「ナイキ(NIKE)」の米国本社で開催された女性向けのプレスツアーから製品開発の裏側に迫る本特集。後編では注目の新作を紹介するほか、女性ならではの特有の悩みを持つすべての人に向けたナイキのメッセージをお届け。自信を持てずにいる女性は必見です。
>> 前編「投資額は2倍に いま強化する理由を追う」を読む
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目次
2023年新作の紹介
プレスツアーでは今年行われる女子フットボールの世界大会に関連したユニフォームやコレクションに加えて、女性のアクティブシーンを支えるプロダクトを先行公開。ナイキが独自に開発した画期的な技術を取り入れた3つの新作を一部紹介します。
LEAK PROTECTION PERIOD – 水分の“漏れ”を防止
近年、吸水ショーツがさまざまなライフスタイルブランドから登場していますが、ナイキからも展開が始まります。
生理等の水分の漏れに関するプロダクトの開発に着手したのは2019年から。開発する上で大切にしたのは「アスリートの気持ち」だと、シニアアパレルイノベーションプロジェクトマネージャーのLisa Gibsonさんは話します。
ナイキによると、女性は男性よりも、14歳までにスポーツを諦める人数が2倍もいるのだそう。その背景には身体の変化があります。特に生理はその日によって体調にも大きく影響するもので、スポーツをやめる大きな理由の一つになっています。車いす陸上競技選手のタチアナ?マクファデン(Tatyana McFadden)さんも「生理の時は恥ずかしかったし、トイレも簡単に使えなかった」と当時を振り返ります。また、同社の調査によれば、女性サッカー選手が試合前半の45分間のうち9分間も「漏れが気になる」という結果も出ています。
今回発表したリーク プロテクション 「ピリオド」は「『気持ちの?』においてスポーツや運動の妨げになることを防ぐ」ために、ボディエモーションを高めるような着心地を重視。「ナイキ ワン ショーツ」と同様のシルエットで、かさばらないようタンポンやナプキン、?経カップと併?して使用することを想定し、水分の漏れを防ぐ超薄型ライナーを採用しています。20種の素材を試し、何十時間ものテストを重ね、最高のプロダクトを追求したそう。シルエットからも「パンツの線が見える」という課題も解消しています。
?分を吸収して留める2層のラミネート ガセット(まち)と漏れ防?のバリアとなる膜を組み合わせている。
Image by: FASHIONSNAP
なお、リーク プロテクション ピリオドは今年のフットボールの世界大会でもナイキがサプライヤーを務める国の選手が着用を予定。カラーは代表チームのユニフォームカラーに合わせて展開され、中にはホワイトもあるそうです。まさに漏れが気になりそうですが、Gibsonさんは「安心してプレーしてもらうためにテクノロジーができたから自信を持って提供できる」と太鼓判を押します。
Flyknit BRA 2.0 - 年齢?体型を問わず「すべての女性」へ
スポーツブラでさまざまな選択肢を用意しているナイキでは今回、過去最多となるXS?4XLの30サイズ(※日本では2XLまでの展開)を揃えた「フライニット ブラ 2.0」が発表されました。75万人の女性の体型を計測し、「女性とは?」を再考しながら新作を開発。編み方の調整ができるというフライニットの特性を活かし、すべての年代?体型の女性の身体の曲線にあわせて3Dのデジタルツールを使ってデザインしています。縫い目の食い込みもカバーし、着用時の違和感を軽減。簡単に着脱できる仕様は、エイジレスで着られるポイントの一つです。
Image by: FASHIONSNAP
アジア人は胸を寄せて上げることに抵抗を感じる人が多い傾向にありますが、ナイキ スポーツ研究所(Nike Sports Research Lab)でウィメンズリサーチディレクターを務めるBridget Munro博士は「フライニットは体と一緒に動くので、運動時に胸が揺れて強調されるようなことはないですし、きつい着用感が好きな人にも薦められる」と自信を示します。
サステナブルな素材を使っている点でも「まさにフライニットでしか作れない柔軟性に富んだプロダクト」だと評価するMunro博士。「すべての年代、すべてのライフステージの段階に対応できるようになっている。みんなに毎日スポーツを楽しんでほしい」(同博士)。
NIKE MOTIVA - 「走ることを続ける自信がない」人向けの新モデル
新モデル「ナイキ モティバ(MOVIVA)」は、「走りたいけど続けられるかわからない」「自分はランナーとは思わない」という、ランニングへの苦手意識のあるエントリー層のモチベーションが高まるように、ウォーキングやジョギングも気楽に楽しめるシューズとして開発されました。
