
DRIES VAN NOTEN -Women's- 2025年秋冬コレクション
Image by: GORUNWAY

DRIES VAN NOTEN -Women's- 2025年秋冬コレクション
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偉大なデザイナーの後を継ぐことの難しさは、昨今のメゾンブランドの動向を見ても明らかで、それが「アントワープシックス(Antwerp Six)」の一人として、数多くのモードファンを長く魅了してきたドリス?ヴァン?ノッテン(Dries Van Noten)なら言うまでもない。1986年にブランドデビューした「ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)」は来年で40周年。一代で築き上げた唯一無二のブランドは、生え抜きデザイナーであるジュリアン?クロスナー(Julian Klausner)に引き継がれた。
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「今日はデビューという喜びをしっかり味わって、集中しようと思いました。チームのメンバーにも、みんなそれぞれ自制心を保ちながら、この瞬間を楽しんでもらいたかったんです」。そう語るクロスナーは、クラシックなのに古くない、奥行きがあるのに軽さもあるドリス ヴァン ノッテンらしいコレクションを作り上げた。プレッシャーはなんのその。パリのオペラ?ガルニエで行われた2025年秋冬ウィメンズコレクションショーは、そうした不安を払拭する会心の出来だった。

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まずは、ジュリアン?クロスナーのバイオグラフィーから。ブリュッセルのラ?カンブル国立美術学校(La Cambre - Ecole Nationale Supérieure des Arts Visuels)で学び、2016年の卒業時にファッションデザインの学士号と博士号を取得した後、 2018年8月にドリス ヴァン ノッテンに入社。ドリスとともにウィメンズコレクションのデザインと開発に携わっており、ドリス退任後の2025年秋冬メンズコレクションではルックブックのディレクションを任された。よって、今回の2025年秋冬ウィメンズが同氏が作り上げる初のコレクションとなった。
「作る服は、実際に世の中で着られてこそ意味があると思っています。人々がその服を着て何度も外に出かけ、そこに楽しさを見出してくれれば」。ショーの後、息を切らしながらそう答えるクロスナーは、ワードローブのあるべき姿について語った。それは映画「ドリス?ヴァン?ノッテン ファブリックと花を愛する男」の中で語られた「わたしはじっくり味わえる服を作りたい、数ヶ月後に違うテイストで着られる服、持ち主と一緒に成長できる服だ」というドリスの言葉ともリンクする。ドリス ヴァン ノッテンの哲学とも言えるこの考えは、クロスナーになっても変わらない。

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ドリス ヴァン ノッテンと言えば、まず思い浮かべるのが花々の彩りをグラフィカルに表現したテキスタイルだろう。シーズンによってはモダン、はたまたクラシックなシルエットにエレガンスをプラスしてきたが、一方でデザインの無地の生地を中心にした構成した直近の2024年秋冬ウィメンズコレクションのようにプレーンなものづくりも行う。これは、ドリスが時代に反発して(即す部分も残しながら)デザインしてきたからの振れ幅だと思うが、それ故ドリス ヴァン ノッテンのコレクションにはさまざまな時代のエレガンスが並列に抽出され、"クラシックなのに古くない"デザインに仕上がる。

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ドリス ヴァン ノッテンは、オペラ?ガルニエで2016年秋冬メンズコレクションを発表したことがあるが、2025年秋冬コレクションは、この会場を念頭に置いて製作したといい、 クロスナーはオペラ?ガルニエの中を通り過ぎながら、ファブリックやオブジェを手に掴みながら、未知の問いに対する答えを探し求める女性たちを想像したという。
他の時代のエレガンスを取り入れる姿勢は2025年秋冬コレクションでも健在。贅沢なベルベット、絨毯のジャカード、カーテンのタッセル、白い柔らかなフリンジなど、オペラ?ガルニエの装飾要素が服を美しく飾り、コートにあしらった大きな襟やカフやジャケットの折り返しラペルから覗く白地、 コートの襟に由来するウエストの折り返し、伝統的なテーラリングのパフスリーブといったワードローブを再解釈したディテールも並ぶ。 シルエットの追求にも余念がなく、摘んで縫い付けることでアシンメトリーなドレープを作ったドレスや、コルセットベルトでウエストを強調した重厚なウールのフルレングススカートのシルエットなどでコレクションに奥行きを与えている。 また、 ビーズで装飾されたメッシュやグラデーションを描くパイエットの表面は、世界で着古した舞台衣装のようにレイヤードされ、かがり縫いのテクニックで作られた靴ひもや、アラベスク模様の型押しディテールなど、職人技の応用により豪華さを追求した。

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ショーの後、バックステージでは笑顔を見せるドリス?ヴァン?ノッテンの姿があった。これからもドリスはアドバイザーとしてブランドに携わっていくが、クロスナーに対して期待した「シームレスな移行と輝かしい未来」は、まだ1シーズンではあるものの、現実のものになろうとしている。ドリスからクロスナーへ意思は受け継がれ、"じっくり味わえる服"はこれからも生み出されるということが確信に変わったコレクションだった。
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