
NewJeans
Image by: ? 2022 ADOR. All Rights Reserved.
2022年は一言で語ることができないほど激動の1年であったが、そんな2022年にデビューし、いま世の中で最も注目を集めているのがK-POPガールズグループのNewJeans(ニュージーンズ)である。平均年齢16歳というフレッシュなガールズグループの姿に、Bunnies(バニーズ:NewJeansのファンの呼び名)を始め、老若男女を問わない世界中の人々が夢中となっている。軽やかだがどこかアンニュイな雰囲気を感じさせるグループのパーソナリティ、そしてファッションから彼女たちが次時代のネクストアイコンとして輝きつつある理由を探る。?
(文:原ちけい)
目次
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NewJeansの軌道と立役者
NewJeansは、MINJI(ミンシ?)、HANNI(ハニ)、DANIELLE(タ?ニエル)、HAERIN(ヘリン)、HYEIN(へイン)によって結成された5人組のク?ルーフ?て?ある。2022年の7月にお披露目されたこのク?ルーフ?は、大手エンターテイメント会社のクリエイティフ?テ?ィレクターて?あったミン?ヒシ?ン(Min Hee-Jin)か?全体的にフ?ロテ?ュースすることて?話題を集め、テ?ヒ?ュー前より「ミン?ヒシ?ン?カ?ールス?ク?ルーフ?」と呼は?れるほと?大きな期待か?注か?れていた。














ミンジ(MINJI)
Image by: ? 2023 ADOR. All Rights Reserved.
現在はNewJeansか?所属しているADOR(HYBEの新レーヘ?ル)の代表取締役を務めているミン?ヒシ?ンは、K-POPグループのウ?ィシ?ュアル/アートテ?ィレクションを含めた多岐にわたる仕事をこなし、革新的なテ?ィレクション像を絶えす?生み出してきたヒットメーカーて?ある。
彼女の仕事は戦略的かつ緻密な"コンセフ?ト"を打ち出すところから、スタイリンク?やウ?ィシ?ュアルメイキンク?を作っていく方法を取っており、それまて?のK-POP業界にはなかった、全く新しいウ?ィシ?ョンを絶えす?示してきた。K-POPを話題にすると必す?名前か?挙か?るコアク?ルーフ?達を導いてきた彼女は、いわは?業界のテ?ファクトスタンタ?ート?て?あるとも言えよう。
NewJeans結成にあたって、
時代やトレンドを問わず老若男女みんなに愛されてきた"ジーンズ"というアイテムのように日常に密接し、時代のNew Genes(新しい遺伝子)”になるように
という願いがグループ名に託された。
2022年7月から8月にかけて公開された楽曲「Attention」「Hype boy」「Hurt」「Cookie」か?収録された1stミニアルハ?ム「New Jeans」は、透き通った歌声とク?ルーウ?ィーな駆け引き、可愛らしい歌詞、そしてアッフ?ヒ?ートなメロテ?ィて?人々を虜にした。そして、真似したくなるアイコニックなタ?ンスや彼女たちのあと?けないキュートな姿も話題を集め、公開初日から世界中のテ?イリーチャートにランクインする注目ふ?りである。
その後公開された「Ditto」は、物語の中て?の視点や時系列か?変化するように、Side A/Bの2つのMVか?同時に発表された。レトロなヒ?テ?オカメラて?撮られた荒い画質の映像と現在の映像には複数の視点か?入り混し?っている。最新の楽曲「OMG」て?は、R&Bを基調とした明るいトラッフ?とスヒ?ート?感のある軽快なテンホ?とは裏腹に、メタ的(高次元的)な解釈の余地か?MVによって提示されている。
ミン?ヒシ?ンは写真や動画なと?のイメーシ?を介したコンセフ?ト戦略を得意とし、公式のTikTokやYoutube、instagram、webサイトには連日新たな動画や写真、MVコンテンツか?ト?ロッフ?され続けている。メンハ?ーた?けて?なく、映像の端に写っている人物やモノのハ?ーソナリティにまて?触れることて?、全体の世界像か?より深まっていく。

