横澤琴葉による「コトハヨコザワ(kotohayokozawa)」が、ファッションショー「Nothing Toooo Much」を東京?江東区にあるホテル?イースト21のガーデンプールで行った。ショーは3年ぶりとなるが、オフィシャルでの単独実施は今回が初。横澤が高校生の頃から洋服を作り出して15年。これまで制作したアイテムをミックスした集大成となるショーを見せた。
天候の神の助け
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土砂降りだった午前中から一転、ショーを行なった16時には、太陽の光が差し込み、強い風が心地よく吹いていた。コトハヨコザワは2018年春夏に行った建て替え中のパルコの工事現場でのショーで、台風に見舞われたこともあり、横澤はこの2週間で高円寺にある気象神社に4度も参拝したという。天候の神の助けもあったのか、晴れた空の下での開催が実現した。
4つのラインと学生時代に制作した服
ショーでは、コトハヨコザワの4つのラインが中心に登場。メインラインをはじめ、アイコニックなプリーツシリーズの「トゥードゥー?コトハヨコザワ(todo kotohayokozawa)?」、残布やサンプル、古着をリメイクした1点モノの「サムバディ?コトハヨコザワ(somebody kotohayokozawa)」、「ゾゾタウン(ZOZOTOWN)」と協業したルームウェアを中心にした「シンク?コトハヨコザワ(SINK kotohayokozawa)」。
? また学生時代に制作したアイテムも多数あり、着物風アウターの下に合わせた長襦袢(着物用の肌着)や、顔が描かれたシャツなどが含まれているという。シーズンやライン、モデルのジェンダーの垣根も超えて、小山田孝司がスタイリングを行った。ミニスカやショートパンツ、ヘソ出し、ブーツなどこれまでもコトハヨコザワが提案してきたスタイルではあるが、ロゴ使いなどのストリートの雰囲気、重ね付けしたアクセサリーも合わさって、よりY2K(2000年代)を感じさせる印象だ(BGMも2000年代にヒットした曲を多くを採用していた)。
「コンバース」との初コラボ
また夫の日高俊が手掛けるブランド「ヒダカ(HIDAKA)」のアイテムもコーディネートのアクセントに。ベスト風のボディーバッグやバックパックといったヒダカの小物は、横澤自身に欠かせないアイテムだ。また足元には「コンバース(CONVERSE)」との初のコラボレーションスニーカーがお目見え。アシンメトリーなスエードのベルクロが付いたブルーとホワイトのシューズが登場した(詳しい情報は6月に発表)。他にもリサイクルショップやフリマアプリで調達したというシューズを合わせた。
本日発表した一部商品は、ショー後の17時にブランドの公式オンラインストアで販売を開始した。会場に設置された“エアーダンサー”と呼ばれる空気をはらんだバルーン人形が着用したプリーツトップスも、商品として扱っている。ギミックの効いた仕掛けはデザイナーの横澤自身が楽しんでいるようだ。
15年間の制作活動をささやかに祝福
ショーを行った理由を横澤は「(コロナ禍を経て)久しぶりに人が集まる場所に身を置くと、人々の熱量などリアルで体感できる機会をこの数年間で失っていたと感じた。長い服飾の歴史で、ファッションショーがなくならずに、ずっと続いている理由はその熱量にあるのだと思う」とし、フィジカルでの表現に至ったという。
ショー会場はホテルのプールでありながらも、そばにはファミリーレストランのフォルクス(VOLKS)やサイゼリヤ、スーパーのサミットなど庶民的な店舗が併設されており、独特な雰囲気を醸している。「名古屋市の郊外で育ち、ショッピングモールに家族で買い物に行った記憶と重なる部分があった」と横澤。またプールには萎んだ風船が浮かんでおり、パーティー終わりの雰囲気を感じさせる演出は、「盛大に祝うのは恥ずかしいけれど、祝った後の静かな感じを出したかった」と言い、自身の15年間の制作活動をささやかに祝福した。
「コトハヨコザワ」は独自のペースで着実に成長を続けている。一目見るだけで「コトハヨコザワ」だと分かる独自のスタイルを確立し、独創的でありながらも、日常使いができるクリエイションが多くのファンを抱えている。2020年には「毎日ファッション大賞」で新人賞?資生堂奨励賞を受賞。ビジネス面では「On Tokyo Showroom」と契約し、卸売りも広がりを見せている。次の15年間もどのような進化を見せていくのか、期待が膨らむ。
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