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歴史的な背景を持つ、ヴィンテージ古着。製造された年代が古いものや希少性が高いものが一般的に珍重されていますが、ヴィンテージの楽しみ方はそれだけではありません。この連載では、さまざまな視点でヴィンテージ古着の楽しみ方が味わえるアイテムを、国内最大規模のヴィンテージの祭典を主催するVCM代表 十倍直昭が「令和のマストバイヴィンテージ」として毎週金曜日に紹介。第67回は「リーバイス(Levi’s?)」501 66 前期編。
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2008年よりヴィンテージショップを運営。その後2021年には、ヴィンテージ総合プラットフォーム VCM(@vcm_vintagecollectionmall)を立ち上げ、来場者を1万人以上を動員する、日本最大級のヴィンテージの祭典「VCM VINTAGE MARKET」を主催している。
また渋谷パルコにて、マーケット型ショップの「VCM MARKET BOOTH」、エルメスジュエリーを専門に取り扱う予約制ショップ「VCM COLLECTION STORE」、イベントスペース「VCM GALLERY」を運営。
2023年10月には初の書籍「Vintage Collectables by VCM」を刊行するなど、ヴィンテージを軸とした様々な分野で活動し、全国のヴィンテージショップとファンを繋げる場の提供や情報発信を行っている。
今回は特別編。当連載のスピンアウト企画として先週公開したポッドキャストで紹介したアイテムを、記事でも紹介します。ポッドキャストとあわせて、耳でも目でも、ヴィンテージを楽しんでみてください!
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「初めてのヴィンテージデニム」にオススメしたい逸品
よくいただくのが、「ヴィンテージデニムに興味があるんですが、最初に何を買ったらいいですか?」という質問。僕はどんな年代?ブランドのヴィンテージデニムもそれぞれ違った魅力があるので好きなんですが、「初めてのヴィンテージデニム」としてひとつだけオススメするとしたら、迷わずこの「501 66 前期」を挙げます。

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この「66 前期」というのは正式な商品名ではなく、日本のヴィンテージカルチャーの中で生まれた通称です。リーバイスは1853年に創業し、1873年にジーンズの原型となるリベットを使ったワークパンツの特許を取得します。リーバイスと言えば、キング?オブ?デニムと呼ばれる「501XX」がその象徴として知られていますが、この「XX(ダブルエックス)」という呼称は1890年代から最上級ラインの商品に用いられるようになりました。リーバイス社がそのXXという呼称を廃止したのが、1966年のこと。また、その少し後にロゴを大文字の「LEVI'S」から小文字の「Levi's」に変更しました。その後、1973年頃から76年頃にかけて製造されたジーンズが「66 前期」です。「66(ロクロク)」という通称は1966年に製造されたことを表すのではなく、1970年代前半に生産されたモデルのことを指します。これは、この頃使用されていたフラッシャー(紙製のラベル)に「?1966」という記載があったことに由来しています。










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僕が66 前期を「初めてのヴィンテージデニム」としてオススメする理由のひとつが、価格です。昨今はヴィンテージアイテムの相場がどんどん高騰しており、特に501XXのような「トップ?オブ?トップ」の価格はうなぎのぼり。しかし66 前期は、需要が多いサイズでも10万円台からでも買えることがあります。もちろん安い買い物ではありませんが、まだ現実的に手が届く価格ではないでしょうか。
そして、66 前期は現実的な価格ながら、ヴィンテージデニムの醍醐味である「縦落ち」(縦にすじが入るように色落ちすること)を存分に楽しめるというのもポイント。66 後期の頃になると生地や染料が変わるので、縦落ちがしづらくなってしまうのです。過渡期による少数の例外はありますが、バックポケット裏のステッチが、66 前期はシングルステッチ、66 後期はチェーンステッチであることも、見分け方のひとつです。インディゴの色が深いXXと比べて、66 前期は爽やかなカラーリングが特徴。僕は、春夏に66 前期をよく着用しています。

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ダメージのある個体がオススメ、なぜ?
66 前期だけに限ったことではありませんが、ダメージのある個体を探すこともヴィンテージの楽しみ方のひとつです。ダメージとは、作業しているときに付いたペンキやオイル、長年着用し続けたことによってできるスレや破れ、そしてそれらをリペアした跡などのことです。一般的にヴィンテージではダメージがないアイテムが珍重されるのになぜ?と思うかもしれませんが、僕はこういったダメージこそがヴィンテージデニムの魅力だと考えているんです。近年は多くのラグジュアリーブランドが加工でこうしたダメージをわざと加えていますが、やはり実際に着用したことで生まれたダメージや、それに対して所有者が施したリペアは唯一無二の勲章。それを古着として着用するのは、アートピースを所有することと同義だと言えるでしょう。

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また、ダメージ箇所を自分でリペアをすれば、自分だけのヴィンテージになります。ダメージのある個体は価格も手頃なので、初心者も手を出しやすいはず。これまでの常識に囚われないヴィンテージの楽しみ方を見つけてください。
編集:山田耕史 語り:十倍直昭
最終更新日:
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