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書店であなたを待つ「幽霊本」を探しに:「古本屋 百年」編

書店であなたを待つ「幽霊本」を探しに:「古本屋 百年」編

 いつの時代も私たちの見聞を広げてくれる「本」。出版不況が囁かれ始めた2006年から吉祥寺に店舗を構える「古本屋 百年」は、古書の販売のみならず店内でトークイベントを行うなど、古本屋兼イベントスペースの先駆けとしても知られている。店主 樽本樹廣は「本は幽霊のような存在だと思っている」と話す。そんな本に取り憑かれた樽本に、携帯をスワイプしても出会うことができない「捲ってもらいたい本」4冊を選んでもらった。

百年

「古本屋 百年」 店主 樽本樹廣

Imaged by FASHIONSNAP.COM

店主プロフィール
【名前】樽本樹廣
【好きな本のジャンル】文学全般
【影響を受けた本】「世界を肯定する哲学」/保坂和志

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「販売」ではなく「配布」された写真集、荒木経惟 電通時代の1冊

【タイトル】荒木経惟のゼロックス写真帖
【著作】荒木経惟、荒木和雄、青木洋子ほか
【発行年】1970年

樽本樹廣(以下、樽本):これは荒木経惟がまだ電通に務めていた時に、ゼロックスのコピー機を用いて制作されたモノです。

FASHIONSNAP.COM(以下、F):荒木さんは出版した写真集の数が膨大であることでも知られています。数多ある写真集の中からなぜこの1冊を選書したんですか?

樽本:「貴重だから」の一言に尽きます。これは全25巻から成るゼロックス写真帖の20巻目で、70部限定で制作されたものです。「70部」という数字にも理由があって、刊行された1970年は日米安全保障条約を巡る大規模なデモ「70年安保闘争」があった年。荒木さんは政治活動をしていませんでしたが、やはり作品を通して政治問題に言及したかったんじゃないかなと。発行部数の少なさも貴重である所以なんですが、これは元々販売はされておらず、配られた本なんです。つまり、誰しもが手に入れられるモノではなかったということですね。やはり古本屋としては、誰も持っていないモノを取り扱っていることが楽しいんですよ。

荒木経惟

荒木の妻 青木陽子や、実弟 荒木和雄の名前がクレジットに記載されている。

F:具体的に、誰に配布されていたかはわかっているんでしょうか?

樽本:何人かはわかっているようです。寺山修司など、当時のアングラ界隈を盛り上げていた人たちに配っていたようですね。

花森安治

F:価値の目安としてお伺いしたいんですが、お値段は……?

樽本:正式には販売していないんですが、売るとしたら100万円でお譲りしようかと。

F:店頭に出しているわけではないんですね。

樽本:この本に限らずですが、「お金を持っているだけの人に買われてもな」と思っちゃうんですよね。もちろん、お金を払ってくれることはありがたいことなんですが「ちゃんとしたところに収めたいな」という気持ちがあって。

F:「ちゃんとしたところに収めたい」とは?

樽本:僕の個人的な考えとして「本は戻ってくることが大事」だと思っているんです。本があるべき場所に戻ってくるために「値付け」は存在し、適正な値段を付ければ、適切な人の手に渡ると信じています。極端な例ですが、収集家たる者は自分が死んだら貴重なモノは市場に戻して、それを本当に必要としている未来の収集家の元に届くようにすることが義務だと思っています。僕も収集家の端くれとして、読み終わった本のほとんどをお店に流すようにしています。本当は、僕が読み終わった良いと思える本は100冊くらいに収めたいんですが、100冊に絞ることはなかなか難しそうです(笑)。

F:販売されている本はお客さんからの持ち込み本を買い取ったモノですか?

樽本:そうですね。幸い、うちは良いお客さんが多いので売ってもらった本で基本的に成り立っています。読み終わった本をうちに譲っていただくということにも意味があると考えていて。というのも、僕は古本屋として現在と未来を繋ぐ「良き仲介屋」になりたいんですよね。いい本はその場限りで終わるのではなく、10年後、50年後、100年後にも残っていて欲しいじゃないですか。僕は本屋が好きだし、本に助けられてきたので、自分なりに本の文化を守っていきたいなと思っています。

百年

F:仕入れた本を店頭に出す時の基準などはありますか?

樽本:今は「セレクトしないことをセレクトしている」を念頭に置いています。自分が知っている、知らないに限らず「面白い」と思ったモノは店頭に出すようにしています。自分の知識には限界があるので、選んでしまうことで自分の知らない本を排除してしまうのが嫌だなと思って。昔に比べると僕自身も成長したので、その本の良いところを見つけてあげられるようになったし、基本的にはなんでも持ち込んでもらって、なんでも店頭に出すようにしています。

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