「ヴァン クリーフ&アーペル(Van Cleef & Arpels)」が、京都?下鴨神社にて華道家 片桐功敦(かたぎりあつのぶ)とのエキシビション「LIGHT OF FLOWERS 花と光」をスタートした。
花道みささぎ流家元の片桐は、アニミズム的なアプローチで植物と向き合うアーティスト。異分野との協働も精力的に続けており、花と光を題材にしたヴァン クリーフ&アーペルとのコラボレーションは今回で2回目となる。つねに花の生命力と美しさを称えてきたハイジュエラーと片桐の生け花が、紅葉に向かう京都の自然の中で互いに共鳴しあった。
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今回の舞台は、下鴨神社の境内。春の代官山で開催された前回の展示と異なり、今年は11月~12月という「花が終わっていく季節」での開催となる。そのため花の儚さと命の循環が、より繊細かつ純粋に表現される内容となった。
縄文時代から生き続ける森
まず一つ目の会場となる神社の参道「糺の森」には、落ち葉のトンネルが登場。これは「もし、降り積もった落ち葉の下に埋もれたら、落ち葉を透かして光が漏れて、星空のような光景が広がるのではないか」という片桐のアイデアを具現化したもの。森の一部のようでありながらどこか神々しい、体感型インスタレーションとなった。
静けさをたたえるトンネルの先には小川が流れ、そのせせらぎの中に幾つもの花が生けられている。「神社に入る前に、手を洗って清める場としてのイメージで作りました。太古から水の湧き出る社がすぐ近くにあるので、作品を見るだけでもいいですし、川に手を浸していただいてもいいです」と片桐はその意図を解説する。
美しい命のサイクルの中で
そして森を散策し、楼門をくぐった先に現れるのが特設会場。モダンな建造物の中に足を踏み入れると、拡大した葉のコラージュが壁いっぱいに広がる。そして足元には花々が咲き乱れ、水面に鮮やかなリフレクションを生み出していた。
天井の役割を果たしているのは、大量の落ち葉。これらは全て、樹齢200~600年の樹木が約600本自生する境内の森から集められたものだ。「落ち葉ってしみじみとした印象で解釈されることが多いと思うんですが、繰り返される命のサイクルの一つと僕は捉えています」。落ち葉が土の栄養となって次の命を生む——それは自分で花を育てるために畑仕事をしているという片桐にとって、身近な循環の形であるという。
枯れる花と、永遠の美を留める花
そして最後の会場は、重要文化財の「細殿」。ここでは、自然をテーマにしたヴァン クリーフ&アーペルの可憐なジュエリーの数々が展示されている。風にそよぐアネモネや、真紅に色づいたミステリーセットのブドウの葉などが、さざ波をイメージしたショーケースの中で輝く。
「僕が好きなのは、クリスマスローズを表現した『ローズ ド ノエル』。植物を本当によく見て作っているなと感じますね。ブローチなどはアシンメトリーに作られたデザインも多くて、自然なバランスの崩し方が絶妙です」。ジュエリーをよく見てみると、花芯や花びら一枚一枚のつき方まで、宝飾職人たちが真摯に観察してデザインに取り入れていることが感じられる。
花々に魅せられたジュエラー
自然や花々は1930年代初頭から現在まで、ヴァン クリーフ&アーペルの大切なインスピレーションの一つであり続けてきた。この世から姿を消してしまう生け花と、長く形を留めるジュエリーは一見、相反するもののように思える。だが「どちらも自然が作ったものを素材としているという意味では、根っこの部分は同じ。そして、自然に宿るものを信仰する神社という場所での展示は、全てがピタッと繋がったように感じます」と片桐は語る。
光と花、そして水がハーモニーを奏でるこの展示は、花々を随時入れ替えながら12月12日まで開催。例年、12月上旬には「糺の森」の紅葉がピークを迎える。変わりゆく自然界から生まれたクリエイションとの一期一会が堪能できそうだ。
■エキシビション 「LIGHT OF FLOWERS 花と光」?
会期:2022年11月3日(祝?木)~12月12日(月)10:00~17:00
会場:世界遺産下鴨神社(賀茂御祖神社)境内?
住所:京都市左京区下鴨泉川町 59?
入場無料(予約不要)
■お子様向けワークショップ 「In bloom~草花を纏う」
日時:2022年11月12 日(土)、13日(日)
各日11:00/12:30/14:00(各セッション約1時間)
対象:3歳~小学生まで
定員:1回につき6組
※ワークショップはお子様対象。保護者にはお子様のサポートをしてもらう。
※ヴァン クリーフ&アーペルLINE 公式アカウントより、10月後半より申込み受付(先着順、完全予約制)。雨天中止。
問い合わせ先:ウ?ァン クリーフ&アーペル ル デスク 0120-10-1906
ウ?ァン クリーフ&アーペル:公式サイト
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