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【インタビュー】ミニマルさは副産物であり、ゴールではない──「ジョウンド」ジャスティン?R?サンダースが語る、ブランド哲学

ジョウンド

Image by: Hiroyuki Ozawa

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【インタビュー】ミニマルさは副産物であり、ゴールではない──「ジョウンド」ジャスティン?R?サンダースが語る、ブランド哲学

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 カナダ?モントリオールを拠点に活動する、「ジョウンド(JJJJound)」。創設者でありクリエイティブディレクターを務めるジャスティン?R?サンダース(Justin R. Saunders)が生み出すのは、ミニマルでタイムレスなプロダクトだ。シンプルでクラシックなデザイン、落ち着いた色調、上質な素材──。それらを掛け合わせたプロダクトは、静かでありながら強い存在感を放つ。

 徹底した取捨選択のもとに生まれるその美学は、世界中のブランドをも魅了し、数々のブランドとのコラボレーションを実現してきた。特にスニーカーシーンには多大な影響を与えてきており、スニーカーファンたちの間でもジョウンドとのコラボレーションアイテムは絶大な人気を博している。そのジョウンドが今回、「アシックス(ASICS)」とのコラボレーションを発表した。

 コラボスニーカーが初披露されたのは、2026年春夏パリメンズファッションウィーク期間のパリ?マレ地区。今回のモデルはGELテクノロジーを搭載したランニングシューズ「GEL-QUANTUM360 1AMP」をベースに、オールホワイトで統一されたシンプルな一足。極限までミニマルさが追求された、シューズの形や備わる機能性が際立つデザインだ。ポップアップストアは初日から長蛇の列ができ、会場内は常に人で溢れるほどの盛況を博した。

ジョウンド
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 ジョウンドの始まりは、2006年。サンダース氏が始めたブログ「JJJJound」からスタートした。名前の由来は、発見を意味する“found”の“f”を、サンダース氏のファーストネーム“J”とし、「なんとなく」4つ並べたというもの。キャプションなどのテキストはほぼ排除し、サンダース氏が発見した画像をただ並べるというシンプルなスタイルのムーブボードで、自身が「何をクールだと思うか」を世界へと発信。洗練されたビジュアルと美的センスが熱狂的なファンを生み出し、2010年頃からは本格的にオリジナル製品の製作や展示会へと活動を広げていく。

 創業以来一貫しているミニマルな哲学は、ブランドのプロダクトやコラボアイテムへと反映され続け、一つのブログから始まったジョウンドは今や、世界のファッションシーンに大きな影響を与えている。ステッチやカッティングなど細かなディテールには、サンダース氏の美意識が隅々まで宿る。アパレルだけでなく生活雑貨も多く展開しており、シンプルで洗練されたデザイン性と実用性は、プロダクトを日常へと溶け込ませている。ジョウンドのプロダクトは「何度でも手に取りたい」「時を経ても使い続けていきたい」と世界中のファンを惹きつけているのだ。

 今回はパリでの「ジョウンド × アシックス」新作コラボ発表に合わせて、サンダース氏へのインタビューを敢行。アシックスとのコラボにまつわる話から、彼のデザイン哲学や、ブランドに対する考え方について聞いた。

「シルエットに語らせる」ということ

── サンダースさんはアシックスというブランドに対して、どのような印象を持っていますか?

 アシックスは、自分たちの在り方にとても正直なブランドだと思います。手掛けられているプロダクトは全て、機能性を第一に考えて作られているように感じますね。

── 今回のアシックスとのコラボで、特に注力したポイントを教えてください。

 「シルエットに語らせること」を重視しました。余計なディテールは一切加えていません。シルエットが最大限引き立つよう、ブランドの存在感も控えめにして、全体をワントーンにまとめました。

ジョウンド
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人々が何度でもオーダーしたくなるものを目指して

── 今回のコラボもそうですが、ジョウンドではミニマルなデザインのプロダクトが展開されています。コレクションを展開する上での、フィロソフィーについて教えてください。

 私たちが目指すのは、人々が何度でもオーダーしたくなるものを作ることです。それが根底にある考え方。ミニマルであることはその結果として生まれる、ある種の“副産物”に過ぎません。あらゆるコレクションにおいて、良いところを徹底的に磨き上げ、不自然に感じるものは全て取り除く。その結果として、プロダクトにミニマルさが生まれるのです。

── プロダクトを作るとき、最初に考えることは何ですか?

 まず、そのプロダクトが「本当に存在する必要があるのか」を自問します。答えがイエスなら、できる限りタイムレスなプロダクトになるよう作っていきます。使う人が、そのアイテムと長い時間を共に過ごしていくことができるよう、色や素材を徹底して選び抜きます。色褪せて様になるような、着込むほどに風合いが増すような......そういうふうになるものをセレクトしています。

最高のインスピレーション源はインターネット

── サンダースさんの美的センスには世界中から注目が集まっていますが、ご自身では「センス」をどのように捉えられていますか?

 センスというのは、後天的に学べるものではないと思います。生まれながらにして与えられる、いわば神からの贈り物ではないでしょうか。

── ジョウンドの原点といわれるサンダースさんのブログは、多くの人々のライフスタイルに影響を与えてきました。サンダースさんご自身は、最近ではどのようなものからインスピレーションを得ていますか?

 ジョウンドの始まりがインターネットであるように、インターネットが今でも最高のインスピレーション源です。各種ソーシャルメディア、新しく登場したサブスタックのようなプラットフォームなども、日々チェックしています。インターネット上で見つけたものをスクリーンショットすることは、欠かせない日課ですね。

── 逆に、意識的に避けていることはありますか?

 ないです。私はクリックベイト(ウェブ上での誇張表現など)だって大好物ですよ。

── ジョウンドを始める前から今に至るまでを振り返って、何か大きく変化した部分はありますか?

 確実に言えることは、髪型。髪をすっかり失ってしまいました(笑)。

クラシックなものを愛する気持ち

── ジョウンドは単にプロダクトを作るだけではなく、世界観を提示するブランドだと感じます。サンダースさんにとって、「ブランドを築く」とはどのようなことだとお考えですか?

 ブランドを築くというのは、誰も部屋から去っていかないことを祈りながら、1日に1000回「NO」を言い続けること。ただそれだけです。

── 今後のヴィジョンは何かありますか?

 この先もずっと、「クラシックなものを愛する気持ち」は変わりません。それだけは確実に言えることですね。

ジョウンド

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最終更新日:

パリ在住ジャーナリスト。1995年生まれ。京都大学法学部卒業後、NHK勤務を経てフリーランスに。2024年よりパリへ移住し、ライフスタイルを中心に取材、執筆を行う。

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