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香水の祭典「サロン ド パルファン 2023」が閉幕 盛り上がりを見せた一方で課題は?

サロン ド パルファン 2023の会場(セルフ テイスティング ブース)

Image by: FASHIONSNAP

サロン ド パルファン 2023の会場(セルフ テイスティング ブース)

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香水の祭典「サロン ド パルファン 2023」が閉幕 盛り上がりを見せた一方で課題は?

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 伊勢丹新宿店が開催する毎年恒例のフレグランスの祭典「サロン ド パルファン 」が閉幕した。ニッチブランドを中心とした新規ブランドの導入のほか、初の試みとして“クリエイター起点”での編集ブースを設けるなど、例年とは異なる新たなアプローチで参加ブランド数は過去最多、売上は前年比微増だった。

 サロン ド パルファンは「日本に香りの文化を提唱する」をコンセプトに2013年に初開催して以降、年々規模を拡大し、2021年時点で売り上げは初回の約10倍に成長。10回目の昨年は前年比約50%増の過去最高を記録した。昨年はコロナが落ち着き3年ぶりに6階の催物場で開催できたことに加え、海外拠点の調香師やファウンダーなどの来日が叶ったことで盛り上がりを見せた。また、「ゲラン(GUERLAIN)」や「ジョー マローン ロンドン(JO MALONE LONDON)」「クロエ(Chloé)」のほか、「ディプティック(Diptyque)」や「フエギア 1833(FUEGUIA 1833)」といった、認知の高いブランドが出店しブランドの世界観を表現したブースを設け、幅広い客層が集まり盛況だった。

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昨年の会場の様子

 今年は「その先に待つのは、奥深い香りの世界」をテーマに、「クリエイターや調香師の知識も豊富で、より奥深く香りを理解したいと思っている人に向け、商品との出合いだけでなく知的好奇心に応えられる、よりフレグランスを好きになってもらえる取り組みに力を入れた」と三越伊勢丹 化粧品バイヤーの中尾絵莉氏は語り、新たなアプローチを取り入れた。

 まずは同イベントの開催に先駆け、“予習”ができるムック本付きのフレグランスセット(税込5555円)を三越伊勢丹化粧品オンラインストア「ミーコ(meeco)」で発売。4種類のブランドの香りを楽しめるボトルに、ブランドストーリーや調香師などを特集した全72ページのムック本をセットにした特別アイテムで、サロン ド パルファンに出店する各ブランドについて事前に学ぶことで、会場をより楽しむことができるというものだ。

 会場では、香りに接しやすくする取り組みとして入り口付近に約40種類の香りを自由に試せる「セルフ テイスティング ブース」を設置し、また、ニューヨークを拠点に活動するアーティスト ヴェリエ(Verrier)による、世界の都市をフィーチャーした作品と融合させ各都市とゆかりのあるフレグランスを展示したほか、アートやワインなどと掛け合わせたイベントなども反響が高かった。さらに調香師アンヌ?ソフィー?ベハーゲル(Anne-Sophie Behaghel)とアメリー?ブルジョワ(Amélie Bourgeois)による香りのクリエイションスタジオ「フレア(FLAIR)」のブースを設置。調香師で香りを選ぶ感度が高いユーザーにとって、クリエイター起点での提案は興味を持って受け入れられたという。

フレアの編集ブース

フレアの編集ブース

 一方で品揃えにおいては、サロン ド パルファンが支持される理由のひとつでもある「日本未上陸ブランド?新たなブランドの豊富なラインナップ」を叶えるため、昨年を上回る50以上のブランドを展開。「台湾茶」にインスパイアされた香りのニッチブランド「P.seven茶香水」や、エスプレッソをテーマにした香りを展開する「リベルタパフューム(LIBERTA Perfume)」がラテを提供し人気を集めるなど、SNSとの相性?香りと掛け合わせた“イベント性”のあるブランドが人気を集めた。そのほかベルリンで設立した「モス アンド ラビット(MOTH and RABBIT)」が初出店したほか、京都?東山のフレグランス専門店「ル シヤージュ」や、メンズ館にニッチフレグランスのセレクトショップ「ノーズショップ(NOSESHOP)」を誘致するなどで、個性が光るニッチブランドのセレクトにも力を入れたため、香りの“玄人”からライト層にまでアピールすることができたようだ。

ル シヤージュのブース

 今回、売上は前年の微増に止まった。昨年の前年比50%増や市場におけるフレグランスの盛り上がりからすると、物足りない印象もある。圧倒的なブランド数?品揃えが好評だった一方で、昨年人気だったディプティックやフエギアが出店しなかったことで、エントリー層にも“ハマりやすい”ブランドがやや目につきにくい印象を受けた。通常のフレグランス売り場からはファッション感覚で楽しむ若年層や男性客の増加が感じられると聞く。そうした近況に対して今回は新規のニッチブランドや常連メゾンブランドの存在感が大きかったように思う。

 来年の開催に向け中尾氏は、「『日本に香りの文化を提唱する』というコンセプトをどこまでも追及すべく、フレグランスを知らない人から詳しい人まで、新たな香りの魅力を知っていただけるような取り組みを模索していく。ニッチフレグランスの追求だけではなく、気軽に楽しめる香りの体験提供などを、トレンドやお客さまのお声に耳を傾けながら実現に向けていきたい」と意気込む。「フレグランスの祭典」として日本のフレグランス文化をけん引してきたサロン ド パルファンの今後に期待したい。

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