IMAGE by: Mame Kurogouchi
黒河内真衣子が手掛ける「マメ クロゴウチ（Mame Kurogouchi）」が2月27日、2024年秋冬コレクションをパリで発表した。会場は先シーズンに引き続き、パリ3区にあるレストラン?複合施設「オガタ?パリ」。
佐賀県を巡り出会った「古唐津」を着想源に
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Imaged by Mame Kurogouchi
先シーズンに続き、テーマは「Fragments」。佐賀県を旅する中で、16世紀後半に開花したとされる「古唐津（こからつ＝約70年間にわたって生産された唐津焼）」と、残された数多の陶片からインスピレーションを得たコレクション。ファーストルックは、朝鮮唐津から着想を得たデニムとニットのコーディネート。朝鮮唐津特有の神秘的な釉薬の混ざり合いを、カジュアルなピースで表現した。?
唐津の土本来の自然な褐色「グレー」がキーカラー
Image by Mame Kurogouchi
Image by Mame Kurogouchi
Image by Mame Kurogouchi
メインのカラーパレットはグレー。焼き物の釉薬がかかっていない部分をイメージした灰褐色から、赤みのあるウォームグレー、ベージュへと移行していく。さらに、窯の炎を想起させる、温かみのあるオレンジやテラコッタカラーが登場し、それらが往還しながらショーが進んでいく。
焼き物が持つ、穏やかで素朴な美の表情を多彩なファブリックに
Image by Mame Kurogouchi
今回も目を引いたのは、焼き物を着想源とした多彩なファブリック。シンプルかつおおらかな絵唐津は、大胆なボタニカルモチーフのコード刺しゅうで表現。斑唐津は、むら染めによるアルパカウールのコートとなり、三島唐津の花紋や線彫りの柄は、ジャカードやニットに。光沢感のあるシルクウールのドレスやシャツは、生地に餅米を塗り、乾燥させることで生じるひび割れに染色を繰り返したというテキスタイルを採用。陶器の肌目に入った細かな貫入（かんにゅう＝焼成後の冷却時に生じた釉のひび模様）を再現した。
現代美術家 毛利悠子による環境音をサンプリングした音楽
音楽は、現代美術家 毛利悠子が担当。釜焚きの音や陶器がぶつかる音など、コレクションを制作する過程で黒河内が録りためた環境音を共有し、それをプログラミングしたもの。ピアノ、物音、フィールドレコーディングによって構成された静かな効果音が、ショーにさらに奥行きをもたせる。耳からも、唐津の情景が浮かんでくるようだ。
Video by FASHIONSNAP
繊細なファブリックを際立たせるミニマムなシルエット
繊細で美しい職人技をふんだんに取り入れ、古唐津が持つテクスチャーを衣服に落とし込んだ今回のコレクション。シルエットは、ファブリックを活かす極力シンプルなものが目立った。デザイナーの黒河内は「染色や素材本来の素晴らしさを引き立てるため、パターンに関しては自分の中で削ぎ落として、生地に体が入ったことで、美しく見えるということを考えたシーズンだった」と語った。
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