FASHIONSNAPによる業界の職業図鑑。ファッション業界にはどんな職業があるのか? 名前は聞いたことあるけど実際どんな仕事をしているのか? という疑問を解消すべく立ち上がった連載企画です。業界の最前線で活躍する人を招き、リアルな職務内容や必要なスキルなどをファイリングしていきます。
第5弾はパタンナー編。「マメ クロゴウチ(Mame Kurogouchi)」といったパリコレブランドなどのパターン制作を手掛ける高尾智裕氏の協力を得て、この職業の魅力を探ります。
目次
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パタンナーってどんな仕事?
パタンナーは、主にデザイナーが描いたデザイン画をもとに洋服の設計図とも言える型紙「パターン」を作る仕事。「トワル」と呼ばれる仮縫いサンプルの作成や、仕上がったマスターサンプルの最終チェックも担います。パタンナーのほかに「モデリスト」と呼ばれる場合もあります。
デザイナーがパターンを引くブランドもありますが、型数が増えてくると負担が大きくなるのでパタンナーに依頼することが主流。大きなブランドだと社員としてパタンナーを雇っているところもありますね。私も独立前はイッセイ ミヤケとエイ?ネットの社員パタンナーとして働いていました。
サンプルが上がってきた時に「見え方や仕様に問題はないか」とチェックするのもパタンナーの仕事です。服の設計図を書く仕事なので、誰よりもその服について理解していなければなりません。
パタンナーになるには?
服飾系専門学校のパタンナーコースなどに進学して服作りに必要な知識を習得し、企業パタンナーとしてファッションブランドやパターン制作会社に就職することが一般的です。またキャリアを積んだ後に独立する人、業務委託パタンナーとして企業に所属せずに活動するフリーランスパタンナーもいます。
ファッションデザイナーはセンスがあれば違った領域からでも挑戦することができますが、パタンナーは積み重ねた知識と技術がないと務まりません。また、企業パタンナーの新卒採用は1、2人しか枠がないこともあり、なかなか狭き門ですね。
必要な資格や勉強しておいた方が良いこと
パタンナーになるために必要不可欠な資格は特にありません。ただ技術力やファッションに関する豊富な知識も必要とされる職業なので「洋裁技術検定」「パターンメーキング技術検定」「CAD利用技術者試験」などの資格を取得することで就職?実務の両面で役立ちます。
マストで必要な資格はありませんが、特に日本ファッション教育振興協会が主催する「洋裁技術検定」の勉強をすると服作り全般の知識も身につくのでオススメです。
パタンナーのある1日のスケジュール?高尾氏の場合?
やりがいは?
裏方の仕事でありながらも、携わった洋服が良い評価を受けたり、着ている人を見かけたりすると努力が報われます。また一緒に働くブランドにパターンを通して新たな提案をし、チームワークと信頼を築いていくこともやりがいです。
頭の中のイメージを現実のものとして形作るのが好きなので、これまでなかったような新しいパターンを生み出せることが楽しいです。また、自分がパターンを引いた服がファッションショーの重要な場面で使用されるとモチベーションに繋がります。
デザイナーとトワルチェックを行う際に、修正のピンが打たれなかった場合は先方の希望通りのパターンを提案できたという達成感があります。
大変だなと感じる時は?
スケジュールにそってパターンを提案するため、限られた時間で求められた型数のパターンを制作しなければなりません。納期の直前だと徹夜して仕上げなければいけない場合もあります。
手を抜くとすぐに分かってしまうので、最初から最後まで常に気を張っていないといけない仕事ですね。また地道な作業が多く、根気強くコツコツと取り組むことが大事になります。
パタンナーの収入はいくら?
個人差はありますが、企業パタンナーの場合はキャリア10年目で年収500?600万円ほどが相場です。独立すると1型の単価での価格設定になるので、どれだけの型数をこなせるかによって収入は変わってきます。
独立すると企業パタンナーの収入の倍くらいの売上は得られますが、経費を差し引いて手元に入る額だけで考えるとそこまで大きな差はないように感じます。もちろん休みを削ればもっと稼ぐことはできますが、そのあたりのバランスは調整が必要ですね。
パタンナーからの発展性、転職などは?
パタンナーで培った服作りのスキルや知識を活かし、デザイナーとして自分のブランドを立ち上げる人もいます。また、デジタルでファッションを提案する機会も増えており、ゲームやアバター、VR(バーチャルリアリティ)の服の制作に携わることも可能です。
服作りを理解している人が多いので、パタンナーからデザイナーになる人は多い印象ですね。
パタンナーに向いている人や大切なこと
一番はモノ作りが好きな人。服のデザイン画をもとに、ドレーピング(立体裁断)でイメージした型を表現する力が必要になります。またデザイナーの思い描くアイデアを汲み取る力も得られるといいでしょう。
パタンナーには立体で思考する力が必要になるので、建設的な考え方をできる人の方が有利かもしれません。
パタンナーを志す人に向けて
普段からさまざまな洋服を見て、着て、触れてください。頭で理解するのと身体で感じるのは全く別物なので、ファストファッションだけではなく「デザイナーの心がこもった服」を体感することが将来必ず役に立つと思います。パタンナーはやりがいのある楽しい仕事ですよ。
パタンナーの年間スケジュールの一例
1月
?メンズ?ウィメンズブランドのパターン制作
?繁忙期前でやや多忙
2月
?繁忙期
?担当パリコレブランド秋冬シーズンのパターン?サンプル制作
3月
?繁忙期を終え、比較的ゆっくりできる時期 旅行に行くことも
?メンズ?ウィメンズブランドのパターン制作
4月
?メンズ?ウィメンズブランドのパターン制作
5月
?メンズ?ウィメンズブランドのパターン制作
6月
?メンズ?ウィメンズブランドのパターン制作
7月
?メンズ?ウィメンズブランドのパターン制作
?繁忙期前でやや多忙
8月
?メンズ?ウィメンズブランドのパターン制作
?繁忙期前でやや多忙
9月
?繁忙期
?担当パリコレブランド春夏シーズンのパターン?サンプル制作
10月
?繁忙期を終え、比較的ゆっくりできる時期 旅行に行くことも
?メンズ?ウィメンズブランドのパターン制作
11月
?メンズ?ウィメンズブランドのパターン制作
12月
?メンズ?ウィメンズブランドのパターン制作
?年末のためやや多忙
?年末年始で3?4日ほど休暇を取得
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