Francis Kurkdjian ? Fran?ois Roelant
フレグランスの魅力とは、単に“匂い”だけじゃない。どんな思いがどのような香料やボトルに託されているのか…そんな奥深さを解き明かすフレグランス連載。
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調香師フランシス?クルジャン(Francis Kurkdjian)を知らずとも、彼のクリエイションにはきっとなじみがあるに違いない。
世界中で大ヒットしたジャンポール?ゴルチエ(Jean-Paul GAULTIE)のメンズフレグランス「ル?マル」(1995)でセンセーショナルにデビュー。その後はアルベール?エルバス(Alber Elbaz)時代のランバン(LANVIN)の「ルメール」(2006)、バーバリー(BURBERRY)の「マイバーバリー」(2014)、ニナリッチ(NINA RICCI)の「レクスタス」(2015)、ウンベルト?レオン(Humberto Leon)とキャロル?リム(Carol Lim)時代のKENZO の「ケンゾー ワールド」(2016)など、ファッションメゾンが節目を迎えると必ずといっていいほど、クルジャンの手によるフレグランスが登場する。
世界中のエディターたちが彼のクリエイションを評価するが、特に日本の場合、彼の穏やかな物腰に似た静寂さを香りに感じるからかもしれない。実際、クルジャンは大の親日家で、何度も来日している。そしてついにこの3月、コロナ禍以来の来日がひっそりと実現した。今年500年を迎えた香道志野流の歩みを紹介する特別展「初代 志野宗信没後五百年記念 ー香道 志野流の道統ー」のレセプションに招待されたのだ。
「非常に感動的な式典だったね。パリから来た調香師として、日本の文化に根ざした伝統儀式に参加できたのはとても光栄だ。香道では“香りを聞く”というけれど、それは僕がヴェルサイユのパフューマリースクールで学んだこととはまったく違っていて、今の僕の価値観にとても近い。原材料を超えて自分が創った香りを感じること、それを大切にしているんだ」(クルジャン)
さて、この6月に自身のブランド「メゾン フランシス クルジャン」から、待望の新作「アクア メディア コローニュ フォルテ」が登場する。
今やメゾンのアイコンともいえる「アクア コレクション」だが、第1弾「アクア ユニヴェルサリス」を発表した2009年の時点では、これをコレクション展開することは想定していなかった、とクルジャンは語る。
「リサーチを重ねるにつれ、オーデコロンを決定づける新たな“フレッシュネス”を探求したいと思うようになった。そして数年後、『アクア ヴィタエ』と『アクア セレスティア』を発表。さらに、光のプリズムと光が引き起こす感覚を通して“フレッシュネス”の解釈を深めることで、“フォルテ”という言葉に示される新たな強さを表現できるのではないかと探求を続け、コレクションという形を成していったんだ」
「だからコローニュ フォルテにはそれぞれに明確なヴィジョンがある。アクア ユニヴェルサリスは極限まで高められた透明感、アクア ヴィタエはピークに達した陽光と熱波が交差する花の炎、アクア セレスティアは海と空の青が出合い、白昼夢に誘う水平線。そして最新作のアクア メディアはいわば、穏やかに水が流れる秘密の庭園。永遠のフレッシュネスというラグジュアリーな景色に窓を開け放つ感じだね」
光のプリズムが鍵を握るアクア コローニュ フォルテ コレクションは、虹色のボトルで構成されている。新作「アクア メディア」は虹の中央に位置するグリーンだ。もしかして今後、赤やオレンジなどのカラーボトルが追加されていく?
「そう、それが僕の究極の願い。アクアコレクションの核心は、光と水とフレッシュネスのインタラクションにある。でも探求すべきストーリーや伝えるべきセンセーションがあまりに多くて、フレッシュネスを描くには僕のパレットはまだまだ未完成だね」
折しも、ディオール パフューム クリエイション ディレクターとして手がけた新作「メゾン クリスチャン ディオール ディオリビエラ」(125mL 税込3万4100円ほか)が6月2日に発売開始、ポップアップイベント「LE JARDIN DIORIVIERA - ル ジャルダン ディオリビエラ」(要予約、キャンセル待ちのみ)が6月9日から18日までBANK GALLERY(東京都渋谷区神宮前)で開催中だ。
こちらはディオールの真髄ともいえるラ コル ノワール城の庭園に着想を得た、花と緑と果実のインタラクション。6月はフランシス?クルジャンの香りのパレットを堪能する絶好の機会、ぜひお試しを。
(文:ビューティ?ジャーナリスト 木津由美子)
ビューティ?ジャーナリスト
大学卒業後、航空会社、化粧品会社AD/PR勤務を経て編集者に転身。VOGUE、marie claire、Harper’s BAZAARにてビューティを担当し、2023年独立。早稲田大学大学院商学研究科ビジネス専攻修了、経営管理修士(MBA)。専門職学位論文のテーマは「化粧品ビジネスにおけるラグジュアリーブランド戦略の考察—プロダクトにみるラグジュアリー構成因子—」。
■問い合わせ先
ブルーベル?ジャパン:公式サイト
パルファン?クリスチャン?ディオール:公式オンラインブティック
LVMHフレグランスブランズ:03-3264-3941
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