印象付けるのは、ロッキング チェアのような形状のデザイン。これまでナイキでは数々の厚底のクッショニング機能を搭載したさまざまなランニングシューズを開発していますが、今回のモティバでは1000人以上のデータを集め、ペースが遅い時にかかとから着地する人が多いことに着目しています。「止まる?動き出す?スローダウンする」というペース変化のパターンは疲れから生まれるもので、それが「身体の不快感やフラストレーションにもつながっている」と捉え、この形状を採用することで一歩を踏み出しやすくし、「運動を続けたくなるシューズ」に仕上げたそう。
Video by FASHIONSNAP
ソール全体には足が着地する時の衝撃を和らげる「クシュロン 3.0 フォーム」を採用し、アウトソールには必要な時に適切な部分が圧縮することで、よりソフトな履き心地を生み出す「コンフォート グルーブ」という凹凸を配置。収縮から反発することで生まれるエネルギーリターンによって疲労軽減も期待できるとのこと。
商品化までには3?4年をかけたという同製品。ナイキ スポーツ研究所 主席研究員のEmily Farina博士は「すべての女性が最高の体験ができる靴」と表現しています。
「毎日完璧でなくてもいい」すべての女性に伝えたいこと
設備からプロダクトまで、女性を全面的にサポートするというナイキの姿勢を感じた今回のプレスツアーでしたが、さまざまなアスリートやインストラクターが登壇し、実体験に基づきトークが繰り広げられたパネルディスカッションから出てきた言葉もとても印象的でした。今回はサイクリングインストラクターのトゥンデ?オイェネイン(Tunde Oyeneyin)と、The Center for Healing and Justice Through SportのファウンダーであるMegan Bartlettのセッションから、すべての女性を勇気付ける「失敗と挑戦」に関するエピソードをお届けします。
トゥンデは、今でこそフィットネス界を代表する一人として活躍していますが、「子どもの頃にいろんなスポーツにトライしたがうまくできなかった」そう。それでも「スポーツはどの時代でも時間と練習が必要。すぐに成功するわけじゃない。だからこそ、そこで忍耐力や頑張る心を教えてもらった」と振り返り、それが現在の原動力になっていると語ります。
スポーツには失敗はつきもの。失敗とは何かと問われると、トゥンデは「自分が期待した結果を諦めること」と回答し、「できなかったとしても、目標を強く意識し、なぜ自分がここにいるのかを考える事によって、その意味をわかることになる」と失敗から得る学びについても説明してくれました。
失敗は恐怖にもつながりかねない。挑戦への不安をどう乗り越えるべきか。さまざまな“恐怖”を乗り越えてきたトゥンデは、「次に何が起こるかわからない、ということは、可能性に満ちているということ」と前置きしながら、「いろいろな人にストーリーを伝え合うこと。栄光だけじゃなくて、大変なことを伝えることも大事だし、それをすることで失敗を恐れるようにはならないと思う」とエールを送りました。
最後には「必ずしも毎日完璧じゃなくてもいいんです。4時半に起きようとしても、少し寝坊してしまったり。とりあえずやろう、続けようと思うことが大事。動かせる身体は与えられたもの。身体を動かすことは人生を感謝すること」と話し、ディスカッションを締めくくりました。
プレスツアーに参加した記者Iも、運動はなにかと理由をつけて休んでしまいがち。1度休んでしまうと、2度、3度......と続き、「続けられなかった自分はダメな人間なんだ」と度々落ち込みます。第一線で活躍するアスリートから「毎日完璧でなくてもいい」と背中を押してもらえると、明日からまた頑張ってみようかな、と前向きな気持ちになれました。また、「不安を感じるのは、可能性に満ちていることでもある」という捉え方がとても新鮮で、スポーツ以外のシーンでもこの言葉は強い味方になりそうだと感じました。
“ナイキのファン”長谷川ミラさんが現地で感じたこと
日本からプレスツアーに参加した長谷川ミラさんはもともとナイキの大ファン。最後に、プレスツアーの感想をお聞きしました。
―プレスツアーはいかがでしたか?
全体を通してナイキの“FOR HER”に対する想いや商品開発、スポーツブランドとしてのプライドを感じました。
―プレスツアーで紹介された新作の中でも特に印象に残った製品は?
やはり「ナイキ モティバ」ですね。ランニングは元々苦手だったのですが、履かせていただいた時のフィット感と守られている感覚がとても心地よく、改めて走りたい!という思いにしていただきました。
―ナイキへの印象に変化はありましたか?
もともと、様々な想いやストーリーに共感してナイキを普段から愛用してましたが、サステナビリティやアスリート、ユーザーファーストの考えに大変感動しました。引き続き、様々な面でスポーツ業界でなく世の中を引っ張っていってくれる企業として、応援させていただきたいと思います!
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