NewJeans 公式ホームページより
NewJeansのハ?ーソナリティとは?
NewJeansの魅力はなんと言っても自然体て?あと?けない可愛さとキラキラと輝いてるまっすく?な姿にあり、見た人に学生の頃の素直て?淡いノスタルシ?ーを引き込む。ここて?浮かひ?上か?るアイト?ル像は、強さや美しさを誇示するのて?はなく、むしろ等身大の自身の姿を表出させ、多様な人々の在り方を肯定する姿勢て?ある。それは自助や慈愛とも言い換えられる「セルフケア」を1人て?なく、コミュニティとともに作り上け?共有していくインクルーシ?ョンて?あるとも言える。このようなコミュニティを形成しようとする価値観には、先行する様々なアイト?ルの存在か?大きい。
NewJeansのアイト?ル性に深く影響を与えているとして考えられているアイト?ルは、1990年代後半から2000年初期まて?活躍したK-POPカ?ールス?ク?ルーフ?「S.E.S.」や「fin.KL」て?ある。K-POPの第1世代としてシーンの基礎を作り出した彼女達もまた、彗星の如くテ?ヒ?ューし、数々の楽曲を残していった。
歌手のイ?ムシ?ンか?MCを務めるYoutubeコンテンツ「リムシ?ンサーヒ?ス-??????」にメンハ?ーのHANNIか?登場した際、テ?ヒ?ュー前のホ?ーカルレッスンにS.E.S.の「Just A Feeling」を用いていたと語り、歌声まて?披露している。
? S.E.S.やfin.KLの後のカ?ールス?ク?ルーフ?て?は、第2世代に当たる2NE1やSISTARか?、女性をも魅了する高らかて?美しい女性像として「カ?ールクラッシュ」というコンセフ?トを自己言及的に打ち出し、男性的なマッチョさのアンチテーセ?として、セクシーさによる確固たる女性像の確立を目指した。またその後の第3世代に当たるBLACKPINKやMAMAMOOは、カ?ールクラッシュに自然体な自信を反映し、セルフラフ?の価値観を大切にしているように思う。その点て?NewJeansは個性的や絶対的て?あることより、もっと素直な姿て?見せ合うことの楽しさを、オーテ?ィエンスに教えてくれる印象て?ある。それは美しさか?本当に絶対的な価値なのかという前提に揺らき?を与える。同世代の第4世代と比較しても、彼女たちは個性よりもク?ルーフ?としてのまとまりを大切にし、ハ?ーソナルな物語を描く点も突出していると言えるた?ろう。

公式インスタグラムの投稿より
Image by: ? 2022 ADOR. All Rights Reserved.

公式インスタグラムの投稿より
Image by: ? 2022 ADOR. All Rights Reserved.
また、ハ?ーソナリティを読み解く上て?忘れてはいけないのは、日本のアイト?ルも参照されていることて?ある。1990年から2000年代にかけてSPEED、SUPER MONKEY'S、Folderなと?のカリスマ的なティーンク?ルーフ?を数多く輩出し、一時代の芸能を築き上け?た「沖縄アクタース?スクール」は、若さというフレッシュさやク?ルーフ?の姿勢た?けて?なく、ストリートタ?ンスの文脈からもその精神か?受け継か?れている。また、ハロー!フ?ロシ?ェクトのミニモニ。や浜崎あゆみも、MVやスタイリンク?の中て?彼女達の姿か?重ねあわせられている。
スタイリンク?通したハ?ーソナリティと新しいトレント?の息吹
そうしてNewJeansか?描くウ?ィシ?ョンは、彼女たちか?身にしているアウトフィットからも見て取れる。特徴的なのは、1980年代後半?2000年代初頭にかけて流行した青文字系や裏原系のカルチャーか?盛んに引用され、当時の渋谷や原宿のストリートシーンか?生んた?トレント?を「Y2Kリバイバル」として確立している点にある。NewJeansは特に「STREET」「CUTiE」「FRUiTS」なと?のファッションマカ?シ?ンて?見られる、コーテ?ィネートの面白さを感し?させる。

2001年の雑誌「FRUiTS」に掲載されたストリートスナップ
Image by: FRUiTS magazine
「ウ?ィウ?ィアン?ウエストウット?(Vivienne Westwood)」のオーフ?ロコ?や「ア ヘ?イシンク? エイフ??(A BATHING APE?)」の猿モチーフ、「ヒステリックク?ラマー(HYSTERIC GLAMOUR)」のテ?ニム、「アンタ?ーカハ?ー(UNDERCOVER)」のク?ローフ?、元「ナンハ?ーナイン(NUMBER (N)INE)」の宮下貴裕による「タカヒロミヤシタサ?ソロイスト.(TAKAHIROMIYASHITATheSoloist.)」のスタシ?ャンなと?か?その一例て?ある。ロコ?やアイコニックなアイテムをメンハ?ーか?お揃いて?身にまとい、ユニフォームのように着こなすアイテ?ンティティには、ストレートにスタイリンク?の面白さを感し?させる。








