キッズ?ベビー服を展開する「ファミリア(familiar)」のアイテムを、普段使いする“大人”が増えている。今年4月、ファミリアは「アンテプリマ(ANTEPRIMA)」や「フェイラー(FEILER)」といった、20?30代女性をターゲットとしたブランドとのコラボレーションを発表。幼児向けアイテムに展開されているクマのキャラクターを大胆に使用した、大人向け商品がSNSを中心に話題となった。
コラボアイテムは、4月24日から5月6日にかけて阪急うめた?本店で開催された同社の大型イベントで販売され、会場では約1万2000人が商品を購入。並行して展開していたオンラインストアには、販売初日に平常時の20倍にあたる約6000人が利用するという人気ぶりを見せた。「どのコラボレーションも予想を大きく上回る反響だった」と振り返るブランド担当者に、ファミリアの“大人人気”の理由を聞いた。
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ターゲットを拡大、背景は?
ファミリアは、1948年に誕生した「ベビーショップ?モトヤ」を前身とし、1950年に神戸に誕生。坂野惇子氏をはじめとする4人の女性たちが「子どものためにより良いものを」というヴィジョンのもとスタートした同社は、戦後の日本に欧米の育児法を取り入れたパイオニアとなった。皇室でも採用されるほど「良質な子ども服」ブランドとして高い知名度を持つファミリアだが、ファストファッションブランドの台頭や少子化、不景気などの影響を受け業績不振に悩んだ時期もある。低迷期のファミリアに新風を吹かせ、改革を行っているのが創業者の1人の坂野氏の孫である5代目社長の岡崎忠彦氏だ。
カリフォルニア美術大学を卒業後グラフィックデザイナーとしてのキャリアを積んだ異色の経歴を持つ同氏は、2011年に代表取締役社長に就任。2015年に「子どもの可能性をクリエイトする」という新たな企業理念を設定した。以降、子どもとその家族をターゲットにアパレルに限らないライフスタイルの提案を行っており、2015年には保育園事業を始動。2018年にリニューアルした神戸本店にはカフェやクリニック、レストランを併設するなど、産前産後の母親や子どもの生活に寄り添う事業を展開している。そして、近年では「子どもとその家族」というターゲット領域をさらに拡大しているという。
阪急うめだ本店で展開されたアンテプリマやフェイラーなどとのコラボは、まさにターゲット拡大の施策の一つ。20?30代の女性から支持されるブランドやアーティストと手を組み、子を持たない“ファミリアを知らない“層の獲得にもつながった。
アンテプリマコラボ。価格帯は税込4万8400?7万7000円。
Image by: familiar
「雑貨」が人気、子ども服に並ぶ売上に
顧客層の変化から、ファミリアでは「子ども用アイテム」に限らず、大人が日常使いするための購入やギフト需要が高まっているという。以前までは、妊娠期から2歳までの子どもがいる家庭か、同社の強みである子ども服の対象サイズとなる130cmまでの子を持つ親が主な顧客層だったのに対し、近年では9歳以上の子を持つ親や子どものいない会員の割合が全体の半数を占めるほどに拡大。子どものみを対象としていない、いわゆる大人に向けたバッグやハンカチ、文具などの雑貨は、ファミリアの主力カテゴリーでもある子ども服に匹敵する売上を上げているという。
特に“大人人気”が高い「ポシェット」(税込1万1000円)
Image by: familiar
ファミリアでは昨今、渋谷ヒカリエやグランスタ東京といった首都圏で、通勤通学などで行き交う20~30代をターゲットに、雑貨アイテムを揃えたポップアップを積極的に開催。今年3月には、大阪のルクアイーレに、子ども服を取り扱わないギフトに特化した大人向けライフスタイルショップをオープンするなど、大人向けの施策に力を入れている。こうした取り組みが、20?30代の新たな顧客との接点となり、新規層の流入につながっているという。なお、神戸発祥のブランドということもあり、特に関西エリアでは学生から大人の女性まで、ファミリア雑貨を日常のコーディネートに取り入れる姿が多く見られると担当者は話す。
「懐かしい&かわいい」が広い世代にヒット
一般的に「大人世代向け」というと、少しデザインを落ち着かせようとするブランドも多いが、ファミリアの大人向け商品や大人ウケの良い商品は特に狙って「大人しく」してはいない点も特徴。ブランドのアイコンでもあるクマのキャラクターがあしらわれたバッグやタオルなどは可愛らしいデザインや色合いながら、高級志向の仕立てで大人も手に取りやすい。
創業以来、アイテムのラインナップなどは多様化しつつも、ものづくりの精神やデザインの軸には変わらない「ファミリアらしさ」があると担当者。親子孫の3世代で利用されるケースも多く、「自分が子どもの頃に愛用していたから」「なつかしい」といった声も多いことから、馴染みのあるデザインの安心感が愛される理由だと分析する。
同社では、今後も「子どもの可能性をクリエイトする」という企業理念を体現する幅広いライフスタイル提案を目指すとし、新たなブランドとのコラボや新業態の展開に力を入れていくという。
??ファミリア:公式オンラインストア
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