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コム デ ギャルソン オム プリュス 2026年春夏コレクション

川久保玲が求める強き存在──真の"スーツ"を問う「コム デ ギャルソン オム プリュス」

2026年春夏コレクションを深掘り

コム デ ギャルソン オム プリュス 2026年春夏コレクション

コム デ ギャルソン オム プリュス 2026年春夏コレクション

Image by: FASHIONSNAP(Koji Hirano)

 「suits」は単に「スーツ」を指すだけではなく、"権力者"や"役人"を揶揄するスラングとしても用いられている。「Not Suits, But Suits」をテーマに掲げた「コム デ ギャルソン オム プリュス(COMME des GAR?ONS HOMME PLUS)」2026年春夏コレクションは、形だけではなく"真のスーツ"とは何かを問いかける。

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I had the feeling that we would really need to get someone powerful like a shaman to come back to lead us to peace, love and fraternity.(私たちを平和と愛と友愛に導くためには、シャーマンのような強い存在を呼び戻さなければならないと感じていた)──コレクションノートより

 ファーストルックは前回の「TO HELL WITH WAR」コレクションと同様の重厚なムードを漂わせつつも、主役は軍服からスーツへ。シルエットはタイトになり、オリーブグリーンから鮮やかなオプティカルプリントにガラリと変化した。ジャケットは複数の細長いパーツを繋ぎ合わせた立体的な仕立てで、パンツは足首から膝上まで締め上げるようにジッパーが走っている。

 テールを膨らませたウエストコートや、ジッパーの間から吹き出るフリルの装飾は、18世紀ロココ時代の貴族衣装を彷彿とさせる。一方で、ミリタリーやボンテージのディテール、端切れを繋ぎ合わせたかのようなシャビーなニットも提案された。

 パターンは複雑性を極め、デフォルメを重ね、原型を解体して異質を融合。再構築というデザイン手法には、コム デ ギャルソンの哲学が息づいている。

 ヘッドウェアはキャスケットとキャップを掛け合わせたデザインで、ハットデザイナー日爪ノブキが手掛けた。レザーシューズは今シーズンも「キッズ ラブ ゲイト(KIDS LOVE GAITE)」とコラボレーション。履き口を紐で調整する、イージーなスリッポンタイプとなっている。

 ショーはトゥヴァ共和国出身のサインホ?ナムチラク(Sainkho Namtchyla)によるホーミー(喉歌)が響き、祈りの儀式のようだった。モデルの顔を隠すように覆う巨大な帽子と、非対称に編み込まれた極太の三つ編みヘア。スーツというメタファーに、川久保玲が求める真の強き存在が顕現した。

最終更新日:

FASHIONSNAP ファッションディレクター

小湊千恵美

Chiemi Kominato

山梨県出身。文化服装学院卒業後、アパレルデザイン会社で企画、生産、デザイナーのアシスタントを経験。出産を経て、育児中にウェブデザインを学びFASHIONSNAPに参加。レコオーランドの社員1人目となる。編集記者、編集長を経て、2018年よりラグジュアリー領域/海外コレクションを統括するファッションディレクターに就任。年間60日以上が出張で海外を飛び回る日々だが、気力と体力には自信あり。

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Image by: FASHIONSNAP(Koji Hirano)

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