「Attention」活動時のスタイリング
Image by: ? 2022 ADOR. All Rights Reserved.
ただ、そうしたY2K的なスタイルもそれだけの枠に収まるものではない。ヴィヴィッドな色使い、またはサスティナブルなアイテムと掛け合わされることで、Z世代らしい"フレッピーかつAesthetic"な装いを提示している点も魅力的だ。フレッピースタイルとは、日本では1960年代に流行したアイビールックを元に、後のアメリカの名門私学生たちがカッチリした制服やアウターを着崩したスタイル。渋カジの源流であるとも言われている、マキシ丈に加工された「シュプリーム(Supreme)」のワークジャケットやタータンチェックのスカートに合わされた「ラルフ ローレン(Ralph Lauren)」など、こなれた印象を与えている。
また、「OMG」のMVて?のメンハ?ー全員か?着用しているハ?ニースタイルは一度見たら忘れられないインハ?クトを放ち、彼女たちの現在のシンホ?リスティックな姿となっている。ロント?ンを拠点に活動する「Chet Lo」のホ?ッフ?コーンニットを用いたハ?ニーハ?ック?と、ハ?ルセロナを拠点とするW.I.Aのハ?ニーハットか?使用されたスタイリンク?には誰しもが目を引くだろう。このスタイルはNewJeansのアイコンて?もあるウサキ?モチーフを基調としなか?ら、原宿系ファッションのぬいく?るみリュックや、前出したfin.KLの代表曲「To My Boyfriend」のMVて?メンハ?ー全員か?それそ?れハ?ック?スタイルのオマーシ?ュも感し?させる。








公式インスタグラムの投稿より
Image by: ? 2023 ADOR. All Rights Reserved.
現在のファッションのトレント?を日々生んて?いるTikTokやDepopなと?のSNSて?ここ数年流行している「Aesthetic」というおしゃれさを表す形容詞や「#Twilight core」、篠原ともえをはし?めとするテ?コラスタイルに通す?る「#Kidcore」のようなウ?ィンテーシ?スタイルやリバイバルムート?も上手く取り込んて?いることから、今後もまたスタイルか?変化していくことか?期待される。











Image by: ? 2022 ADOR. All Rights Reserved.
また、NewJeansの専属スタイリストか?いるという事実にも注目したい。フ?ロテ?ューサーとスタイリストか?協調してアイト?ルコンセフ?トを生んて?いくクリエイションは、例えるなら2010年代のトヒ?ックて?もあった「ウ?ェトモン(VETEMENTS)」と「ハ?レンシアカ?(BALENCIAGA)」のクリエイティフ?テ?ィレクターて?あるテ?ムナ?ウ?ァサ?リア(Demna Gvasalia)とスタイリストのロッタ?ウ?ォルコウ?ァ(Lotta Volkova)か?生んて?きたクリエイティフ?ハ?ートナーとしての信頼関係に近いものか?ある。ここまて?徹底してマネシ?メントされたミン?ヒシ?ンのコンセフ?トメイキンク?には驚愕するは?かりて?ある。
なせ?NewJeansか?若者に刺さっているのか
興味深いことにNewJeansは、韓国国内のファンタ?ムからの支持か?他と比へ?て段違いに厚いというテ?ータもある。NewJeansのファンタ?ムの中核を担うZ世代と呼は?れる若者たちは、日々直面しなけれは?ならない現実と嘘に翻弄され、規定された価値観のままでは生きることすら立ち行かない状況の中て?生活している。特にハ?ンテ?ミック以降の経済不安なと?、メンタルや自我そのものに過度な負担か?かかっている。そうした状況を同し?目線から見据えるNewJeansには、実直なリアリティと憧れの対象として素直に捉えたいと思える魅力か?溢れている。それはZ世代た?けて?なく、ミレニアム世代にとっても、リバイバル的な懐かしさと、ありえたかもしれない未来を提示してくれるという点て?他人事とは思えないた?ろう。
NewJeansの描き出すヴィジョンには、アイドルとしての強さは美しさだけではない、コミュニティや自己を大切にする等身大の意識が育まれている。彼女たちのスタイルにおいてもあどけない少女らしさだけでなく、Y2Kではあるがリバイバルな要素だけでない、スタイリングを通した現代的な魅力も感じさせる。ファッションやMVにも観られるレトロさには、デジタルならではの手触りと心地よさにつながる安心感が備わっている印象がある。こうした魅力が幅広い世代を惹きつけ、世代を超えた繋がりを生んでいることに一つの大きな希望が見出せる。そのような、MZ世代が共感する価値観が提示される彼女たちのパーソナリティには、ミン?ヒジンのプロデュースが大きく関わっている。グループ名に込められた"新しさ"を彼女たちがどのように見せてくれるのか、今後も注目である。

「Hype Boy」活動時のスタイリング
Image by: ? 2022 ADOR. All Rights Reserved.
1998年生まれ。写真、ファッション、アートを中心に、幅広い分野でのリサーチや執筆、展示企画等を行う。主に携わった展示企画に「遊歩する分人」(MA2 Gallery,東京,2022)、「風の目たち」(obscura,ジョージア、2022)、「小森紀綱 不在の聖母」(KITTE丸の内,東京,2021)などがある。これまでの寄稿媒体は、POPEYE、IMA、apartmentなど。
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