
「ディオール」2025年春夏オートクチュールコレクション
Image by: DIOR
1月27日、マリア?グラツィア?キウリ(Maria Grazia Chiuri)による「ディオール(DIOR)」の2025年春夏オートクチュールコレクションが発表された。
今季、マリアの想像力を掻き立てたのは、ルイス?キャロル(Lewis Carroll)による「鏡の国のアリス」。無邪気な子どもの視点からファッションの歴史をたどることで、彼女はファンタジーとロマンティシズムに包まれた過去の創造を引き出した。花弁のようなタフタのスカート、木目を思わせるモワレシルクのシガージャケット。バラやフリージア、クレマティスといったフラワーモチーフは刺繍で取り入れられ、カタツムリやトンボ、蝶といった生き物の姿も登場した。それらはおとぎ話の中から抜け出してきたかのようだ。
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竹やグロクランを素材としたクリノリンの解釈も独創的だ。ショート丈、ねじれた形、筒状、長方形、体の左右にだけ取り付けられるなど、さまざまなシルエットを構築するために使われ、繊細なレースを通して見える骨子の構造さえも、モダンなデザインとして昇華されている。











ムッシュ?ディオールの急逝後、メゾンを引き継いだ若きイヴ?サンローラン(Yves Saint-Laurent)がファーストコレクションで発表した「トラペーズ(台形)?ライン」のシンプルなラインを引用したショートドレスや、ムッシュ?ディオールが1952-53年秋冬オートクチュールコレクションでデザインした「ラ シガール」のシルエットなど、メゾンの歴史をたどる旅の要素も色濃く反映されていた。


軽やかさもまた、この世界観を形作る重要な要素だった。ラッフルが波打つダイナミックな造形のドレスでも、ふわりと宙に浮かぶような軽やかさを保つ。シースルーのビスチェやメッシュで肌が露出していても、フェティッシュに陥ることなく、あくまで洗練されたエレガンスを貫いた。シルクシフォン、リボン、パール、ラフィアといったフェミニンな素材使いは、黒、白、エクリュのシックなカラーパレットでまとめられ、甘くなりすぎない。パンキッシュなモヒカンのヘアスタイルも、エッジを加えイメージを引き締めるのに一役買っている。フレッド?アゲイン(Fred Again)&アンジー?マクマホン(Angie McMahon)の詩的な曲「light dark light」は、ショーの序盤とフィナーレで2度使用され、コレクションの印象を深化させていた。











ディオールのオートクチュール?ショーでは毎回、会場の壁が女性アーティストをエンパワメントするキャンバスとなる。今回はインドのアーティスト リシカ?マーチャント (Rithika Merchant) によるペインティングが、職人の手によって繊細な刺繍作品へと変貌した。コレクションとの直接的な関連性はないものの、色彩にあふれた寓話的なアートワークは、シックなトーンのコレクションとコントラストを生み出し、さらなるナラティブを添えているようだった。
今回のクチュールではスポーティな要素は影を潜め、代わりに実用性と健やかさがファンタジーの中に溶け込んだ。ボリューム、構造、軽さ、ディテール——すべての要素が巧妙に絡みあい、マリア?グラツィア?キウリが手がけるクチュールの中で最も完成度の高いコレクションとなった。

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