを使って自分の顔にバーチャルでリップやアイシャドウを試すことができ、気に入った商品はそのままワンストッフ?で購入できる。結果的に、「お店て?テスターを試せなかった」や、「気になる色は全部試してみたい」といったリアルでの“試せない”も解消。
これにより、お客さまが「自分に合うビューティアイテム」を探しやすくなったと思います。ローンチ以降、購入前に、より選びやすく、使い方が分かりやすくなるようにリニューアル。そして今年は具体的な数字は言えませんが、対象商品を前年に比べて3?4倍と大幅に増やしました。
スキンケアアイテム:アマゾンの幅広いセレクション?価格帯の商品から、それそ?れのお客に合ったスキンケア商品を提案するスキンケアアドバイザー機能を2022年に導入。肌質や肌に関する悩み、好みなどに関する簡単な質問(必須3、オプション2)に答え、自身のスキンケアフ?ロフィールを作成。肌の状態、悩み、好みと、商品の情報を照らし合わせ関連性の高い商品をおすすめする。
これまでは検索結果が多いほど良い、という思考だったと思いますが、この機能はお客さまの肌質やニーズ、興味に合うものを絞って提案するというのは新しい取り組みだと思います。またアルゴリズムに加えて、マシーンラーニングを導入していることで、同じ選択肢を選んだとしても、同じ結果になるとは限りません。それはお客さまのプロフィールに沿った提案がエッセンスとして入るからです。
?イベント開催
“納得感のあるお買い物”の提供のため、イベントを開催。春は「UV&ベースメイクアップ特集」を、晩夏に「ベストバイ特集」としたイベントをインフルエンサーを活用して実施。集大成として10月28~31日に、アマゾン内でコスメを中心とする美容カテゴリー(コスメ、ヘアケア、美容家電)として初の大型オンラインイベント「Amazon Beauty Festival “キレイに出会う4日間”」を行なった。
小田切ヒロさんのYouTubeチャネルで、「小田切ヒロが厳選!2022年夏にAmazonで買うべきおすすめコスメ5選を紹介!」を行い、アマゾンに飛んでもらい、その時に使えるクーポンを配布しました。また「夏のベストバイ」では、他者との差別化として、「子育て世代に売れているもの」「学生の間で売れているもの」など切り口を絞って展開しましたし、そのほかにも細かな施策を連打しました。ビューティは、先ほども言いましたが、お客さまはそれぞれに叶えたい自分の理想像があり、それに近づくためにどうしたら良いか悩んでいますが、多くある商品から何を選び、どう使用したら良いのか、分からないという思いがあります。そこでわれわれは、それらをブリッジする、インフルエンサーや、あるいはビューティアドバイザーの方々を起用し、その方々がお客さまの悩みに寄り添って丁寧に説明することで、「私がほしいものだ!」「私に合う!」と納得感を持ってお買い物をしてほしい。そういう想いでさまざまなイベントを開催しました。
初の大型ビューティイベント「Amazon Beauty Festival “キレイに出会う4日間”」
美容感度の高いお客を中心に、アマゾン上でビューティ商品を購入する体験を提供することを目的に開催した。初日にライブショッピングを行い、美容のスペシャリストらの視点で商品を紹介するとともに、お客からもコミュニケーションが取れる場を提供し、ライブ中にクーポンコードを紹介するなど、飽きさせない施策を実施。商品では3000個限定の8ブランド14アイテムが入ったイベント記念ボックスを販売した。
“あたなのキレイを探す“をコンセプトに、十人十色のような、それぞれに違うキレイがあり、買うべき商品も少しずつ違っているだろうと考え、「あなた自身の美しさに出合える場」を提供するこをチームでもこだわりました。特設サイトのデザインでは、さまざまな形の丸を使用したり、またライブ配信ではそれぞれ違った得意分野を持つビューティスペシャリストに出演していただいたりしました。イベントボックスには、ブランド側の「一度試してみると絶対に次も使ってもらえる」自信の一品を集めて販売し、即完売でした。新しいお客さまの購入も多く、ブランドと新客との出会いを創出できたと思います。今後はこれまで以上に取引先さまとの協業が必要で、お客さまがほしいと思った商品が必要なタイミングで手元に届けられるよう、特に品揃えの拡充を図りたいです。
?ターゲット拡充
国内外の百貨店やセレクトショップで取り扱われているラグジュアリーブランドを100以上取り揃える(2022年9月現在)「ラグジュアリービューティーストア」に加え、2022年8月に「プレミアムブランドストア」をローンチ。ブランドが持つストーリーや世界観ともに、商品のテクスチャーや使用方法など詳細な情報を発信し、お客にプレミアムなショッピング体験を提供するビューティストアを開設した。
プレミアムブランドストアは、今年は「バウム(BAUM)」と「シセイドウ メン(SHISEIDO MEN)」でスタートしました。高級な商品は、理解した上で購入したい人が多いと思います。このページではブランドの想いはもちろん、たとえばマウスのカーソルを商品(クリーム)に合わせることで、テクスチャーがどんな形なのかなど、この中で表現できる特殊な機能を搭載しています。すでに多くのお客さまがページを観ていただいていて、購入にもつながっているような結果が出ています。
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