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【令和のマストバイヴィンテージ】今買っておくべき名品は? vol.66 リーバイス 70505 ピケジャケット編

リーバイス 70505 ピケジャケット

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リーバイス 70505 ピケジャケット

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【令和のマストバイヴィンテージ】今買っておくべき名品は? vol.66 リーバイス 70505 ピケジャケット編

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 歴史的な背景を持つ、ヴィンテージ古着。製造された年代が古いものや希少性が高いものが一般的に珍重されていますが、ヴィンテージの楽しみ方はそれだけではありません。この連載では、さまざまな視点でヴィンテージ古着の楽しみ方が味わえるアイテムを、国内最大規模のヴィンテージの祭典を主催するVCM代表 十倍直昭が「令和のマストバイヴィンテージ」として毎週金曜日に紹介。第66回は「リーバイス(Levi’s?)」70505 ピケジャケット編。

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VCM inc.代表取締役

十倍直昭

2008年よりヴィンテージショップを運営。その後2021年には、ヴィンテージ総合プラットフォーム VCM(@vcm_vintagecollectionmall)を立ち上げ、来場者を1万人以上を動員する、日本最大級のヴィンテージの祭典「VCM VINTAGE MARKET」を主催している。
また渋谷パルコにて、マーケット型ショップの「VCM MARKET BOOTH」、エルメスジュエリーを専門に取り扱う予約制ショップ「VCM COLLECTION STORE」、イベントスペース「VCM GALLERY」を運営。
2023年10月には初の書籍「Vintage Collectables by VCM」を刊行するなど、ヴィンテージを軸とした様々な分野で活動し、全国のヴィンテージショップとファンを繋げる場の提供や情報発信を行っている。

ポリエステル素材を用いたリーバイスの傑作ジャケット

 前回は1950?60年代のリーバイスのデニムジャケットを紹介しましたが、今回は1960?70年代のリーバイスのアイテムをピックアップしました。品番は「70505-1122」。「70505」は“フォース”とも呼ばれており、第44回のコーデュロイジャケットの記事でも触れたように、その後のデニムジャケット(トラッカージャケット)の基本形となった傑作です。

リーバイス 70505 ピケジャケット

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 70505-1122には、ピケという生地が用いられています。ピケはフランス語の「pique=縫う」に由来しており、表面の細かな畝による立体的な表情が特徴です。また、通気性が高く、肌触りがサラッとしているという機能的なメリットもあります。

リーバイス 70505 ピケジャケット

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 タグを見ると、この個体に用いられているピケ生地の組成はフランネルポリエステル50%、コットン50%です。

リーバイス 70505 ピケジャケット

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 多くのスポーツウェアやカジュアルウェアに用いられているポリエステル繊維ですが、その歴史は意外と浅く、発明されたのは1941年のこと。石油を原料とするポリエチレンテレフタレート(PET=POLY-ETHYLENE-TEREPHTHALATE)を高温で溶かし、冷やして固めて作る合成繊維です。1953年にアメリカのデュポン社が特許を取得し、その後日本でも生産されるようになりました。耐久性の高さや加工のしやすさから衣料用繊維のほか、カーテンやカーペットなどの家庭用繊維やペットボトルにも用いられています。ポリエステル繊維は、耐久性が高く乾きやすいうえに、皺になりにくいという、機能的なメリットを沢山備えています。しかし一方で、吸水性がなく、染色しづらいといったデメリットもあるので、このピケジャケットのように、コットンなどの天然素材と混紡されることが多いんです。

リーバイスが「70505」にピケ素材を用いた理由とは

 実は、当連載では既にポリエステル素材を用いたリーバイスのアイテムを紹介しています。第36回でピックアップしたアクションスラックス(ACTION SLACKS)です。

 アクションスラックスの前身であるスタプレ(STA-PREST)が生まれたのは1963年、アクションスラックスが登場したのが1971年と、70505-1122が製造されていたのとほぼ同時期ですが、これは単なる偶然ではなく、歴史的な背景に基づいています。有名なエピソードですが、創業初期のリーバイスは1840年代のゴールドラッシュでカリフォルニアに集まった鉱夫に向けて、ワークパンツを製造?販売していました。その後、農夫や工員、鉄道員、大工、森林労働者など、様々なワーカーがリーバイスのパンツやジャケットを着用するようになりますが、その頃のリーバイスは純然たるワークウェアメーカーでした。

 しかし、1920?30年代にアメリカで西部劇映画が人気となったことがきっかけとなり、カウボーイの服装がファッションと認識され始め、テンガロンハットやウエスタンシャツと共に、ジーンズもファッションアイテムの仲間入りを果たします。第二次世界大戦後になると、西部劇がテレビで放送され人気が拡大したことに加え、「乱暴者」のマーロン?ブランド(Marlon Brando)や「理由なき反抗」のジェームス?ディーン(James Dean)ら、ハリウッドスターたちが映画の作中でジーンズを着用したことにより、ジーンズ=若者ファッションの象徴、という位置付けが明確になりました。

リーバイス 70505 ピケジャケット
リーバイス 70505 ピケジャケット

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 その後、世界のファッションの多様化は加速度的に進んでいきます。それに伴い、多くのジーンズメーカーはフレアやスリム、ベルボトムといったシルエットに変化を付けたジーンズの展開を始めました。また、1940年代から50年代にかけてポリエステルをはじめとする化学繊維の製造が盛んになり、各ジーンズメーカーはデニム以外の素材を積極的に導入するようになりました。ピケジャケットやコーデュロイジャケット、そしてスタプレやアクションスラックスなどは、リーバイスがブランドの奥行きを広げるために企画したものではないかと考えています。

リーバイス 70505 ピケジャケット

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 今回ピックアップした70505-1122のタブは「LEVI'S」と記された、通称“ビッグE”。ハンドウォーマーポケットは設けられていません。

リーバイス 70505 ピケジャケット

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 状態にもよりますが、70505-1122の相場は小さいサイズならば5?10万円、大きいサイズならば10万円?が目安です。この時代のリーバイスのジャケットには、ピケやコーデュロイ、コットンツイルのほか、レザー素材なども存在しています。個人的にこれらのアイテムはヴィンテージの中でも上品に着られるところが好きなので、これからも注目し続けるつもりです。

編集:山田耕史 語り:十倍直昭

最終更新日:

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