(左)ボッテガ?ヴェネタの人気アイテム「ザ?ポーチ」 (右)ボッテガ?ヴェネタのインスタグラムのスクリーンショット
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「ボッテガ?ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」の公式インスタグラムやツイッター、フェイスブックのアカウントが突如閉鎖され、話題になっています。ソーシャルメディアは多くのブランドにとって重要なPRツールであり、主要ラグジュアリーブランドがアカウントを閉鎖するのは極めて異例。その裏にはどのような事情があるのでしょうか?
今やSNSは現代人にとって欠かせないものとなり、それはブランドにとっても同じです。「シャネル(CHANEL)」から「ルイ?ヴィトン(LOUIS VUITTON)」「バレンシアガ(BALENCIAGA)」まで、多くの企業やブランドがSNS(特にインスタグラム)を重要なプラットフォームと捉え、積極的にブランドのヴィジュアルを投稿したり広告を運用し、ブランドが持つ世界観や新作アイテム、イベント等を消費者に向けてアピールしています。
2018年にクリエイティブ?ディレクター ダニエル?リー(Daniel Lee)が加入し、そのフレッシュな視点でザ?ポーチやパデッド カセットなどヒットアイテムを次々と送り出してきた「ボッテガ?ヴェネタ」。インスタグラムには、抽象的でアーティスティックなヴィジュアルを投稿することはあるものの、直接的に販売を促す商品の写真はほとんど見られず、他のラグジュアリーブランドに比べるとSNSに対して消極的なスタンスでした(この姿勢に、リーが経験を積んだフィービー時代の「セリーヌ」を思い出した人も多いはず)。キム?ジョーンズ(Kim Jones)やヴァージル?アブロー(Virgil Abloh)など、タレント化するデザイナーが増える中、ダニエル?リー名義のインスタアカウントがないのさえ、すでに珍しい存在だったのです。
ブランド公式アカウントからの発信が少ないのに対して、SNS上で存在感を増していったのが、所謂"ファンアカウント"。中でも、リー就任後のクリエイティビティを紹介するインスタアカウント @newbottega は非常にアクティブで、非公式のファンアカウントでありながら35万4000以上のフォロワーを抱えています。公式SNSアカウントを閉鎖する最大のデメリットは、数百万のオーディエンスへの直接的なリーチを失うことですが、リー加入後の"新しいボッテガ"自体の注目度が高いが故に、ブランドが予算をかけてSNS運用をせずとも、アイテムを愛用するインフルエンサーや業界人、取り扱いショップが十分に(オーガニックで)プロモートし消費者にリーチしてくれる、とも考えられます。
必死さを感じさせないLow Key(控えめ)なボッテガ?ヴェネタのスタンスは、最新コレクション「SALON 01」の発表にも見られました。ロンドンの劇場で昨年10月に発表されたコレクションは、カニエ?ウェストやロージー?ハンティントン?ホワイトリーなど少数のゲスト向けに披露され、オンラインでの公開やSNS投稿、メディア報道は行われず、内容が公になったのは約2ヶ月後。他ブランドが大々的にショーを行うコレクションですらエクスクルーシブでクローズドな形を選んだボッテガ?ヴェネタですから、海外のファッション業界関係者の中では、SNSからの撤退は納得がいくという見方もあるようです。情報が入り乱れるデジタル時代において、インターネットから"ログアウト"できる余裕こそ、究極の「ラグジュアリー」と言えるのかもしれません。
ボッテガ?ヴェネタからSNS閉鎖について正式コメントは得られませんでしたが、インスタだけでなく複数のSNSが同時に閲覧できなくなったことからハッキングなどによる閉鎖ではないと考えられそうです。

ヴェトモンとルドヴィック デ サン サーナンの鍵付きアカウント
近年では「ヴェトモン(VETEMENTS)」や「ルドヴィック デ サン サーナン(LUDOVIC DE SAINT SERNIN)」などのファッションブランドが、公式アカウントとは別に、鍵をかけたプライベートアカウントを開設しています。いわば、オープンなSNSを利用したクローズドなコミュニティ。これらのプライベートアカウントでは、公開アカウントでは投稿できないような過激な写真などがシェアされたり、クローズドなコミュニティだからこそ熱量を持ったファンとの密なコミュニケーションが生まれています。ボッテガ?ヴェネタにおいても、SNSを介した情報発信がなくなった後、さらにクローズドかつエクスクルーシブなコミュニケーションへと舵を切る可能性が考えられるのかもしれません。
というのも、興味深いことにボッテガ?ヴェネタはグローバルのソーシャルメディアマネージャーの求人を現在募集中。今後新しいディレクションのもとアカウントが復活することがあるのか、それとも既存のソーシャルメディアとは別のフィールドを開拓していくのか。34歳の若きクリエイティブ?ディレクター率いるイタリアの老舗ブランドの動向に注目が集まります。
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