勢喜遊、森洸大
Image by: Koji Hirano(FASHIONSNAP)
2人のアーティストがパリへ
King Gnu(Drums?Sampler)の勢喜遊と、PERIMETRON(色流シ家/アートディレクター/デザイナー)の森洸大が、「ロエベ(LOEWE)」をまとってフランス?パリの街外れを気ままに彷徨う—— ロエベのメンズコレクションを初めて体験する2人の姿をカメラが追った。
勢喜遊と森洸大が佇むのはパリ16区、街の喧騒から離れた場所にある市立公園の一角。1月の肌を刺すような冷たい空気に包まれながら、羽を伸ばすようにして歩きはじめた。
「海外に来るの、だいぶ久しぶりだな」と話す勢喜遊にとって、ヨーロッパを訪れるのは初めて。数日前に現地入りし、パリの街並みを大いに楽しんだという。
「パリは大都市ながらも古い建物が残っていて、一貫したコンセプトのある街だよね。東京とは全然違うから、とても新鮮。新たなインスピレーションを得られたよ」
2人が着用しているのは、ロエベがスタジオジブリの作品「ハウルの動く城」とコラボレーションしたカプセルコレクション。世界中で誰よりも早く、注目のアイテムに袖を通している。
黒いフェザーを施したディテールや、色とりどりのチャームが手付けされたコート、老犬ヒンのブレスレット ポーチ、マルクルのキーチャーム、裏地にソフィーと火の悪魔カルシファーがプリントされたセットアップや「動く城」が刺繍されたシャツ——。ファンタジーの世界観をまとった唯一無二の着こなしで、エッジの効いたヘア&メイクアップがよく似合う。
しばらく歩くと見えてきたのは、白い巨大な箱のような外観と「LOEWE」のロゴ。まるで異世界への入り口のよう。ここが、ロエベ2023年秋冬メンズコレクションの会場。2人は喧騒の中、箱の中へと進んでいった。
アーティスティックな「ロエベ」2023年秋冬メンズコレクション
自然光に満ちた純白の会場。その中央に、アメリカ人アーティスト、ジュリアン?グエン(Julien Nguyen)によるオリジナルのアートワークが2つそびえ立つ。新作コレクションは、ロエベのクリエイティブ ディレクターであるジョナサン?アンダーソン(Jonathan Anderson)と、初期ルネサンス絵画やSFなどを参照して描くジュリアンとの対話から生まれたという。
今シーズンの特徴は、ベルベット、銅鉄、レザー、サテン、ウールといった素材使いと、"瞬間"や"動き"をとらえたシルエット。彫刻家エリー?イルシュ(Elie Hirsch)とコラボレーションした鋼鉄のコート(重さ8kg!)や、絵画に用いられるベラム(皮紙)に着想を得てレザーを石灰で覆いプレスしたトップスなど、まるでアート作品のように斬新なアイデアと手法が散りばめられている。
構築的なウエアは素肌の上に羽織られ、下着やレギンスといったソフトなアイテムは、詩的でセンシュアルなムードを醸し出す。視線を浴びた天使の翼はルネサンス期の絵画を参照したもので、手作業により銅や鉄、羊皮紙で作られた80枚もの羽で構成されているという。モデルが手にしていた新作バッグ「パズルトート」にも注目だ。
ロエベのランウェイをフロントロウで体験した勢喜遊と森洸大の2人。「鉄のコート、スゴかった」「カラコンも使い方であんなにカッケーのか」と、それぞれが感じたことを交わし合った。
「削ぎ落とされた真っ白な空間で、ロエベのスタンスが直に伝わってきた」と話す森。「服の素材感やシルエット、目元の演出、音楽、どれもイカツめで置いていかれる感覚がするほど格好いい。そこに天井のでっかい窓からの自然光が差さって、やすらぎと安心感みたいな空気が漂いつつ、演出とのギャップから不穏さまで生まれていて完全に持っていかれた。こんなに素晴らしいものを間近で体験できるなんて、痺れましたね」
勢喜は「これほどアート的でコンセプチュアルなショーをやりながら、ジブリコラボのようなキャッチーで楽しいクリエイションも届ける。色々なカルチャーをミックスして落とし込むことは、僕らがバンドでやっている表現にも近いね」と話し、そしてショーのサウンドトラックについても触れた。「ロエベの精神が音からも伝わってくるようだった。例えばもし自分がミュージシャンとしてショーの音楽に関わることができれば、自分にとって本当に良い経験になるかもしれない」
ロエベのクリエイティブ ディレクター、ジョナサン?アンダーソンとともに
様々な要素をハイコンテクストに盛り込みながら、シンプルで力強いアウトプットに帰着するのは、まさにジョナサン?アンダーソンの真骨頂。ロエベの色濃い世界観の中で、2人のアーティストそれぞれが持つ個性が刺激的な存在感を放った。
勢喜遊:?コート ?1,234,200、ジャケット ?375,100、テーラードパンツ ?123,200、ブレスレット ポーチ ?228,800、サングラス ?46,200、サングラス ストラップ ?19,800 (参考商品)、ドーナツ リンク ネックレス ?493,900 / アナグラム ネックレス ?145,200 ブーツ ?133,100 / ロエベ ジャパン クライアントサービス
森洸大:?コート ?702,900、シャツ ?309,100、Tシャツ ?55,000、パンツ ?117,700、ベルト ?61,600、キーチャーム ?72,600、ドーナツ リンク ブレスレット ?272,800、ドーナツ リンク リング ?83,600、シューズ ?92,400 / ロエベ ジャパン クライアントサービス (その他ジュエリーは私物)
勢喜遊?| SEKI YU
King Gnu / millennium parade (Drums)
1992年生まれ徳島県阿南市出身。幼少の頃より音楽に囲まれた生活を送り、10歳からストリートダンスの道を志すも、次第にミュージシャンに憧れ19歳の時に単身上京。様々なセッションに参加する中で新井和輝、常田大希、井口理と出会い、前身バンドSrv.Vinciとして活動を開始。2017年4月のKing Gnu始動以降も様々なアーティストのLIVEやレコーディングに参加し活動の幅を広げている。
森洸大?| COTA MORI
DWS / PERIMETRON / millennium parade
色流シ家 / アートディレクター / デザイナー
兵庫県家系の1990年生まれ。LA, California / 神奈川県藤沢市育ち。<極彩色シ家集団>DWS主宰、クリエイティブレーベルPERIMETRON所属。millennium paradeアートディレクター / アジテーター。LAで過ごした幼少期の誇りと、所謂日本文化に触れられなかったコンプレックスを糧に独自の和洋折衷スタイルをテーマとし、色流シによる新たな伝統表現、マスクや造形などの立体表現、デジタルグラフィックによる平面表現など、さまざまな分野で物作りを行い続けている。
photo: Koji Hirano
hair:?Chiao Chenet
make up:?Miki Matsunaga / Marie-Line Laguerre
styling:?Shohei Kashima (W.inc) *勢喜遊
text: Ko Ueoka
composition & edit: Chiemi Kominato (FASHIONSNAP)
coordination: Kumi Okamoto
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