サカイ 2021年春夏コレクション
Image by: FASHIONSNAP
10月7日、小田原文化財団?江之浦測候所で「サカイ(sacai)」が2021年春夏コレクションを発表した。例年はパリで新作を発表しているため、国内でショーを開催したのは2017年の「アンダーカバー(UNDERCOVER)」との合同ショー以来。秋雨に濡れるランウェイに、シャーデー(Sade)の名曲「Kiss?of?Life」がしっとりと響いた。
デザイナー阿部千登勢が手掛けるサカイは今回、新型コロナウイルスの影響からパリのファッションウィークには参加せず、8月のメンズに引き続き独自の発表を行った。「伝わる空気感がある」という考えからリアルなショー形式を選び、場所はフランスではなく日本。「Favoriteな場所」だという江之浦測候所で開いた。
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都内から車でおよそ1時間半。小田原の海辺に位置する江之浦測候所は、現代美術作家の杉本博司が20年を費やして完成させたという壮大なランドスケープである。木々が生茂る坂道を抜け、石畳を歩くと光学硝子舞台があり、相模湾を臨む絶景が広がっている。ショー当日は雨模様だったが、200人あまりの招待客はアクリル板で仕切られたボックスに収まり、雨粒を背景にショーを観覧した。
音楽と共に登場したモデルは、石に囲まれた庭園や高低差のある回廊を練り歩く。序盤はクラシカルなブラック&ホワイト。オリーブやカーキ、グレーといったベーシックカラーに、鮮やかなレッドとピンク、そしてシルバーが混じる。前回の2020-21年秋冬コレクションで打ち出した、立体的で動きによって変化するシルエットが引き継がれながらも、プレーンでウェアラブルに落とし込んでいる印象だ。ラストルックは、シルクのパジャマとランジェリーを融合したようなドレッシーなリラックススタイル。普遍的なテーラードやミリタリーの要素を複雑に絡み合わせるサカイならではのアプローチはそのままに、よりソフトで女性的なシルエットが目立った。
ショーの中盤に登場し、阿部も着用していたTシャツにプリントされていたのはシャーデーのポートレート。阿部が「まさしく今の気持ち」と話す楽曲「Kiss?of?Life」は愛の歌である。8月に発表したメンズ&ウィメンズプレコレクションの根底にあったメッセージは"平和?愛?団結"だったが、今回はピュアな愛を歌うような、優しさが込められたコレクションとなった。
来場ゲスト
松井愛莉
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